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心の鍵
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心の鍵
ずっとずっと掛けておくつもりだった。
ずっとずっと…
「ごめん」
それが俺と敦也との関係が終わりを告げる瞬間だった。
たった一言で終わってしまった関係。
その瞬間から俺たちはお互い背を向けて違う道へと歩み始めた。
あれから3年の歳月が過ぎた。
俺は、自分からは誰も好きにならないと心に鍵をかけた。俺にとって敦也との時間はとても大切なものだったから…
運命は時として悪戯を起こす。誰も予期していないタイミングで…
3年ぶりに思わぬ場所で敦也と再会したのだ。
「皐月?皐月じゃん。久しぶりだな」
後ろから声を掛けられ振り返れば少しだけ大人びいた敦也がいた。
「久しぶり、元気そうじゃん」
俺は無難な言葉を返す。できれば二度と会いたくなかったよ。
「皐月は少し瘦せたか?ってか、時間はあるか?少し話さねぇか?」
敦也はあの頃と変わらないしゃべり方で聞いてくる。
「…ごめん…俺…用事あるから…じゃぁ…」
俺はここから逃げたくて断って歩き出す。
俺はもう…お前の知ってる俺じゃないんだ…
「待てよ、大事な話があるんだ」
グイって腕を掴まれる。
「なに?話なら早くしてくれる?」
俺は諦めて溜め息をつく。
「お前さ…もう止めろよあんなこと…」
敦也が真面目な声でそんなことを言う。
あんなこと?
「意味がわからないんだけど?」
俺は聞き返す。大体、敦也に言われることなんてしてないし、俺の自由だ。俺が誰と寝ようと…
「俺が知らないと思ってるのか?お前、俺と別れてからずっといろんな奴に抱かれてるんだろ?」
敦也が聞いてくる。それを何で知ってるんだろうか?
でも…
「敦也には関係ないだろ?俺たちは3年前に終わってるんだし、俺の自由じゃん」
3年前、あの瞬間に俺たちの関係は終わったんだ。だから俺の自由。
「嫌なんだよ。お前が…お前が他のヤツとやってんのが…俺…まだお前が好きだから…」
えっ?今なんて?俺を好き?
「冗談止めろよ。話がそれだけならもう行くからな」
俺は敦也を振り切るように歩き出した。そしたらグイって敦也に腕を掴まれた。そのまま俺を引っ張っていく。
「ちょ…離せよ」
俺はそう言って腕を解こうとするけど、それも叶わず敦也は何も言わずにどんどん進んでいく。そして、一本の路地裏に俺を連れ込むと、俺を抱きしめてキスをしてきた。俺は離れようともがくけど、俺が逃げようとすればするほど敦也の腕に力が入る。
「好きだ」
敦也は呟き奪うようにもう一度キスをしてきた。
あぁ、やめてくれ…お願いだから…
冗談なら今ここでやめてくれ…じゃないと…じゃないと俺は…
敦也の舌が口の中に忍び込み咥内を何度も犯していく。
お願いだから…もう…やめてくれ…
じゃないと…鍵が開いてしまう…何重にもかけた鍵が…
「好きだ。皐月が好きだ。だから…俺とまた付き合ってほしい」
あぁ、だめだ…あんなに頑丈にかけたのに…
敦也の言葉で簡単に外れてしまった。
「本気?…冗談?」
声が震える。期待なんてしてない。しちゃいけない。
「本気に決まってるだろ。ずっとお前のこと探してたんだから…」
敦也は言い終わるとまたキスしてきた。
外れないと思ったのに…心の鍵が外れた…溢れかえる想い…もう我慢できない…
「…好き…」
ごめん…きっと敦也には迷惑だろうけど…やっぱり…敦也がまだ好きなんだ…
「俺も皐月が好きだから…だからまた付き合ってほしい」
敦也の言葉に俺は自然と頷いていた。その途端、ギュッと窒息するんじゃないかってぐらい強く抱きしめられた。
「もう離さない。俺の傍にいてくれ、頼むから…」
敦也の言葉に小さく頷き
