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どういう事だ?
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「委員ちょー大変!梅ちゃんが~!」
なんて言いながら鍋谷が飛び込んできた。
「うるせぇなぁ、扉壊すつもりかお前は」
梅村みてぇに飛び込んでくるんじゃねぇ。
「そんなことよりゆっきーが呼んでこいって怒るんだもん」
俺の話より幸永優先とかいい度胸してやがる。
「今度はなんだ」
幸永が俺を呼ぶってのも珍しいな。
やりかけの書類をそのままに席を立ち幸永がいる生徒会室へと向かった。
「入るぞ~」
ノックをして返事を聞く前に声をかけて扉を開けた。
「あー、菊池悪いな呼び出して」
俺を見て幸永が苦笑を浮かべる。
「いや、珍しいなとは思ったけど、何かあったのか?」
何かあったから俺を呼んだんだろうけどな。
「あー、どう説明すればいいのかわからん。とにかくこれを見てくれ」
そう言って幸永が見せたのは泣きじゃくる梅村だった。
「はっ?どういうことだ?」
本当に意味がわからん。
「俺たちにもさっぱりわからん。いきなり泣きはじめてこうなった」
その顔は本当に困惑してる顔だった。
「こいつをこのまま連れて帰るのは大丈夫か?」
泣きじゃくる梅村をこの場所に置いておいても、他の役員の迷惑になるだけだ。なら連れて帰った方がいいと判断し聞いてみる。
「連れて帰ってもらってもいい。というかそのつもりで呼んだんだ」
半ばわかっていた返事が返ってくる。
「わかった。連れて帰る。ナベ、俺は帰るから後は二村と2人で頼むぞ」
俺の後をついてきた鍋谷に声をかければ
「はーい。何かあれば連絡しま~す」
と、相変わらずの返事が返ってきた。
「ヒナ、帰るぞ」
俺は梅村じゃなくて、ヒナと呼んで声をかければ飛び付かん勢いで抱きついてきた。
こいつの中で何かがあったな
と俺は思い、泣きじゃくったままの梅村を連れて寮の自室に帰った。
「ヒナ、どうした?」
対面に座って抱き締めながら聞いてみる。小さく首を振るだけで答えない。それでもぎゅっと俺の服を掴む手には力が入る。
さて、どうしたものか?
と考えていれば
「…また…祝えなかった…」
ポツリとそんなことをいう。
「はっ?なんの事だ?」
いきなり過ぎるから意味がわからん。
「…また、侑司の誕生日…祝えなかった…」
ポツリポツリと出てきた言葉に呆れちまった。
「いや、どうでもいいだろそれ?」
俺の誕生日なんか忘れててもいいんだけどな。
「8回…8回も俺、侑司の誕生日を祝えてない!」
なんて怒りはじめた。
泣いたり怒ったり忙しいやつだな。
「確かに6年は傍に居なかったし、お前が記憶失くしてたから仕方ねぇとは思うけど、最後の1回はなんだよ」
6年は傍になかったし記憶もなかったから7回はしょうがねぇとは思うけど、後1回はなんだ?
「この間、1週間入院してただろ!その1週間の間に侑司の誕生日があったじゃねぇか!」
俺の胸ぐらを掴んで言ってくる。そこで気がついた。そう言えばそうだったなと。
「別に誕生日ぐれぇ気にする必要ねぇよ」
誕生日を祝ってもらわなくても、俺の傍にお前がいればいんだからよぉ。
「イヤだー!俺ばっかり祝ってもらって俺がお前にお礼してない!」
こいつは俺を絞め殺す気か?
