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悪夢
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『あれ?筆箱がない』
『あれ?上靴もない』
『あれ?なんでカバンもないの?』
『あれ?ねぇ、なんで忘れたの?』
『あれ?ねぇ、なんで侑司がケガするの?』
『あれ?なんで、腕が痛いの?』
『あれ?なんで、僕は笑えてないの?』
『ねぇ、なんで?』
『ねぇ、僕、どうして僕自身を忘れたの?』
『ねぇ!』
「っ、ヤダ、やだ!」
「大丈夫か?」
イヤな夢を見て飛び起きて、そっとタオルで顔を拭かれて、驚いて相手を見て俺はその腕の中に飛び込んだ。
「大丈夫だ。ここにいる。ちゃんと傍にいる」
俺を抱きしめ、背中を撫でながら告げてくる言葉。
嘘つき、嘘つき、嘘つき
傍にいなかったったじゃないか…
俺を置いて行ったじゃないか…
嘘つき…
俺は菊池が離れていかないようにギュッと力強く抱き着いた。
俺の中に戻って来てる記憶は残酷な記憶だった。
俺が壊れる寸前の記憶。
菊池が全力で助けてくれた記憶。
俺を壊した桐渓の記憶。
ちゃんとは思い出せないけどあいつがすべての元凶。
Fin
『あれ?上靴もない』
『あれ?なんでカバンもないの?』
『あれ?ねぇ、なんで忘れたの?』
『あれ?ねぇ、なんで侑司がケガするの?』
『あれ?なんで、腕が痛いの?』
『あれ?なんで、僕は笑えてないの?』
『ねぇ、なんで?』
『ねぇ、僕、どうして僕自身を忘れたの?』
『ねぇ!』
「っ、ヤダ、やだ!」
「大丈夫か?」
イヤな夢を見て飛び起きて、そっとタオルで顔を拭かれて、驚いて相手を見て俺はその腕の中に飛び込んだ。
「大丈夫だ。ここにいる。ちゃんと傍にいる」
俺を抱きしめ、背中を撫でながら告げてくる言葉。
嘘つき、嘘つき、嘘つき
傍にいなかったったじゃないか…
俺を置いて行ったじゃないか…
嘘つき…
俺は菊池が離れていかないようにギュッと力強く抱き着いた。
俺の中に戻って来てる記憶は残酷な記憶だった。
俺が壊れる寸前の記憶。
菊池が全力で助けてくれた記憶。
俺を壊した桐渓の記憶。
ちゃんとは思い出せないけどあいつがすべての元凶。
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