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忘れないよ
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あれは忘れることができない運命的な出会いだった。
最悪な結末が待っていようとしても俺にはすごく最高な出会いだった。
あれから2年が経つけどいまだに忘れられない。
あいつとの出会い、一緒に過ごした時間は…。
出会いは本当に偶然。たまたまクラスが一緒になって、咳が隣同士になっただけ。
「俺、中井惠よろしく」
あいつから声をかけてきた。
「俺は矢神誠次よろしく」
だから俺も同じように挨拶をした。
「誠次って呼んでもいい?」
ちょっと驚いた。名前を呼ぶのに確認してきたから。いつもみんな好き勝手に呼ぶから気にしてなかったんだ。
「いいけど。じゃぁ、俺も惠って呼ぶからさ」
自分も同じように名前で呼ぶって宣言すると、惠はすごく嬉しそうに微笑んだ。
なんで俺たちは出会ってしまったんだろう…
惠とはすぐに仲良くなった。
いつも一緒って感じで、どこへ行くのも二人だった。
「誠次ここの問題、間違ってる」
俺が課題をやっていれば隣でそれを見ていた惠が課題を手伝ってくれた。
「あっ…ほんとだ。サンキュー」
俺は言われた場所を直していく。
俺は自然と惠に惹かれていった。
惠といる時間はすごく幸せを感じた。
例えそれが間違いだとしても…俺は惠という人間に惹かれ恋をした。
「ねぇ、誠次。大事な話があるんだ。少しいいかな?」
いつになく真面目な顔をした惠がそこにはいた。
「ん?何?」
不思議に思いながらも俺はマジマジと惠を見て彼からの返事を待った。
「俺ね、誠次のことが好きなんだ。こんなの間違ってるってわかってる。でも…」
俺は惠の言葉を遮るように惠の腕をつかみ自分の腕の中にその身体を抱きしめた。
「…俺も間違ってると思う。でも…俺も惠が好きだ」
俺の言葉を聞き、惠の腕が背に回された。そして、どちらからともなくキスをした。
二人して真っ赤になりながら笑ったけ。
運命は時として残酷だ。
幸せな時間はそう長くは続かなかった。
惠が倒れたのだ。
末期のがん。もう手の施しようもないほど進行していてあとは死を待つだけ。
俺は毎日、惠のところへ顔を出した。
些細なことから大袈裟なことまで全部、全部、惠に話した。
惠と思い出を共有していたかったんだ。
コロコロと変わる惠の顔を見るのが嬉しかった。
「…ごめんね…もっと傍にいたかった…」
惠の呟き。
「俺は惠が好きだ。今でも惠が好きだ」
そっとキスをした。最後のキス。
「…ありが…と…」
その言葉を残し惠は静かに息を引き取った。
惠ともっと傍にいたかった…俺ももっと惠の傍にいたかったし、いてほしかった…
でも、また生まれ変わったら惠に出会えるそんな気がする。
惠といた時間は短かったけど、それでも俺にはすごく思い出のある大切な時間だった。
もう惠はいないけど…俺の心の中には惠が生きている。
だから忘れない。惠が生きていたこと。俺の傍にいたこと。
惠が好きだったということ。
忘れないよ。
Fin
最悪な結末が待っていようとしても俺にはすごく最高な出会いだった。
あれから2年が経つけどいまだに忘れられない。
あいつとの出会い、一緒に過ごした時間は…。
出会いは本当に偶然。たまたまクラスが一緒になって、咳が隣同士になっただけ。
「俺、中井惠よろしく」
あいつから声をかけてきた。
「俺は矢神誠次よろしく」
だから俺も同じように挨拶をした。
「誠次って呼んでもいい?」
ちょっと驚いた。名前を呼ぶのに確認してきたから。いつもみんな好き勝手に呼ぶから気にしてなかったんだ。
「いいけど。じゃぁ、俺も惠って呼ぶからさ」
自分も同じように名前で呼ぶって宣言すると、惠はすごく嬉しそうに微笑んだ。
なんで俺たちは出会ってしまったんだろう…
惠とはすぐに仲良くなった。
いつも一緒って感じで、どこへ行くのも二人だった。
「誠次ここの問題、間違ってる」
俺が課題をやっていれば隣でそれを見ていた惠が課題を手伝ってくれた。
「あっ…ほんとだ。サンキュー」
俺は言われた場所を直していく。
俺は自然と惠に惹かれていった。
惠といる時間はすごく幸せを感じた。
例えそれが間違いだとしても…俺は惠という人間に惹かれ恋をした。
「ねぇ、誠次。大事な話があるんだ。少しいいかな?」
いつになく真面目な顔をした惠がそこにはいた。
「ん?何?」
不思議に思いながらも俺はマジマジと惠を見て彼からの返事を待った。
「俺ね、誠次のことが好きなんだ。こんなの間違ってるってわかってる。でも…」
俺は惠の言葉を遮るように惠の腕をつかみ自分の腕の中にその身体を抱きしめた。
「…俺も間違ってると思う。でも…俺も惠が好きだ」
俺の言葉を聞き、惠の腕が背に回された。そして、どちらからともなくキスをした。
二人して真っ赤になりながら笑ったけ。
運命は時として残酷だ。
幸せな時間はそう長くは続かなかった。
惠が倒れたのだ。
末期のがん。もう手の施しようもないほど進行していてあとは死を待つだけ。
俺は毎日、惠のところへ顔を出した。
些細なことから大袈裟なことまで全部、全部、惠に話した。
惠と思い出を共有していたかったんだ。
コロコロと変わる惠の顔を見るのが嬉しかった。
「…ごめんね…もっと傍にいたかった…」
惠の呟き。
「俺は惠が好きだ。今でも惠が好きだ」
そっとキスをした。最後のキス。
「…ありが…と…」
その言葉を残し惠は静かに息を引き取った。
惠ともっと傍にいたかった…俺ももっと惠の傍にいたかったし、いてほしかった…
でも、また生まれ変わったら惠に出会えるそんな気がする。
惠といた時間は短かったけど、それでも俺にはすごく思い出のある大切な時間だった。
もう惠はいないけど…俺の心の中には惠が生きている。
だから忘れない。惠が生きていたこと。俺の傍にいたこと。
惠が好きだったということ。
忘れないよ。
Fin
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