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言葉の意味
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無言で俺を見る菊池が怖くて俺は菊池から視線を反らした。
ハァッてでっかい溜め息の後、チュッて軽い音がして額にキスされた。
驚いて菊池を見たら苦笑を浮かべてた。
「菊池?」
なんと声をかければいいのかわからなくて名前を呼んだら
「本当に聞きたいのか?」
って問われた。
聞きいたいけど…。
戸惑いながら頷けばまた大きな溜め息をついた。
「お前が傷付いた俺を見る度に壊れてくから、あれ以上、壊さないために俺を忘れろって言った。正直あん時は俺もヤバいって思った。死ぬかもって。だったら俺のことも忘れちまえば辛いことも忘れられるだろって思ったんだよ」
苦虫を潰したような顔をして説明してくれた。
実際にあの時は菊池は大怪我をおい、瀕死の状態でいつ目が覚めるかわからないと言われたと、記憶が戻ってから鍋谷たちに教えてもらった。
階段から落ちただけじゃなく、桐渓が落とした刃物類も菊池の身体を傷つけていたから。
「血だらけの状態でお前に言ったから、それがある意味、催眠術みたいになって本当に目が覚めた時にはお前は俺という存在を忘れてたし、あの時の一件も忘れてた」
俺の頭を撫でながら言ってくる。
「なんで…じゃぁ、なんで退院してから侑司は居なくなったんだよ」
あの言葉の理由もだけど、俺の前からも消えたんだ。だから余計に俺は菊池侑司という存在を忘れていた。イヤ、失くした記憶を取り戻すまで、大好きだった菊池侑司を忘れていたのだ。
「一つは怪我の問題でアメリカに行った方が良かったから。もう一つはお前をちゃんと守る術を覚えるため。お前がこの学園に行くのは鍋谷たちから聞いてたから、こっちに戻ってきたときに俺も受験した」
俺の知らないところでこの男たちはずっと守ってくれていたのだ。
「ありがとう」
その言葉を告げた瞬間にポロリと涙が零れた。
悲しいとかじゃなくて、喜びの涙。
「まぁ、もう一つ言えば、今の俺を惚れさせたくて、記憶がないお前とのやり取りを楽しんでた」
なんて言われて驚いた、けど
「その割には意地悪だったんじゃないのか?」
そう思う部分もある。
「そこはほら好きな子ほど苛めたくなるっていうヤツだな」
なんてあっさり言われた。
「むー、ひでぇ」
俺なりに悩んでたのに、菊池は楽しんでたってことか。
「その分、ちゃんと俺をいう男を刻み込んでやっただろ?お前がイヤだというぐらいには」
何て言いながら頬に口付けられる。
「あれはこえぇよぉ。抜け出せなくなったらどうするんだよ」
マジで抜け出せなくなりそうで怖い。
「いいんじゃね?俺が干渉しまくってやるからお前は俺に甘えてろ。抜け出せねぇぐらい愛してやるよ」
なんて、マジでこえぇことを言ってくれる。
「浮気したら祟ってやるからな」
だからこれだけは言っておこう。
「お前もな」
なんて同じ言葉で返された。
二人して顔を見合わせ笑いあい、そっと降りてくる菊池の唇を受け止めながらその背に腕を回した。
俺を思っての言葉だったんだと知らされて、俺は一体この男にどれだけ守られてきたんだろうか?
今までも、この先も俺はずっとこの男の傍にいたい。
依存してると言われるぐらいに俺は菊池侑司が好きで、必要だから。
Fin
ハァッてでっかい溜め息の後、チュッて軽い音がして額にキスされた。
驚いて菊池を見たら苦笑を浮かべてた。
「菊池?」
なんと声をかければいいのかわからなくて名前を呼んだら
「本当に聞きたいのか?」
って問われた。
聞きいたいけど…。
戸惑いながら頷けばまた大きな溜め息をついた。
「お前が傷付いた俺を見る度に壊れてくから、あれ以上、壊さないために俺を忘れろって言った。正直あん時は俺もヤバいって思った。死ぬかもって。だったら俺のことも忘れちまえば辛いことも忘れられるだろって思ったんだよ」
苦虫を潰したような顔をして説明してくれた。
実際にあの時は菊池は大怪我をおい、瀕死の状態でいつ目が覚めるかわからないと言われたと、記憶が戻ってから鍋谷たちに教えてもらった。
階段から落ちただけじゃなく、桐渓が落とした刃物類も菊池の身体を傷つけていたから。
「血だらけの状態でお前に言ったから、それがある意味、催眠術みたいになって本当に目が覚めた時にはお前は俺という存在を忘れてたし、あの時の一件も忘れてた」
俺の頭を撫でながら言ってくる。
「なんで…じゃぁ、なんで退院してから侑司は居なくなったんだよ」
あの言葉の理由もだけど、俺の前からも消えたんだ。だから余計に俺は菊池侑司という存在を忘れていた。イヤ、失くした記憶を取り戻すまで、大好きだった菊池侑司を忘れていたのだ。
「一つは怪我の問題でアメリカに行った方が良かったから。もう一つはお前をちゃんと守る術を覚えるため。お前がこの学園に行くのは鍋谷たちから聞いてたから、こっちに戻ってきたときに俺も受験した」
俺の知らないところでこの男たちはずっと守ってくれていたのだ。
「ありがとう」
その言葉を告げた瞬間にポロリと涙が零れた。
悲しいとかじゃなくて、喜びの涙。
「まぁ、もう一つ言えば、今の俺を惚れさせたくて、記憶がないお前とのやり取りを楽しんでた」
なんて言われて驚いた、けど
「その割には意地悪だったんじゃないのか?」
そう思う部分もある。
「そこはほら好きな子ほど苛めたくなるっていうヤツだな」
なんてあっさり言われた。
「むー、ひでぇ」
俺なりに悩んでたのに、菊池は楽しんでたってことか。
「その分、ちゃんと俺をいう男を刻み込んでやっただろ?お前がイヤだというぐらいには」
何て言いながら頬に口付けられる。
「あれはこえぇよぉ。抜け出せなくなったらどうするんだよ」
マジで抜け出せなくなりそうで怖い。
「いいんじゃね?俺が干渉しまくってやるからお前は俺に甘えてろ。抜け出せねぇぐらい愛してやるよ」
なんて、マジでこえぇことを言ってくれる。
「浮気したら祟ってやるからな」
だからこれだけは言っておこう。
「お前もな」
なんて同じ言葉で返された。
二人して顔を見合わせ笑いあい、そっと降りてくる菊池の唇を受け止めながらその背に腕を回した。
俺を思っての言葉だったんだと知らされて、俺は一体この男にどれだけ守られてきたんだろうか?
今までも、この先も俺はずっとこの男の傍にいたい。
依存してると言われるぐらいに俺は菊池侑司が好きで、必要だから。
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