上 下
57 / 177

光る刃

しおりを挟む
遠くで誰かの話し声が聞こえる。

誰かが何かを言ってるけど、聞こえないし、意味がわからない。


「どぉしよぉ…侑くんが…侑くんが…」
目の前に広がる赤い血の海は止まることなく広がっていく。


「隙だらけ。梅村も一緒に逝っちゃいなよ」
そんな声が聞こえて顔を上げればすぐ近くに桐渓がいて手には光るナイフが握られていた。


『ヤバイ』
って思うけど身体が動かないし、菊池をこのままにしておけない。

「じゃぁ、菊池と一緒に逝っちゃえよ」
桐渓の楽しそうな声。振りかざされるナイフ。


「動くなよ」
そんな低い声が真横から聞こえ
「えっ?」
確認する間もなく俺の身体は宙を浮き後ろに吹き飛ばされた。

けれど、いつまで経っても激しい痛みは来ず
「ナイスキャッチ」
「さすがだねぇ」
なんて鍋谷と二村の声が聞こえた。

瞑っていた目を開けば赤い大きな背中が見えて、身体にしっかりと巻き付かれている4本の腕。

「見ないままで投げるかあいつ」
「まぁ、ゆうくんだから出きることだし、それだけ信頼されてるってことなんだからさ」
呆れながら言う二人を見れば
「佑依くんに季里仁きりひとくん」
見知った顔だった。


「梅ちゃん、その二人から離れないでねぇ~。委員長の邪魔すると梅ちゃんも殺されるよ」
鍋谷がとんでもない言葉を発してくる。

「なっ、無茶な...」
「うるせぇ梅村。大人しくそこにいろ」
俺が鍋谷に反論しかけたら菊池自身に言われ黙るしかなかった。

いつになく低い声。俺を見ることなく告げてくる言葉。それは菊池がかなり怒っていると言うこと。

「後はあいつに任せればいい」
「ヒナは俺たちとここにいて、ゆうくんが終わらせるのを待てばいいよ」
二人の言葉に小さく頷いた。

だけど、あいつの背中は真っ赤に染まってて...


俺...またあいつにケガさせちゃった...



Fin

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

処理中です...