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第24話
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「ねぇ、リュオン」
ミシェルは微笑みながらリュオンを呼ぶ。
「どうした?」
リュオンは名前を呼ばれるだけで何も言わないミシェルにどうしていいのか迷っていた。でも、ミシェルはすごく楽しそうというか、嬉しそうにしているのだ。
「リュオンは好きな人はいるの?」
ミシェルの突然の問いにリュオンが真っ赤になる。ミシェルはそんなリュオンの顔を見て不思議そうな顔をする。
「いっ、行き成り何を言い出すんだミシェル」
あまりにも突然な問いにリュオンは本気で焦っていた。
確かに今まで、周りのみんなからはミシェルが嫁だと言われ違うと言ってはきたが、リュオンの中ではそれが本当になればと思うことがあった。
ミシェルが好きか嫌いかと問われれば『好き』なのだ。怪我を負ってミシェルの家でずっと癒えるまで過ごしてきて何度か思ったことはある。
ミシェルが可愛いと。
ちょっとした表情の変化、ノエと楽しそうに会話をしてる姿、家事をしてる姿、動物たちの手当てをしてる姿、どれを見ても一生懸命で知らず知らずのうちにリュオンはそんなミシェルに惹かれていったのだ。
だから、この城に連れてきたとき、みんなが嫁だと言って喜んでくれたあの時内心ほっとしていたのだ。ミシェルなら嫁としてみんなに受け入れてもらえると。
リュオンは無言でミシェルの手を引き歩き出した。行先は約束をしたあの場所。ミシェルはリュオンが何も言わないので、それ以上は何も言えずただついて行くことしかできなかった。
城の中でも少しだけ小高い場所。
夜は満天の星と街の灯りと交わりすべてが星空だったあの場所だが、昼間は違う顔を見せる。
青い空の中に溶け込む街並み。どこまでも遠く続く道。空と交わり先が見えない。キレイだった。太陽の光がキラキラと反射しまるで海を見ているようだった。
ミシェルはその景色に言葉も忘れて見入っていた。夜とは違う昼間の顔。本当にキレだった。そんなミシェルの隣に立ちリュオンも同じように景色を眺めていた。
「俺は…ミシェルが好きだ…」
不意にリュオンがそんなことを口にする。
「えっ?」
ミシェルは驚き隣に立つリュオンを見れば、その顔は真っ赤になっていた。それを見てつられるようにミシェルの顔も赤くなっていく。
「さっきの答え。俺の好きな人は君だよ」
今度はハッキリとミシェルを見ていう。ふふふと笑うミシェルの瞳には薄っすらと涙が浮かんでいた。
「迷惑かもしれない。でも、俺はミシェルが好きだ」
いつになく真面目な顔で好きだとリュオンが告げる。
「ありがとうリュオン。嬉しいわ。私もリュオンが好きよ」
自分も同じ気持ちだと告げるミシェルの頬に涙が伝う。リュオンは言葉を発するよりも先にミシェルのその身体を抱きしめた。そして、そっと優しく頭を撫でていく。
「これからも、俺の傍で笑っていて欲しい。君には涙より笑顔の方が似合ってる」
リュオンはミシェルの頭を撫でたまま告げる。
「これは…嬉し泣きよリュオン。本当に嬉しんだもの…」
リュオンの胸に顔を埋め服を掴んでいるミシェルが嬉し泣きだと告げる。本当に嬉しかったのだ。リュオンに好きだと言ってもらえてミシェルは嬉しかったのだ。
「ミシェル、その、俺は竜だけど、それでも良ければ俺と付き合って欲しい」
リュオンはミシェルの顔を見て付き合って欲しいとお願いする。
「はい、喜んで」
ミシェルは微笑み返事をした。2人は惹かれあうように、そっと、そっと、優しい口づけを交わした。
2人はしばらくの間その場所で抱き締め合っていた。
そんな2人の周りには緩やかな時間と優しい風が吹いていた。
それはまるで祝福するかのように風に運ばれてきた花弁が2人の周りを舞うほどに優しい風が吹き、誰にも邪魔されないような緩やかな時間が流れていた。
