寄せ集めの短編集

槇瀬光琉

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例え間違っていたとしても…

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こんなの間違ってるってわかってる。
男の俺が、同じ男に惚れるなんて…。

でも…でも、もうこの気持ちは誤魔化せれない。


「綾瀬が好きだ」

俺は意を決して目の前にいる男に告白をする。
答えがもらえないのはわかってるし、嫌われるのもわかってる。
だから、告白はするけどその先のことは期待しない。

「それだけだからじゃ、時間とってごめん」
俺はいうだけ言って帰ろうと背を向けて歩き出そうとしたら腕を掴まれた。
「待てよ、返事はいらねぇのか?」
帰ってきた言葉に唖然とする。
「へっ?あっ…別に無理に返事はいらねぇし…」
期待なんてはじめからしてないんだ。だから別に良かった。

でも、腕をグイって引っ張られたせいで俺の身体は簡単に綾瀬の腕の中に抱き寄せられていた。
そして、唇になにかが触れる感触。
それがキスだと気が付くのに時間がかかった。

「好きだぜ」
耳元に甘い囁き。身体中の血液が沸騰した気がする。
間違いなく今の俺は真っ赤だ。
「で?俺と付き合ってくれるか?」
綾瀬が真っ赤になった俺の頬を撫でながら聞いてくる。

「あっ…えっと…お願いします…」
俺は恥ずかしくて綾瀬の顔が見れなくて俯いてしまうが、綾瀬自身に阻止されてしまう。
「こっち向けよ」
なんて言われるから渋々、綾瀬の顔を見たら、ふって笑われた。
しかもすっげぇかっこいい顔で…。また、真っ赤になった俺。
「好きだ、香」
そんな俺に綾瀬はもう一度、甘い囁きと共にキスをしてきた。

俺は綾瀬が離れて行ってしまわないようにそっと制服を掴んだ。


例え間違ってるとしても俺はこの男に惚れたんだ。

だから誤魔化せれないし、誤魔化さない。

好きだという気持ちは嘘じゃないから。

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