「もう一度…敦也の傍にいさせて…」
敦也の背にそっと腕を回した。
Fin
ずっとずっと掛けておくつもりだった。
ずっとずっと…
「ごめん」
それが俺と敦也との関係が終わりを告げる瞬間だった。
たった一言で終わってしまった関係。
その瞬間から俺たちはお互い背を向けて違う道へと歩み始めた。
あれから3年の歳月が過ぎた。
俺は、自分からは誰も好きにならないと心に鍵をかけた。俺にとって敦也との時間はとても大切なものだったから…
運命は時として悪戯を起こす。誰も予期していないタイミングで…
3年ぶりに思わぬ場所で敦也と再会したのだ。
「皐月?皐月じゃん。久しぶりだな」
後ろから声を掛けられ振り返れば少しだけ大人びいた敦也がいた。
「久しぶり、元気そうじゃん」
俺は無難な言葉を返す。できれば二度と会いたくなかったよ。
「皐月は少し瘦せたか?ってか、時間はあるか?少し話さねぇか?」
敦也はあの頃と変わらないしゃべり方で聞いてくる。
「…ごめん…俺…用事あるから…じゃぁ…」
俺はここから逃げたくて断って歩き出す。
俺はもう…お前の知ってる俺じゃないんだ…
「待てよ、大事な話があるんだ」
グイって腕を掴まれる。
「なに?話なら早くしてくれる?」
俺は諦めて溜め息をつく。
「お前さ…もう止めろよあんなこと…」
敦也が真面目な声でそんなことを言う。
あんなこと?
「意味がわからないんだけど?」
俺は聞き返す。大体、敦也に言われることなんてしてないし、俺の自由だ。俺が誰と寝ようと…
「俺が知らないと思ってるのか?お前、俺と別れてからずっといろんな奴に抱かれてるんだろ?」
敦也が聞いてくる。それを何で知ってるんだろうか?
でも…
「敦也には関係ないだろ?俺たちは3年前に終わってるんだし、俺の自由じゃん」
3年前、あの瞬間に俺たちの関係は終わったんだ。だから俺の自由。
「嫌なんだよ。お前が…お前が他のヤツとやってんのが…俺…まだお前が好きだから…」
えっ?今なんて?俺を好き?
「冗談止めろよ。話がそれだけならもう行くからな」
俺は敦也を振り切るように歩き出した。そしたらグイって敦也に腕を掴まれた。そのまま俺を引っ張っていく。
「ちょ…離せよ」
俺はそう言って腕を解こうとするけど、それも叶わず敦也は何も言わずにどんどん進んでいく。そして、一本の路地裏に俺を連れ込むと、俺を抱きしめてキスをしてきた。俺は離れようともがくけど、俺が逃げようとすればするほど敦也の腕に力が入る。
「好きだ」
敦也は呟き奪うようにもう一度キスをしてきた。
あぁ、やめてくれ…お願いだから…
冗談なら今ここでやめてくれ…じゃないと…じゃないと俺は…
敦也の舌が口の中に忍び込み咥内を何度も犯していく。
お願いだから…もう…やめてくれ…
じゃないと…鍵が開いてしまう…何重にもかけた鍵が…
「好きだ。皐月が好きだ。だから…俺とまた付き合ってほしい」
あぁ、だめだ…あんなに頑丈にかけたのに…
敦也の言葉で簡単に外れてしまった。
「本気?…冗談?」
声が震える。期待なんてしてない。しちゃいけない。
「本気に決まってるだろ。ずっとお前のこと探してたんだから…」
敦也は言い終わるとまたキスしてきた。
外れないと思ったのに…心の鍵が外れた…溢れかえる想い…もう我慢できない…
「…好き…」
ごめん…きっと敦也には迷惑だろうけど…やっぱり…敦也がまだ好きなんだ…
「俺も皐月が好きだから…だからまた付き合ってほしい」
敦也の言葉に俺は自然と頷いていた。その途端、ギュッと窒息するんじゃないかってぐらい強く抱きしめられた。
「もう離さない。俺の傍にいてくれ、頼むから…」
敦也の言葉に小さく頷き
「もう一度…敦也の傍にいさせて…」
敦也の背にそっと腕を回した。
Fin
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