人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

公開告白

全校集会が開かれ梅村が壇上し全校生徒の前で今回の件を謝った。


「今回、桐渓の件に関してはみんなに心配もさせたし迷惑もかけた。すまなかった」
みんなの前で頭を下げる。

ざわざわと騒がしくなるが誰も野次を飛ばすわけじゃない。

何が起こっていたのかを誰もが知っているから。だから誰も文句は言わないし、ヤジも飛ばさない。


「ここで一つ言いたいことがある。菊池侑司、俺はお前が好きだ。付き合ってくれ」
なんていきなりそんなことを言い出すもんだからこっちは驚きだ。

わぁ！！って会場に歓声が上がりみんなの視線が一気に俺に集まる。


「どうするんですぅ～委員ちょ～」
隣にいる鍋谷が楽しげに聞いてくる。俺は溜め息をつき

「梅村、愛してる」
なんて返事をすれば、梅村の顔がホッっと安堵の表情を浮かべ嬉しそうに笑う。さっきと同じようにわっと歓声が上がり少しだけ騒がしくなる。


が、
「なんていうと思ったか？頑張って俺を本気で惚れさすんだな」
ニヤリと笑って言ってやれば
「なんでだよ！！」
とすかさず突っ込みが入ったがその顔は楽しそうだ。


「委員長…ゲスいっすね」
「喜ばしといて落とすなんて…」
隣にいる鍋谷と二村が呆れながら言う。

「なに言ってやがる。俺はちゃんと梅村に返事はしたぞ」
梅村に言った”愛してる”は嘘じゃないし、本気にさせろといったのも本当のことだ。

それをわかってるからこそ梅村は笑ってるんだ。


「そういえばゆうくんって時々、本当の気持ちと嘘の気持ちをヒナに言うよねぇ」
「ガキのイジメみたいにな。好きな子ほどイジメたいってやつ」
「でも、そのイジメをヒナがイジメだと思ってないところがな…」
「恋は盲目ってやつか」
「イヤ、あれはヒナが鈍いだけだろ？」

俺の後ろで5人がボソボソ言ってやがる。


「ってか、委員長はアメとムチの使い方がうまいよねぇ」
「確かに会長に関しては特にうまいですね」
鍋谷と二村まで言ってやがるが、そこは無視しておこう。


「菊池～！俺に惚れさせるから覚悟しろよ！」
梅村に関しては宣戦布告をしてきやがる。

「頑張れよ。お前が俺に干渉される覚悟があるならな」
だからこれだけは言っておいた。



人に干渉されるのが嫌いなのは結局、治ってないんだしな。


ちょっと驚いた顔をしたが

「俺がお前に干渉するからいんだよ！」
「なんでだよ！」
梅村が笑いながら言うのでつい俺も突っ込んでしまった。


こうして全校集会は梅村の告白劇で幕を閉じた。


まさかこんなことするとは思わなかったぞ俺は…。


まぁ、頑張ってもらいますかね。



Fin