人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

槇瀬光琉

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広がり続ける噂

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桐渓が流した噂を鵜呑みにしたヤツが増え、嘘の噂が広がっていく。


それによって梅村が壊れていく。


桐渓はそう予想したんだろう。梅村を今度こそ壊すと言っていたのだから。


ただ、桐渓にとって一つだけ誤算があった。


初めこそは梅村も壊れたが今では普通に戻っている。


梅村が戻ってこれたのは無くした記憶を取り戻したから。
自分に何が起きたのかを鮮明に思い出し、苛立ち不安になり、癇癪を起こし暴れた。


その苛立ちも、不安も、癇癪も全部、俺と言う男にぶつけて、自分の中に受け入れていつもの梅村に戻った。

それでも桐渓は懲りずにデッチ上げな噂を流していく。


『会長様って可愛い顔してヤリチンらしいよ』
『毎日やらないと寝れないらしい』
『実はビッチで淫乱って言う話だぜ』
『校内で男買ってる話だよ』
『実は生徒会に男を連れ込んでるって』


そんなくだらない噂を信じる奴らもどうかとは思うが流す桐渓もどうなんだか...


でもって一番驚いたのは

「なぁ、俺ってビッチで淫乱だったのか?」
なんて真顔で梅村自身が聞いてきたことだ。

「梅ちゃ~ん。梅ちゃんは恋愛初心者で誰ともエッチしたことないでしょう~」
「それともそんな相手がいるんですか!」

と鍋谷と二村に言われてた。


「いや、だって俺が菊池の部屋にいるときにそんなことしてたらわからないだろ?」
梅村の言葉で部屋の中にいた全員の視線が俺に集まる。
「なんだよ」
言わんとすることはわかるが一応聞いてみた。

「委員長どうなんすか?」
鍋谷は興味津々で聞いてきて梅村は何かを期待する目で見てきた。

「抱いてねぇよ。怯えまくってる恋愛初心者に手ぇ出せるか。毎晩やってたのはデコチューだけだ」
俺の言葉を聞き梅村はガッカリして項垂れる。


「やっぱりねぇ。梅ちゃんは梅ちゃんのままだ。まぁでもぉ、委員長がぁ手を出さないとも限らないけどぉ」
なんて鍋谷が言いやがる。

「そうなのか?」
項垂れてた梅村ががばりと顔を上げ俺をみた。
「期待すんな」
だからそう言っておいた。


この先の関係なんてどうなるかわからねぇからな。


俺の気持ちもあいつの気持ちも梅村の中にある。

それを取り出すかどうかは梅村次第だ。


「もぉ、委員長は素直じゃないんだからぁ~」
「鍋ぇ~!八つ裂きにするぞ!」
俺をからかい始めたナベを怒鳴り付けた。


でたらめの噂をいい加減にどうにかしねぇとな


Fin

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