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種明かし

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夕方近くになってやっと痛みにも慣れ普通に動けるようになった頃

「行きてぇとこあんだけど、ついてこれるか?」
って菊池に聞かれた。
「どこに?」
行き先が気になって聞けば
「ついてからのお楽しみだ」
なんて意地悪く笑われた。


「むーっ」
素直に教えてもらえなくて口を尖らせれば
「ついてくれば昨日の真相がわかるぞ」
何て言われれば絶対に行く!


「浮気だったら許さないからな!」
と一応言っておく。
「なんだそりゃ。今回の梅村はヤキモチやきだなぁ。いいからついてこい」
半ば呆れながらも俺の頭を撫でて連れ出した。



で、行き着いた場所は理事長室。


えっ?なんで?


「昨日ナベが言ってた可愛い子がこれだ」
そう言いながら菊池が俺の目の前に出してきたのはふわふわの毛をした茶トラの子猫

「か…か...かわいい!」


あれ?なんで子猫?


「迷い猫だ。校内で見つけたって連絡が入って俺が出向いたって訳だ」
菊池が簡単に説明してくれた。
「どうしよう…俺この子には勝てない…侑司が余所見しても仕方ないと思う」
なんて菊池に言えば

「なんっう情けねぇ顔してんだお前。大丈夫だ、俺はこいつの可愛さもお前の可愛さもちゃんとわかってっから、愛でるなら両方一緒だ」
頭を撫でながら言われた。


うん、なんか嬉しい。ちゃんと俺のこと見てくれてるってわかるから。


「可愛いけどこの子はどうするんだ?」
「残念だが、誰にもやらんぞ」
俺が菊池に聞いたら後ろから声がしてビクッて跳び跳ねた。

「理事長、脅かすと逃げますよ」
なんて、菊池はのんきにしてるし、子猫も俺もしっかり捕まえてる。
「あぁ、すまん。で、どうしたんだね」
がっはっはと理事長が笑う。

「俺が可愛い子とデートしてたって聞いたらしくて、いじけてたんで種明かしに連れてきたんです」
なんて菊池のやろう理事長の前でそんなことを言いやがった。

「あぁ、なんだヤキモチかね。安心しなさい、君も十分可愛いからね梅村くん」
「えっ、ぁっ、ちょっ、理事長~!」
理事長からでた言葉に俺は焦った。

「公開告白してんだから当たり前だろう。みんなに公認されてんだぞお前」
菊池に至っては呆れながら言ってくれる。

「なんでだよ!そんなの俺知らねぇよ!」
だからつい叫んじまった。

「ソロソロ戻るぞ。それじゃぁ理事長、お邪魔しました」
「まぁ、色々と頑張りたまえ」
菊池の言葉に理事長が答えてるのを見ながら俺は項垂れた。


俺って...そんなにわかりやすいんだろうか?


俺はますます項垂れて菊池に引っ張られながら菊池の部屋に戻ることになった。


その後、項垂れたままの俺は菊池にこれ以上は無理だ!と叫びそうなぐらい愛でられたのだった。


嬉しい反面、物足りなくなりそうで怖いんだよクソッ!


Fin

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