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零れ落ちた透明な雫

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キスを与え続けていたらギュウっと服を握られた。

額に唇を寄せ、その場に座って梅村が落ち着くまで抱き締めていれば
「...ちぃ...菊...池...っ...」
小さく梅村が呼ぶので
「ん?どうした?」
その顔を覗き込み返事をしてやる。

「...めん...ごめん...俺...俺のせいで傷...」
俺の前髪を上げそこに現れた古傷を見て謝る。
「思い出したのか?」
傷を見て謝ると言うことは、傷が出来た原因を思い出したということになる。

コクリと小さく頷く。

「全部か?」
俺の言葉にもう一度頷く。

俺は梅村の身体を強く抱き締め
「ヒナ...おかえり...」
囁くように告げれば
「ぅん」
小さく返事をした。


「...侑くん...」
小さな呟き。その顔を見ればハラリと透明な雫が一粒、流れ落ちた。


「俺たちが...イヤ、俺が必ず守る。二度と同じ思いはさせない」
俺の言葉に小さく頷き、胸に顔を埋めて泣き始めた。


俺は無言で梅村の身体を抱き締めた。服を掴む手に少しだけ力が入った。


あいつの理不尽にこいつが傷つけられる必要はない。


俺は腕の中で泣き疲れて寝てしまった梅村を抱き上げベッドに寝せ、その閉じられた瞳から流れ落ちる雫をそっと拭ってやった。



Fin


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