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不安といら立ち
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色々と、思い出して、不安とか、苛立ちとかが溢れていって、誰彼かまわずに当たり散らしそうになって、今まで以上に人を拒絶した。
「梅ちゃん、大丈夫?」
風紀委員の部屋の隅っこで膝を抱えて座っていたら、急に声をかけられて顔を上げて相手を見れば鍋谷だった。
「委員長ちょっと外出しちゃったからね。俺でごめんね?」
少しだけ困った顔で謝る鍋谷。俺は慌てて首を振った。
「みんなを困らせてるのは俺だから...ごめん」
自分が悪いっていうのは自覚してるんだ。ただ、それがどうにも出来ないだけで...
「うん、大丈夫。梅ちゃんのことは守るって約束だから俺は全然気にしてないよ」
鍋谷が笑うが、口にしたその言葉の意味がわからない。
「守るって約束?誰と?」
誰がそんな約束をしたのか?
「フフフ、それは梅ちゃんの胸の中にいる人物。梅ちゃんがずっと傍にいる人」
ふふふと笑いながら言われ、自分の中にいる人物なんて一人しかいなくて、でも、その大切な人物を俺はこの間まで忘れていたのだ。
「もしかして...侑くんがずっと俺を?」
答えてくれないかもしれないけど聞いてしまった。
「それは教えな~い。でもわかってるでしょ梅ちゃん」
ニヤリと笑う鍋谷にコクリと頷けば
「やっぱ、梅ちゃんを落ち着かせるのは委員長の話が一番だね」
なんて鍋谷はいって、どこから取り出したのか温かい缶コーヒーをくれた。
俺はそれを受け取り飲みながら思う。
鍋谷の言うとおり、菊池のことを考えている間に俺の苛立ちは不思議とおさまっていた。
でも、あいつがいないからきっとまたイライラし始めるだろうけどな。
Fin
「梅ちゃん、大丈夫?」
風紀委員の部屋の隅っこで膝を抱えて座っていたら、急に声をかけられて顔を上げて相手を見れば鍋谷だった。
「委員長ちょっと外出しちゃったからね。俺でごめんね?」
少しだけ困った顔で謝る鍋谷。俺は慌てて首を振った。
「みんなを困らせてるのは俺だから...ごめん」
自分が悪いっていうのは自覚してるんだ。ただ、それがどうにも出来ないだけで...
「うん、大丈夫。梅ちゃんのことは守るって約束だから俺は全然気にしてないよ」
鍋谷が笑うが、口にしたその言葉の意味がわからない。
「守るって約束?誰と?」
誰がそんな約束をしたのか?
「フフフ、それは梅ちゃんの胸の中にいる人物。梅ちゃんがずっと傍にいる人」
ふふふと笑いながら言われ、自分の中にいる人物なんて一人しかいなくて、でも、その大切な人物を俺はこの間まで忘れていたのだ。
「もしかして...侑くんがずっと俺を?」
答えてくれないかもしれないけど聞いてしまった。
「それは教えな~い。でもわかってるでしょ梅ちゃん」
ニヤリと笑う鍋谷にコクリと頷けば
「やっぱ、梅ちゃんを落ち着かせるのは委員長の話が一番だね」
なんて鍋谷はいって、どこから取り出したのか温かい缶コーヒーをくれた。
俺はそれを受け取り飲みながら思う。
鍋谷の言うとおり、菊池のことを考えている間に俺の苛立ちは不思議とおさまっていた。
でも、あいつがいないからきっとまたイライラし始めるだろうけどな。
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