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本当はどうしたいんだ

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「で?結局お前はどうしたいんだ?」
お前の本心はどうなんだと問えば黙ってしまう。


「くだらねぇことを考えるのはお前の勝手だけど本心隠してまでそんなこと言うんだったら俺は二度とお前には係わらねぇし、干渉もしねぇよ」
自分のことを棚にあげてとはこの事をいうんだろう。俺だって本心は隠したままだ。

「…っ…俺は…俺のせいで傷付く侑司を見たくない。...でも...俺...侑司の傍にはいたい...好きだから...」
俯いたままで告げられる言葉。

握りしめられている手は小さく震えていた。


「だったら簡単じゃねぇか。今まで通りでいいじゃねぇか」
震える梅村の手を掴み自分の方に引き寄せて抱き締めてやる。
「き...菊池...」
俺の行動に驚き声をあげるが逃げようとはしない。それは俺だから許されてる行為。


まぁ、付き合ってもねぇのに散々キスだのなんだのしてたからな。最後までやってねぇだけで。


「好きなんだろ?だったら傍にいろ。俺はお前を守るのが好きなんだよ」
抱き締めた腕に少しだけ力を籠めた。



守るのも甘やかすのも全部、梅村陽葵だからしたいことで、俺からしたらそれは当たり前のことだった。


「じゃぁ、俺の前でケガするな...そしたらずっと守られてやるから」
なんて半泣きで言ってくる言葉に笑ってしまう。
「偉そうに。まぁ、努力はしてやる」
梅村の頭を撫でて言ってやれば小さく頷いた。



梅村が納得したならそれでいい。


しばらくの間、俺は梅村を抱き締めていた。



Fin

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