人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

槇瀬光琉

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看病

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ふと、目が覚めたらサイドテーブルにあるライトだけが部屋の中を照らしていた。

だけど、部屋の住人である菊池の姿はどこにも見当たらなかった。

いつも以上に重くなった身体がいつも以上に熱を持っているんだと知った。

「なんだ、起きてたのか。水飲むか?」
急に現れた菊池にビックリしたけど、聞かれた言葉に俺は素直に頷いた。
「身体は起こせそうか?」
その言葉に首を横に振れば
「だろうな」
なんて溜め息をつきながら重くなった俺の身体を簡単に抱き起し、ストローの入ったペットボトルを差し出し水を飲ませてくれた。

そこまでされて初めて気が付いた。自分の着ていた服がさっきと違ってるのに…。

「汗かいて濡れたから着替えさせた。つっても俺の服だからでかいけどな」
なんで俺が思ったことに気が付くんだこの男。
「顔に出てんだよ。ほら、寝ろ」
なんて俺の思ったことに返事をしながら、俺はまた寝かされた。

身体が思うように動かないから喋るのですら億劫でしかない。が、傍にいて欲しいのだ。抱きしめて欲しいんだ。

だからあまり力の入らない手で菊池の服をギュって今出せるだけの力で握りしめれば
「寝て待ってろ。アイスノン変えてくるから」
俺の身体を完全に横にならせ冷たくなくなったアイスノンを持って行ってしまった。

殴られただけで、こんなに熱を出すなんてなんだか情けないな。


「身体、動かすぞ」
すぐに戻ってきた菊池が声をかけながら俺の身体を少しだけ動かす。そのまま隣に横になり俺を抱き寄せてくれた。
「まだたけぇな。このままだと明日は休みだなお前」
その言葉にえっとか思ったけど、このまま熱が下がらなかったら確実に休みだなって納得した。

「ほら、このままでいてやるからもう一度、寝ろ」
菊池の言葉に頷きながら目を閉じれば自然と俺はまた眠りの中へと落ちていった。


次の日になっても俺の熱は下がっておらず、結局は休むことになった。

菊池のやつは学校と寮を何度か往復して俺の看病をしてくれた。


ごめんな侑司。


面倒ばっかりかけてて


Fin

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