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約束(番外的な話)

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「梅村、明日は暇か?」
急にそんなことを聞かれた。
「へっ?明日は何もないから暇してる」
用事があっても菊池の用事ならそっち優先する。的な勢いで答えれば

「行きたいところがあるんだ。ついてきてくれるか?」
小さく笑いながら聞いてくるから
「うん、行く」
俺は即答した。


「じゃぁ、明日9時に部屋の前で待ってる」
「うん」
菊池の言葉に返事して、俺たちは別れた。



翌朝、約束の時間に部屋の外に出れば、同じように菊池が出てきた。

「おはよう、いけるか?」
そう聞かれて、俺は頷いた。
「じゃぁ、行こう」
菊池に軽く背を叩かれ歩き出した。



行き先も何も知らないまま菊池に着いて来た場所で驚いた。


「侑くん?」
目の前に広がる光景に言葉が続かない。
「記憶の中の場所は二度と甦らない。だけど、違う想い出は作れるって言っただろ?」
少しだけ意地悪な顔で笑う。


この場所は子供の頃にもう一度、行こうと言った場所。


そこには想い出の中の面影は影も形もなく、変わりに商業施設が建ち並び、中にはテーマパークのような場所もあった。


「ヒナ、昔とは違う形にはなっちまったけど、お前との約束、ちゃんと叶えたぜ。今日ここで一杯遊んで、また来ようぜ」
そっと頭を撫でながら言われた言葉に涙が出そうになった。
「約束だからな。ちゃんとまた叶えろよ」
涙を隠すようにぶっきらぼうに答えたら
「当たり前だ。さぁ時間が許すまで遊ぶぞ」
小さく笑って俺の手を握り歩き始めた。


この後、本当に寮の門限ギリギリまで遊び、クタクタになりながら俺は一緒に行けたことの喜びと幸せを噛み締めながら菊池の腕の中で眠った。


「ありがとう侑くん」



Fin
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