人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

槇瀬光琉

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自信がないだけ

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「あれ?ヒナがこんな方に来るなんて珍しいな」
フラフラと歩いてるわけではないけど、フラフラしてる俺に声をかけてきたのは尚也だ。
「幸永に用があって、こっちに来てるの知ってたから来たんだ」
この場所に来た理由を口にすれば

「ゆっきーなら、ゆうちゃんと一緒に今行っちゃったんだよね」
佑依斗が教えてくれる。
「侑司と一緒にデートらしい」
尚也の言葉に目の前が真っ暗になる。


二人がそんな関係じゃないのはわかってるけどそうやって言われるとショックがでかい。


「ヒナ、ゆうちゃんってそんなに信用できない?」
ショックで固まってる俺に困った顔をしながら佑依斗が聞いてきて、俺は慌てて首を横に降った。

「じゃぁ、なんでそんな顔してんだよ」
尚也の言葉にまた変な顔してたんだって気付いた。

「信用してないんじゃない…俺自身に自信がないだけで…だから…その」
うまく言葉に出来なくて困った。

「要するに自分に自信がないからゆうちゃんに愛想つかれるんじゃないかって不安なわけだ」
佑依斗の言葉に頷けば
「あー、それはまずねぇな」
「確かに、ないね」
二人して全否定した。


「なんでだよ!そんなのわかんねぇじゃん!」
だから俺はつい叫んじゃったよ。

「それはあり得ないよ。ゆうちゃんはずっとヒナのことを想い続けて、守ってきたんだもん。記憶を失くして自分のことを覚えてない相手をね」
「あいつの根性も気持ちも半端ねぇよ。一生思い出さねぇかもしれねぇのに、それでもヒナただ一人を想い続けて今まで守ってきたんだ。だからそれはあり得ねぇ」

二人の言葉の意味、重さに自分がどれだけ菊池侑司という男に思われ守られてきたのかを改めて思いしらされる。


「でも…」
それでも不安なんだ。

「あー、大丈夫。ゆっきーはゆうちゃんのストッパーだから」
「間違っても。なんてことはねぇよ。あったら逆にこえぇ」

なんて二人はケラケラ笑う。


「そうなのか?」
そんな二人に聞けば
「間違ってもこいつと…なんて考えるだけでおぞましいわ」
「本当だ。天地がひっくり返ってもあり得ない」
なんて二人とは違う声がしてビックリして振り返ったら菊池と幸永が呆れた顔っで俺を見てた。


「えっと…その…」
なんて言い訳しようか考えたけど浮かばない。
「幸永の用件は終わったからお前も生徒会室に戻れよ」
なんていいながら菊池が俺の頭をかくる叩く。

「梅村、行くぞ。用事があって迎えに来たんだろ」
幸永もそういうから俺は小さく頷いた。


なんかハブられてる感じ。


「梅村、踏み行っていい領域とわりぃ領域があるっての覚えとけ。こっからはダメな領域だ。だから今は大人しく幸永と戻れ。落ち着いたらちゃんと話すから」
そんな俺に菊池が言う。けどこっちは見ない。

「わかった。絶対だからな」
俺がそんな菊池に言えば返事の代わりに手が振られた。


それを見て俺は幸永と一緒に生徒会室へと戻るために歩きだした。


Fin

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