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思い出の場所
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「なぁ菊池。一つ聞いてもいいか?」
風紀委員室で作業をしている菊池に声をかければ
「なにをだ?」
作業したままで返事が返ってきた。
それでも話をすることを拒否られてる訳じゃなくて、作業はしてるけど話は聞くから話せと言ってるようだった。
「子供の頃にもう一度、一緒に行こうって言った場所のことを覚えてるか?」
もしかしたら覚えてないかもしれない。それでも聞きたかったんだ。
「行かねぇぞ」
菊池から出た言葉は俺を突き放す言葉だった。
「なんでだよ!」
だからつい叫んじゃったよ。
「うるせぇ、叫ぶな」
そういいながら顔を上げた菊池は少しだけ困った顔になっていた。
「なんでだよ」
だから今度は普通のトーンで聞いた。
「行かねぇんじゃなくて、行ってもあそこにはもう何も残ってねぇからだ。お前が記憶をなくした同じ時期にあそこは壊されて無くなった」
菊池の説明に目の前が真っ暗になった。
約束してたのに、もう行けなくなっていた。
俺が記憶を無くしてる間に壊されていた。
「だから、あの場所には行けねぇ。でも、違う場所なら行けるだろ」
菊池の言葉に驚いてジッと顔を見た。
「昔の記憶や思い出じゃなくて、今の梅村陽葵の思い出を作っていけばいいだろ?これからだって時間はあるんだしな」
こういうときの菊池はちゃんとそれを実行してくれるのはわかってるけど
「い、いいのか?」
つい聞いてしまった。
「ダメなら言わねぇよ。お前が俺を本気にさせれたらもっといい思い出も増えるかもな」
「その言葉、後悔するなよ!」
菊池の言葉に俺が言えば
「まぁ、がんばれ」
なんてニヤリと笑って言われた。
でも俺は気が付いてる。
菊池侑司は好きでもない相手にこんなことしないのを...。
俺を守るために恋愛ゲームをしてることを...。
今まで俺を追い回してきてた奴らから俺を守るためにゲームをしてることに...。
でもゲームの勝敗は決まってる。
結局は俺の負け。
菊池侑司から離れられないのは俺だから。
Fin
風紀委員室で作業をしている菊池に声をかければ
「なにをだ?」
作業したままで返事が返ってきた。
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「子供の頃にもう一度、一緒に行こうって言った場所のことを覚えてるか?」
もしかしたら覚えてないかもしれない。それでも聞きたかったんだ。
「行かねぇぞ」
菊池から出た言葉は俺を突き放す言葉だった。
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だからつい叫んじゃったよ。
「うるせぇ、叫ぶな」
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「なんでだよ」
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約束してたのに、もう行けなくなっていた。
俺が記憶を無くしてる間に壊されていた。
「だから、あの場所には行けねぇ。でも、違う場所なら行けるだろ」
菊池の言葉に驚いてジッと顔を見た。
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「い、いいのか?」
つい聞いてしまった。
「ダメなら言わねぇよ。お前が俺を本気にさせれたらもっといい思い出も増えるかもな」
「その言葉、後悔するなよ!」
菊池の言葉に俺が言えば
「まぁ、がんばれ」
なんてニヤリと笑って言われた。
でも俺は気が付いてる。
菊池侑司は好きでもない相手にこんなことしないのを...。
俺を守るために恋愛ゲームをしてることを...。
今まで俺を追い回してきてた奴らから俺を守るためにゲームをしてることに...。
でもゲームの勝敗は決まってる。
結局は俺の負け。
菊池侑司から離れられないのは俺だから。
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