125 / 180
怪我
しおりを挟む
「菊池!ケガしたって!!」
「あっ?」
梅村が扉を壊さん勢いで入ってきて変な声が出た。
「幸永が菊池がケガしたから言って来いって…」
走ってきたのか息を整えながら飛び込んできた理由を口にする。
「ケガなぁ…」
ケガっちゃケガだが…大袈裟なんだよな。とぼんやりと思う。
「梅ちゃん聞いてよぉ、委員ちょ~ったらさぁ、可愛い子に傷付けられちゃってんのぉ」
なんて、鍋谷が揶揄いながら言う。
「可愛い子?傷付けられて?」
あー、あいつ変な誤解始めたな。なんて思う。
「てめぇ侑司どういうことだ、おい。なんだよ可愛い子って!!」
とまぁ、案の定というかなんというか怒りに任せて殴りかかってきた。
「落ち着けこのバカが」
俺はそれを避けながら言うが
「うっせぇ、説明しろ!」
頭に血がのぼった梅村が止まるわけがねぇ。
「うるせぇよ、潰れるだろうがバカが」
俺は思いっきり梅村にデコピンをお見舞いしてやる。
「いっ、ってぇぇ!!」
梅村はデコを押さえその場にしゃがんだ。
「い、委員長。今すっごいいい音しましたよ。大丈夫なんですか?」
引きつった顔をしながら二村が聞いてくるが俺的にはそれどころじゃねぇ。
「知るか。人の話も聞きやしねぇこいつが悪い」
自分の服の中で動き始めたモノを落ち着かせるのが先決だ。
せっかく落ち着て寝てたのに梅村のせいで起きちまった。これから連れて行こうと思ってたのに。
「いてぇ…何してんだ菊池?」
デコを押さえながら俺の動きが気になったのか梅村が聞いてくるがそれどころじゃねぇんだよ。
「あー、梅ちゃんは理事長んとこのネコは覚えてる?」
鍋谷が代わりに聞いてるな。責任取って説明しろこのやろ。
「えっ?あー、てめぇが俺に言ったカワイ子ちゃんか!!」
思い出したのか梅村が鍋谷に掴みかかる。
「わー、梅ちゃんギブギブ」
首を絞められかけねを上げる鍋谷。
「あー、会長、人殺しはダメです人殺しは…。こんなクズでもダメです」
それを止める二村。やってることがカオスだなこいつらは…。
「お前が勘違いしてる可愛い子はこいつだ」
俺は溜め息をつき、大人しくなってくれた子猫を見せる。
「うっ、俺が絶対に勝てない可愛い子」
って、お前は誰と競ってやがんだ。お前にはお前の可愛さがあるって言っただろが。
「なんでここに?」
不思議な顔して頭を傾げる。
「脱走兵だ。理事長が俺たちと同じように教員用の寮に住んでるのは知ってるだろ?」
梅村に説明をすれば小さく頷く。
「その寮の部屋から間違って逃げたんだ。で、俺が捕まえに出向いたら遊んでて引っかかれたぞと」
幸永がケガしたといった経緯を説明する。このやんちゃなお姫様は俺と遊ぶのに夢中になって興奮して引っかいたり、かじったりとしてくれたのだ。で、やっと落ち着いて寝てくれてたところに梅村が突撃してきた。
だからそんな大事でもなければ、酷いケガなわけでもない。
だが、こうやってけしかけてくるってことは、幸永も相当、梅村で遊んでやがる。
「ごめん」
梅村は小さく謝る。
「そろそろ理事長ん所に行くが、着いてくるか?」
そんな梅村に聞けば驚いた顔をしたが頷いた。
「じゃぁ、行くぞ。二村、そのバカを〆といてくれ」
俺は梅村と部屋を出るとき二村に鍋谷のことを頼めば
「はい。勿論です!」
「えっ?えぇぇ!!委員ちょ~許してぇ~」
にっこにこな笑顔を浮かべる二村と泣きそうな顔になる鍋谷が叫ぶ。
「自業自得だ」
とどめとばかりに梅村が呟き俺たちは部屋を出た。閉じた扉から鍋谷の断末魔が聞こえたがスルーして俺は腕の中で眠るお姫様を届けるために梅村と一緒に理事長室へと向かった。
Fin
「あっ?」
梅村が扉を壊さん勢いで入ってきて変な声が出た。
