91 / 176
名前(番外的な話)
しおりを挟む
「梅ちゃんは委員ちょーになんて呼ばれたいの?」
急に鍋谷がそんな事を聞いてくる。
「なんて呼ばれたいって…」
俺は返事に困った。
だって、俺は普段は菊池って呼ぶし、変な所で侑くんとか侑司とか呼ぶから…。
「委員ちょーって普段はというか、ほぼほぼ梅村って呼んでるからさ、梅ちゃんはどう呼ばれたいのかなって思っただけ。深く考えないでよぉ」
鍋谷が苦笑を浮かべる。
「普段は俺も菊池呼び出し…特にはこだわりはないし」
少しだけ考えんがら答えれば
「あれ?委員ちょーって名前呼ばない派?」
なんて聞かれて
「たまにしか…それにちゃんとは呼ばないし…」
つい、うっかり本当のことを答えた。
「あー、梅ちゃんは呼んで欲しいんだね。委員ちょーに」
なんてニヤニヤしながら鍋谷がいう。
「呼ばねぇぞ。お前みたいなヤツがいる所じゃぜぇってぇにな」
そんな言葉が後ろから飛んできてビックリして振り返れば二村と一緒に菊池が戻ってきたところだった。
「いつから?」
「えーっ、いいじゃん、委員ちょーケチ臭い」
俺と鍋谷の言葉が重なった。
「ナベはうるさい。お前がついうっかり本当のことを話した頃だ」
鍋谷に一言言ってから俺の問いの答える辺りさすがだな菊池。
「えぇー、委員長のケチぃ」
なんて鍋谷が文句をぶうたれる。
「お前の前で呼んだら梅村の名が汚れる」
なんてはたから聞いてると結構ヒドイことを言うな。
「えぇん、いいじゃん侑司。俺との仲じゃん!」
なんてまだ言ってる鍋谷もすごいな。
「だからだ。だから言わねぇよ」
菊池もあっさり言ってるし。
なんだかカオスになってきた気がする。
俺は風紀の奴らが集まり出したから生徒会室に戻ろうと思って何も言わずに扉の方に行けば
「あー、梅村待てや」
なんて、菊池に呼び止められて立ち止まって振り返ろうとしたら、いつの間にか真後ろに菊池がいて
「疲れてるんならちゃんと休めヒナ」
俺にしか聞こえないように言ってきた。
急に名前で呼ばれてビックリしたけど嬉しくて、でも恥ずかしくて、菊池の胸に顔を埋めた。
「それ…反則だから」
ボソリと呟けば
「まぁ、俺の特権ですから」
なんて笑われた。確かにそうだけどさ。
「じゃぁ、俺の特権。癒せよ」
胸に顔を埋めたまま言えば
「帰ったら好きなだけどうぞ」
大きな手がそっと頭を撫でていく。
「戻る」
俺はそう宣言して今度こそ扉を開けた。
「そっち戻ったらちゃんと休めよ」
後ろから菊池の言葉が飛んできて俺は手を振って答えた。
結局、俺は宣言通り帰ってから菊池の部屋でさんざん甘えさせてもらった。
ってか、なんで俺が疲れてるってわかったんだ?
まぁ、いいか。
ちゃんと菊池に癒してもらったしな。
いや、でも、普段聞きなれない呼ばれ方をすると恥ずかしいな。
特にあいつはいつも名字呼びだからさ。
名前で呼ばないヤツがたまに呼ぶと破壊力あるんだな。
子供の時はよかったんだけど、学校で呼ぶのはやめてくれ。
恥ずかしくて、顔が赤くなるから…。
でも呼ばれたいけどさ。
わがままな俺。
Fin
急に鍋谷がそんな事を聞いてくる。
「なんて呼ばれたいって…」
俺は返事に困った。
だって、俺は普段は菊池って呼ぶし、変な所で侑くんとか侑司とか呼ぶから…。
「委員ちょーって普段はというか、ほぼほぼ梅村って呼んでるからさ、梅ちゃんはどう呼ばれたいのかなって思っただけ。深く考えないでよぉ」
鍋谷が苦笑を浮かべる。
「普段は俺も菊池呼び出し…特にはこだわりはないし」
少しだけ考えんがら答えれば
「あれ?委員ちょーって名前呼ばない派?」
なんて聞かれて
「たまにしか…それにちゃんとは呼ばないし…」
つい、うっかり本当のことを答えた。
「あー、梅ちゃんは呼んで欲しいんだね。委員ちょーに」
なんてニヤニヤしながら鍋谷がいう。
「呼ばねぇぞ。お前みたいなヤツがいる所じゃぜぇってぇにな」
そんな言葉が後ろから飛んできてビックリして振り返れば二村と一緒に菊池が戻ってきたところだった。
「いつから?」
「えーっ、いいじゃん、委員ちょーケチ臭い」
俺と鍋谷の言葉が重なった。
「ナベはうるさい。お前がついうっかり本当のことを話した頃だ」
鍋谷に一言言ってから俺の問いの答える辺りさすがだな菊池。
「えぇー、委員長のケチぃ」
なんて鍋谷が文句をぶうたれる。
「お前の前で呼んだら梅村の名が汚れる」
なんてはたから聞いてると結構ヒドイことを言うな。
「えぇん、いいじゃん侑司。俺との仲じゃん!」
なんてまだ言ってる鍋谷もすごいな。
「だからだ。だから言わねぇよ」
菊池もあっさり言ってるし。
なんだかカオスになってきた気がする。
俺は風紀の奴らが集まり出したから生徒会室に戻ろうと思って何も言わずに扉の方に行けば
「あー、梅村待てや」
なんて、菊池に呼び止められて立ち止まって振り返ろうとしたら、いつの間にか真後ろに菊池がいて
「疲れてるんならちゃんと休めヒナ」
俺にしか聞こえないように言ってきた。
急に名前で呼ばれてビックリしたけど嬉しくて、でも恥ずかしくて、菊池の胸に顔を埋めた。
「それ…反則だから」
ボソリと呟けば
「まぁ、俺の特権ですから」
なんて笑われた。確かにそうだけどさ。
「じゃぁ、俺の特権。癒せよ」
胸に顔を埋めたまま言えば
「帰ったら好きなだけどうぞ」
大きな手がそっと頭を撫でていく。
「戻る」
俺はそう宣言して今度こそ扉を開けた。
「そっち戻ったらちゃんと休めよ」
後ろから菊池の言葉が飛んできて俺は手を振って答えた。
結局、俺は宣言通り帰ってから菊池の部屋でさんざん甘えさせてもらった。
ってか、なんで俺が疲れてるってわかったんだ?
まぁ、いいか。
ちゃんと菊池に癒してもらったしな。
いや、でも、普段聞きなれない呼ばれ方をすると恥ずかしいな。
特にあいつはいつも名字呼びだからさ。
名前で呼ばないヤツがたまに呼ぶと破壊力あるんだな。
子供の時はよかったんだけど、学校で呼ぶのはやめてくれ。
恥ずかしくて、顔が赤くなるから…。
でも呼ばれたいけどさ。
わがままな俺。
Fin
10
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる