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光る刃
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遠くで誰かの話し声が聞こえる。
誰かが何かを言ってるけど、聞こえないし、意味がわからない。
「どぉしよぉ…侑くんが…侑くんが…」
目の前に広がる赤い血の海は止まることなく広がっていく。
「隙だらけ。梅村も一緒に逝っちゃいなよ」
そんな声が聞こえて顔を上げればすぐ近くに桐渓がいて手には光るナイフが握られていた。
『ヤバイ』
って思うけど身体が動かないし、菊池をこのままにしておけない。
「じゃぁ、菊池と一緒に逝っちゃえよ」
桐渓の楽しそうな声。振りかざされるナイフ。
「動くなよ」
そんな低い声が真横から聞こえ
「えっ?」
確認する間もなく俺の身体は宙を浮き後ろに吹き飛ばされた。
けれど、いつまで経っても激しい痛みは来ず
「ナイスキャッチ」
「さすがだねぇ」
なんて鍋谷と二村の声が聞こえた。
瞑っていた目を開けば赤い大きな背中が見えて、身体にしっかりと巻き付かれている4本の腕。
「見ないままで投げるかあいつ」
「まぁ、ゆうくんだから出きることだし、それだけ信頼されてるってことなんだからさ」
呆れながら言う二人を見れば
「佑依くんに季里仁くん」
見知った顔だった。
「梅ちゃん、その二人から離れないでねぇ~。委員長の邪魔すると梅ちゃんも殺されるよ」
鍋谷がとんでもない言葉を発してくる。
「なっ、無茶な...」
「うるせぇ梅村。大人しくそこにいろ」
俺が鍋谷に反論しかけたら菊池自身に言われ黙るしかなかった。
いつになく低い声。俺を見ることなく告げてくる言葉。それは菊池がかなり怒っていると言うこと。
「後はあいつに任せればいい」
「ヒナは俺たちとここにいて、ゆうくんが終わらせるのを待てばいいよ」
二人の言葉に小さく頷いた。
だけど、あいつの背中は真っ赤に染まってて...
俺...またあいつにケガさせちゃった...
Fin
誰かが何かを言ってるけど、聞こえないし、意味がわからない。
「どぉしよぉ…侑くんが…侑くんが…」
目の前に広がる赤い血の海は止まることなく広がっていく。
「隙だらけ。梅村も一緒に逝っちゃいなよ」
そんな声が聞こえて顔を上げればすぐ近くに桐渓がいて手には光るナイフが握られていた。
『ヤバイ』
って思うけど身体が動かないし、菊池をこのままにしておけない。
「じゃぁ、菊池と一緒に逝っちゃえよ」
桐渓の楽しそうな声。振りかざされるナイフ。
「動くなよ」
そんな低い声が真横から聞こえ
「えっ?」
確認する間もなく俺の身体は宙を浮き後ろに吹き飛ばされた。
けれど、いつまで経っても激しい痛みは来ず
「ナイスキャッチ」
「さすがだねぇ」
なんて鍋谷と二村の声が聞こえた。
瞑っていた目を開けば赤い大きな背中が見えて、身体にしっかりと巻き付かれている4本の腕。
「見ないままで投げるかあいつ」
「まぁ、ゆうくんだから出きることだし、それだけ信頼されてるってことなんだからさ」
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「後はあいつに任せればいい」
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だけど、あいつの背中は真っ赤に染まってて...
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