63 / 173
ごめんなさい
しおりを挟む
鍋谷と二村の言葉を聞いてから梅村が黙り込んだ。
自分が壊れる原因を知って、俺がそれに係わってるのを思い出して責任を感じたんだろう。
鍋谷に言われた惚れてるということと、依存しているということも梅村を悩ませる要因だろう。
「委員長~どうしよう。梅ちゃんが落ち込んじゃった」
「どうしましょう」
鍋谷と二村が不安げに言ってくる。
「大丈夫だ、後でちゃんと梅村とは話し合うから」
梅村の様子を見ながら二人に言えば少しだけホッとした顔になる。
梅村自身が向き合わなきゃいけない問題だし、最終的には答えを出さなきゃいけない問題でもある。
周りの俺たちがとやかく言う問題じゃない。
梅村の気持ちは梅村にしかわからないんだからな。
桐渓が逮捕されて授業も通常に戻り普通にしてはいるが、こやって風紀に入り浸り俺の傍にいるのは梅村自身がまだ落ち着きを取り戻していないからだし、悩んでるのもわかってる。
だから俺もあえて何も言わないで、梅村の好きなようにしていたんだが…。
鍋谷も二村も梅村のことが心配だったし、あの現場を見ていたからこその言葉だ。この二人は小学の時も全部見ていたからな。
「梅村、そろそろ戻らないと生徒会の連中が心配するぞ」
考え込んでる梅村に声をかければ
「ごめん」
小さく謝る。
しょうがねぇなぁ…
俺は内心溜め息をつき立ち上がると、いつの間にか部屋の隅っこでいじけてる梅村の傍に行き後ろから抱き締めた。
「帰ったらちゃんと全部聞いてやるから、今はいつもの梅村陽葵に戻れや。じゃねぇと他のヤツが心配して干渉してくるぞ」
梅村にしか聞こえないように言えば
「なんでだよ、干渉するなよ」
などと言い出す。
「ならいつものお前に戻れ。帰ったら俺が干渉しまくってやるから」
「なんでだよ!」
俺の言葉にいつものように言い返してきた。
「生徒会室まで送るぞ」
そんな梅村を立たせ生徒会室まで送ると言えば
「…ごめん…」
小さく呟いた。
だが俺は敢てそれに返事することなく梅村を連れて部屋を出た。
「…侑くん…ごめんね…」
生徒会室に送る途中で梅村が立ち止まりいう。
「俺は今、ここでそれを聞くつもりはない。部屋に帰ってからゆっくり聞いてやるから、謝るな」
お前からの謝罪が欲しいわけじゃない。
俺は俺の意思でお前を守ってたんだからな。後悔なんかしてない。
だから謝るな。
それ以上、梅村は何も言ってこなくなった。
俺は梅村を生徒会室に送り届け深い溜め息をついた。
帰ってからの話し合いが大変そうだ。
Fin
自分が壊れる原因を知って、俺がそれに係わってるのを思い出して責任を感じたんだろう。
鍋谷に言われた惚れてるということと、依存しているということも梅村を悩ませる要因だろう。
「委員長~どうしよう。梅ちゃんが落ち込んじゃった」
「どうしましょう」
鍋谷と二村が不安げに言ってくる。
「大丈夫だ、後でちゃんと梅村とは話し合うから」
梅村の様子を見ながら二人に言えば少しだけホッとした顔になる。
梅村自身が向き合わなきゃいけない問題だし、最終的には答えを出さなきゃいけない問題でもある。
周りの俺たちがとやかく言う問題じゃない。
梅村の気持ちは梅村にしかわからないんだからな。
桐渓が逮捕されて授業も通常に戻り普通にしてはいるが、こやって風紀に入り浸り俺の傍にいるのは梅村自身がまだ落ち着きを取り戻していないからだし、悩んでるのもわかってる。
だから俺もあえて何も言わないで、梅村の好きなようにしていたんだが…。
鍋谷も二村も梅村のことが心配だったし、あの現場を見ていたからこその言葉だ。この二人は小学の時も全部見ていたからな。
「梅村、そろそろ戻らないと生徒会の連中が心配するぞ」
考え込んでる梅村に声をかければ
「ごめん」
小さく謝る。
しょうがねぇなぁ…
俺は内心溜め息をつき立ち上がると、いつの間にか部屋の隅っこでいじけてる梅村の傍に行き後ろから抱き締めた。
「帰ったらちゃんと全部聞いてやるから、今はいつもの梅村陽葵に戻れや。じゃねぇと他のヤツが心配して干渉してくるぞ」
梅村にしか聞こえないように言えば
「なんでだよ、干渉するなよ」
などと言い出す。
「ならいつものお前に戻れ。帰ったら俺が干渉しまくってやるから」
「なんでだよ!」
俺の言葉にいつものように言い返してきた。
「生徒会室まで送るぞ」
そんな梅村を立たせ生徒会室まで送ると言えば
「…ごめん…」
小さく呟いた。
だが俺は敢てそれに返事することなく梅村を連れて部屋を出た。
「…侑くん…ごめんね…」
生徒会室に送る途中で梅村が立ち止まりいう。
「俺は今、ここでそれを聞くつもりはない。部屋に帰ってからゆっくり聞いてやるから、謝るな」
お前からの謝罪が欲しいわけじゃない。
俺は俺の意思でお前を守ってたんだからな。後悔なんかしてない。
だから謝るな。
それ以上、梅村は何も言ってこなくなった。
俺は梅村を生徒会室に送り届け深い溜め息をついた。
帰ってからの話し合いが大変そうだ。
Fin
10
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる