人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

傷２

「はーいストップ。そこまでだ」

背後からのんびりな声が聞こえた。

「げっ菊池」
「なんだよ」

俺を取り巻いてる連中が嫌そうな顔をする。

「こりゃまた素敵なお顔になってじゃねぇか」
鼻で笑いながら俺の顔を見て言う。
「どこがだよ！」
俺が反論すればギロリといつになくキツイ眼差しで取り巻きたちを見る。


「覚悟はできてんだろうな？会長様に手ぇ出すってことはどういうことかわかってやってんだろうな？」

いつになく低くどすの聞いた菊池の声に俺は恐怖を感じる。

「えっと…」
「その…」

取り巻きたちはしどろもどろでタジタジだ。

「おい、現行犯逮捕だ」

菊池のその声に反応するようにゾロゾロと風紀委員が出てきて取り巻きたちをあっという間に連れて行った。


「おら、お前は保健室だ」
菊池は軽々と俺を小脇に抱えると保健室へと向かって歩き出す。

「待て待て、俺は普通に歩ける」
この格好はやめろと講義をすれば

「うるせぇ、他人に干渉されたくなかったら大人しくしろ」
菊池に怒鳴られた。
「クソぉ、なんでだよ」
文句を口にすれば
「お前があんな奴らに捕まるのが悪い」
あっさりと言われた。

「くそっ！なんでだよ！」
やけっぱちに俺は叫んで菊池の脇腹にパンチを一発見舞ってやった。


そのあとで倍になって帰ってきたのは言うまでもない。



Fin