ミシェルは微笑みながらリュオンを呼ぶ。
「どうした?」
リュオンは名前を呼ばれるだけで何も言わないミシェルにどうしていいのか迷っていた。でも、ミシェルはすごく楽しそうというか、嬉しそうにしているのだ。
「リュオンは好きな人はいるの?」
ミシェルの突然の問いにリュオンが真っ赤になる。ミシェルはそんなリュオンの顔を見て不思議そうな顔をする。
「いっ、行き成り何を言い出すんだミシェル」
あまりにも突然な問いにリュオンは本気で焦っていた。
確かに今まで、周りのみんなからはミシェルが嫁だと言われ違うと言ってはきたが、リュオンの中ではそれが本当になればと思うことがあった。
ミシェルが好きか嫌いかと問われれば『好き』なのだ。怪我を負ってミシェルの家でずっと癒えるまで過ごしてきて何度か思ったことはある。
ミシェルが可愛いと。
ちょっとした表情の変化、ノエと楽しそうに会話をしてる姿、家事をしてる姿、動物たちの手当てをしてる姿、どれを見ても一生懸命で知らず知らずのうちにリュオンはそんなミシェルに惹かれていったのだ。
だから、この城に連れてきたとき、みんなが嫁だと言って喜んでくれたあの時内心ほっとしていたのだ。ミシェルなら嫁としてみんなに受け入れてもらえると。
リュオンは無言でミシェルの手を引き歩き出した。行先は約束をしたあの場所。ミシェルはリュオンが何も言わないので、それ以上は何も言えずただついて行くことしかできなかった。
城の中でも少しだけ小高い場所。
夜は満天の星と街の灯りと交わりすべてが星空だったあの場所だが、昼間は違う顔を見せる。
青い空の中に溶け込む街並み。どこまでも遠く続く道。空と交わり先が見えない。キレイだった。太陽の光がキラキラと反射しまるで海を見ているようだった。
ミシェルはその景色に言葉も忘れて見入っていた。夜とは違う昼間の顔。本当にキレだった。そんなミシェルの隣に立ちリュオンも同じように景色を眺めていた。
「俺は…ミシェルが好きだ…」
不意にリュオンがそんなことを口にする。
「えっ?」
ミシェルは驚き隣に立つリュオンを見れば、その顔は真っ赤になっていた。それを見てつられるようにミシェルの顔も赤くなっていく。
「さっきの答え。俺の好きな人は君だよ」
今度はハッキリとミシェルを見ていう。ふふふと笑うミシェルの瞳には薄っすらと涙が浮かんでいた。
「迷惑かもしれない。でも、俺はミシェルが好きだ」
いつになく真面目な顔で好きだとリュオンが告げる。
「ありがとうリュオン。嬉しいわ。私もリュオンが好きよ」
自分も同じ気持ちだと告げるミシェルの頬に涙が伝う。リュオンは言葉を発するよりも先にミシェルのその身体を抱きしめた。そして、そっと優しく頭を撫でていく。
「これからも、俺の傍で笑っていて欲しい。君には涙より笑顔の方が似合ってる」
リュオンはミシェルの頭を撫でたまま告げる。
「これは…嬉し泣きよリュオン。本当に嬉しんだもの…」
リュオンの胸に顔を埋め服を掴んでいるミシェルが嬉し泣きだと告げる。本当に嬉しかったのだ。リュオンに好きだと言ってもらえてミシェルは嬉しかったのだ。
「ミシェル、その、俺は竜だけど、それでも良ければ俺と付き合って欲しい」
リュオンはミシェルの顔を見て付き合って欲しいとお願いする。
「はい、喜んで」
ミシェルは微笑み返事をした。2人は惹かれあうように、そっと、そっと、優しい口づけを交わした。
2人はしばらくの間その場所で抱き締め合っていた。
そんな2人の周りには緩やかな時間と優しい風が吹いていた。
それはまるで祝福するかのように風に運ばれてきた花弁が2人の周りを舞うほどに優しい風が吹き、誰にも邪魔されないような緩やかな時間が流れていた。
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