「幸永が菊池がケガしたから言って来いって…」
走ってきたのか息を整えながら飛び込んできた理由を口にする。
「ケガなぁ…」
ケガっちゃケガだが…大袈裟なんだよな。とぼんやりと思う。
「梅ちゃん聞いてよぉ、委員ちょ~ったらさぁ、可愛い子に傷付けられちゃってんのぉ」
なんて、鍋谷が揶揄いながら言う。
「可愛い子?傷付けられて?」
あー、あいつ変な誤解始めたな。なんて思う。
「てめぇ侑司どういうことだ、おい。なんだよ可愛い子って!!」
とまぁ、案の定というかなんというか怒りに任せて殴りかかってきた。
「落ち着けこのバカが」
俺はそれを避けながら言うが
「うっせぇ、説明しろ!」
頭に血がのぼった梅村が止まるわけがねぇ。
「うるせぇよ、潰れるだろうがバカが」
俺は思いっきり梅村にデコピンをお見舞いしてやる。
「いっ、ってぇぇ!!」
梅村はデコを押さえその場にしゃがんだ。
「い、委員長。今すっごいいい音しましたよ。大丈夫なんですか?」
引きつった顔をしながら二村が聞いてくるが俺的にはそれどころじゃねぇ。
「知るか。人の話も聞きやしねぇこいつが悪い」
自分の服の中で動き始めたモノを落ち着かせるのが先決だ。
せっかく落ち着て寝てたのに梅村のせいで起きちまった。これから連れて行こうと思ってたのに。
「いてぇ…何してんだ菊池?」
デコを押さえながら俺の動きが気になったのか梅村が聞いてくるがそれどころじゃねぇんだよ。
「あー、梅ちゃんは理事長んとこのネコは覚えてる?」
鍋谷が代わりに聞いてるな。責任取って説明しろこのやろ。
「えっ?あー、てめぇが俺に言ったカワイ子ちゃんか!!」
思い出したのか梅村が鍋谷に掴みかかる。
「わー、梅ちゃんギブギブ」
首を絞められかけねを上げる鍋谷。
「あー、会長、人殺しはダメです人殺しは…。こんなクズでもダメです」
それを止める二村。やってることがカオスだなこいつらは…。
「お前が勘違いしてる可愛い子はこいつだ」
俺は溜め息をつき、大人しくなってくれた子猫を見せる。
「うっ、俺が絶対に勝てない可愛い子」
って、お前は誰と競ってやがんだ。お前にはお前の可愛さがあるって言っただろが。
「なんでここに?」
不思議な顔して頭を傾げる。
「脱走兵だ。理事長が俺たちと同じように教員用の寮に住んでるのは知ってるだろ?」
梅村に説明をすれば小さく頷く。
「その寮の部屋から間違って逃げたんだ。で、俺が捕まえに出向いたら遊んでて引っかかれたぞと」
幸永がケガしたといった経緯を説明する。このやんちゃなお姫様は俺と遊ぶのに夢中になって興奮して引っかいたり、かじったりとしてくれたのだ。で、やっと落ち着いて寝てくれてたところに梅村が突撃してきた。
だからそんな大事でもなければ、酷いケガなわけでもない。
だが、こうやってけしかけてくるってことは、幸永も相当、梅村で遊んでやがる。
「ごめん」
梅村は小さく謝る。
「そろそろ理事長ん所に行くが、着いてくるか?」
そんな梅村に聞けば驚いた顔をしたが頷いた。
「じゃぁ、行くぞ。二村、そのバカを〆といてくれ」
俺は梅村と部屋を出るとき二村に鍋谷のことを頼めば
「はい。勿論です!」
「えっ?えぇぇ!!委員ちょ~許してぇ~」
にっこにこな笑顔を浮かべる二村と泣きそうな顔になる鍋谷が叫ぶ。
「自業自得だ」
とどめとばかりに梅村が呟き俺たちは部屋を出た。閉じた扉から鍋谷の断末魔が聞こえたがスルーして俺は腕の中で眠るお姫様を届けるために梅村と一緒に理事長室へと向かった。
Fin
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説




どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる