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発熱
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無言まま菊池が戻ってきたのは、菊池の部屋だった。
有無を言わさぬ勢いでベッドにまで連れ込まれた。
「着替えろ」
たった一言。それだけ言って俺用の着替えを取り出して渡される。
無言でそれを受けとり制服から着替えると、さっさと制服をクローゼットの中にしまってしまった。
俺が着替えてる間に菊池も着替え終えてた。
「寝ろ」
またしても一言。
なんだよこいつ。俺にまで怒ってるのかよ。
なんて思いながら布団の中に入れば、さっさと部屋を出ていった。
意味がわからん。
一人で不貞腐って寝てたら
「デコと後頭部だせ」
って言われて意味がわかんなくてじっと見てたら
「殴られて、熱がでてんだよ」
って言われた。
「えっ?」
自分で間抜けな声がでた。
「後頭部はコブ冷やせって言われただろうが、熱は殴られたってのもあるけど、身体が色々と拒否ってたんだろうな」
溜め息混じりに言いながら、デコには冷えピタ貼って、後頭部は柔らかいタイプのアイスノン。
えっと菊池さん、これいつ用意してたんですかね。
「で、一応は確認してやる。して欲しいことはあるのか?」
菊池の言葉に一瞬、悩んだ。だけど
「何も言わねぇし、聞かねぇんだ。俺が何されたかっての…」
俺ってそんだけの存在なのかなって思った。
「熱があるやつに手ぇ出すほど俺は阿保じゃねぇよ」
半ば呆れながら言われた言葉。
「それって…俺がいってもってことか?」
俺自身が言い出しても手を出さないってことだろうか?
「そうだな、悪化されても困る。周りにいるのは癖の強い奴らばっかりだからな。何を言われることか…」
などというが、周りに何を言われても気にしないのがこの男だ。ただ、俺の体調のことに関してはみんなから文句は言われるだろう。
「…消毒…してくれねぇの?」
我ながら何を言ってんだとか思うけど、あいつが触れた場所が気持ち悪い。塗り替えて欲しいと思った。
「しねぇよ。今は大人しく寝てろ」
なんて帰ってくる返事はやっぱりな言葉だった。
「わかった、もういい寝る」
俺はまた不貞腐って布団に潜った。
だから本当に気が付いてなかったんだ。自分の発熱が、いつもよりヒドイってことに…。
そんな状態だから菊池が俺の相手をしないんだってことに…。
Fin
有無を言わさぬ勢いでベッドにまで連れ込まれた。
「着替えろ」
たった一言。それだけ言って俺用の着替えを取り出して渡される。
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俺が着替えてる間に菊池も着替え終えてた。
「寝ろ」
またしても一言。
なんだよこいつ。俺にまで怒ってるのかよ。
なんて思いながら布団の中に入れば、さっさと部屋を出ていった。
意味がわからん。
一人で不貞腐って寝てたら
「デコと後頭部だせ」
って言われて意味がわかんなくてじっと見てたら
「殴られて、熱がでてんだよ」
って言われた。
「えっ?」
自分で間抜けな声がでた。
「後頭部はコブ冷やせって言われただろうが、熱は殴られたってのもあるけど、身体が色々と拒否ってたんだろうな」
溜め息混じりに言いながら、デコには冷えピタ貼って、後頭部は柔らかいタイプのアイスノン。
えっと菊池さん、これいつ用意してたんですかね。
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俺ってそんだけの存在なのかなって思った。
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半ば呆れながら言われた言葉。
「それって…俺がいってもってことか?」
俺自身が言い出しても手を出さないってことだろうか?
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「…消毒…してくれねぇの?」
我ながら何を言ってんだとか思うけど、あいつが触れた場所が気持ち悪い。塗り替えて欲しいと思った。
「しねぇよ。今は大人しく寝てろ」
なんて帰ってくる返事はやっぱりな言葉だった。
「わかった、もういい寝る」
俺はまた不貞腐って布団に潜った。
だから本当に気が付いてなかったんだ。自分の発熱が、いつもよりヒドイってことに…。
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