「ちょっ、死ぬ、手ぇ緩めろや」
苦しいから手を緩めろと訴えれば、手を放してがっくりと肩を落とす。
「なぁ、ヒナ。俺は誕生日に祝ってもらわなくても、お前が俺の傍にいてくれればそれでいいんだ。だから、そこまで気にするな。どうしてもってんだったらクリスマスとか、来年にでも祝ってくれ」
陽葵をそっと抱き寄せて額に唇を寄せれば
「んっ、わかった」
少しだけ不満げだがそれでも納得したのか頷いた。
それでも不満は残ってるらしく、俺が抱き締めてる間中ずっとブツブツ言ってたのには笑った。
ほんと、泣いたり怒ったり忙しいヤツだ。
そんなこいつも俺は好きだけどな。
Fin
なんて言いながら鍋谷が飛び込んできた。
「うるせぇなぁ、扉壊すつもりかお前は」
梅村みてぇに飛び込んでくるんじゃねぇ。
「そんなことよりゆっきーが呼んでこいって怒るんだもん」
俺の話より幸永優先とかいい度胸してやがる。
「今度はなんだ」
幸永が俺を呼ぶってのも珍しいな。
やりかけの書類をそのままに席を立ち幸永がいる生徒会室へと向かった。
「入るぞ~」
ノックをして返事を聞く前に声をかけて扉を開けた。
「あー、菊池悪いな呼び出して」
俺を見て幸永が苦笑を浮かべる。
「いや、珍しいなとは思ったけど、何かあったのか?」
何かあったから俺を呼んだんだろうけどな。
「あー、どう説明すればいいのかわからん。とにかくこれを見てくれ」
そう言って幸永が見せたのは泣きじゃくる梅村だった。
「はっ?どういうことだ?」
本当に意味がわからん。
「俺たちにもさっぱりわからん。いきなり泣きはじめてこうなった」
その顔は本当に困惑してる顔だった。
「こいつをこのまま連れて帰るのは大丈夫か?」
泣きじゃくる梅村をこの場所に置いておいても、他の役員の迷惑になるだけだ。なら連れて帰った方がいいと判断し聞いてみる。
「連れて帰ってもらってもいい。というかそのつもりで呼んだんだ」
半ばわかっていた返事が返ってくる。
「わかった。連れて帰る。ナベ、俺は帰るから後は二村と2人で頼むぞ」
俺の後をついてきた鍋谷に声をかければ
「はーい。何かあれば連絡しま~す」
と、相変わらずの返事が返ってきた。
「ヒナ、帰るぞ」
俺は梅村じゃなくて、ヒナと呼んで声をかければ飛び付かん勢いで抱きついてきた。
こいつの中で何かがあったな
と俺は思い、泣きじゃくったままの梅村を連れて寮の自室に帰った。
「ヒナ、どうした?」
対面に座って抱き締めながら聞いてみる。小さく首を振るだけで答えない。それでもぎゅっと俺の服を掴む手には力が入る。
さて、どうしたものか?
と考えていれば
「…また…祝えなかった…」
ポツリとそんなことをいう。
「はっ?なんの事だ?」
いきなり過ぎるから意味がわからん。
「…また、侑司の誕生日…祝えなかった…」
ポツリポツリと出てきた言葉に呆れちまった。
「いや、どうでもいいだろそれ?」
俺の誕生日なんか忘れててもいいんだけどな。
「8回…8回も俺、侑司の誕生日を祝えてない!」
なんて怒りはじめた。
泣いたり怒ったり忙しいやつだな。
「確かに6年は傍に居なかったし、お前が記憶失くしてたから仕方ねぇとは思うけど、最後の1回はなんだよ」
6年は傍になかったし記憶もなかったから7回はしょうがねぇとは思うけど、後1回はなんだ?
「この間、1週間入院してただろ!その1週間の間に侑司の誕生日があったじゃねぇか!」
俺の胸ぐらを掴んで言ってくる。そこで気がついた。そう言えばそうだったなと。
「別に誕生日ぐれぇ気にする必要ねぇよ」
誕生日を祝ってもらわなくても、俺の傍にお前がいればいんだからよぉ。
「イヤだー!俺ばっかり祝ってもらって俺がお前にお礼してない!」
こいつは俺を絞め殺す気か?
「ちょっ、死ぬ、手ぇ緩めろや」
苦しいから手を緩めろと訴えれば、手を放してがっくりと肩を落とす。
「なぁ、ヒナ。俺は誕生日に祝ってもらわなくても、お前が俺の傍にいてくれればそれでいいんだ。だから、そこまで気にするな。どうしてもってんだったらクリスマスとか、来年にでも祝ってくれ」
陽葵をそっと抱き寄せて額に唇を寄せれば
「んっ、わかった」
少しだけ不満げだがそれでも納得したのか頷いた。
それでも不満は残ってるらしく、俺が抱き締めてる間中ずっとブツブツ言ってたのには笑った。
ほんと、泣いたり怒ったり忙しいヤツだ。
そんなこいつも俺は好きだけどな。
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