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第1章
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学園を出てバスに乗り込み、いつものバス停で降りて足早に家へと向かう。
鍵を開けて中に入るけど母の靴は見当たらない。
「まだ来てねぇのか…」
俺のが早く着いたらしい。
しんとする家の中。相変わらず誰もいねぇ。
俺は靴を脱ぎ捨てて2階へと上がり自分の部屋に入る。クローゼットを開けて制服から普段着に着替えた。そしてまた、1階へと行きリビングに入る。
リビングの時計を見れば13時45分。
「相変わらずだな。いつもの時間とか言いつつ遅いし」
いつもの時間と言いつつ来るのはいつも遅い。
俺はソファに横になり雑誌を取り読み始めた。もう読み終わった雑誌だからつまらないけど…。
半分ぐらい読み終えた頃
ガチャン
玄関が開いた音がする。帰ってきたのか。俺はどうこうするわけでもなく、そのままの体勢で雑誌を読んでいた。
「あら…いたの…」
俺の存在がリビングにあるのに気が付いて驚く。
「ん」
俺は短く返事をした。
わかってる、俺を見てるわけじゃない。ただ存在を確認しただけ。そこにいると…。
足音が離れていく。
「お金いつものように振り込んでおいたから」
声だけが飛んでくる。いつもそうだ。
「ん、ありがとう。そうだ、ビールがなくなりそうなんだけどさ」
俺も声だけで返事をする。母親の存在を確認するつもりはない。相手だってそれを望んでるわけじゃないから。
「いつもの場所に置いてあるわ。安かったから多めに買ってあるし、他のお酒も安売りしてたから買っておいたわ。後、タバコもいつもの場所よ」
あぁ、やっぱり言葉だけが飛んでくる。俺自身を一度も見ようとはしない。
俺は立ち上がり確認しに行く。テレビの横にある棚の引き出しにタバコが3カートン。キッチンの棚の中にビールが3ケース。ウイスキーとかワインとか入ってる。
ホント、普通じゃねぇよこんなの。未成年にこんなの買って与える親ってどうなんだ。ホント普通じゃねぇ。
まぁ、当たり前か今の状況が普通じゃねぇんだから…。
俺の家庭はとうに崩壊してるんだから…。壊したのは両親。
「他に何かいるものあった?」
ほんと言葉だけが飛んでくる。
「今はいい」
だから俺も言葉だけで返事をする。
俺の存在って何?
俺ってあんたたちの何?
俺ってあんたたちの子供じゃないの?
あんたたちの中に俺の存在ってあるの?
「じゃぁ、もう行くわ」
結局、俺の方を一度も見ることもなく荷物だけを持って去っていく。
「気を付けて」
それだけしか言葉に出来ない。歪んだものは歪んだまま。
ガチャンと扉の閉まる音がヤケに大きく響いた。
「冗談じゃねぇっつの」
俺は溜め息をつき缶ビールの箱を開けて12本だけ冷蔵庫の中にしまった。残りはこのままでいい。ついでに冷蔵庫の中身を確認して扉を閉めた。
「さてと、買い出しに行くかな。じゃなきゃ餓死する」
なんて、思っても見ないことを口にしてみる。でも、本当に買い出しに行かないと食うもんがない。
俺は自分の部屋に戻り、携帯と財布をポケットの中にしまい鍵を持って降りてくる。
靴を履き溜め息をつく
「いってきます」
そして、誰もいない部屋へと呟き家を出た。
俺が俺でいるための行為。こうれをしなくなったら俺はもっと壊れていくだろう。
だから俺を保つために必要な行為なんだ。例え誰もいない家だとしても…。
鍵を開けて中に入るけど母の靴は見当たらない。
「まだ来てねぇのか…」
俺のが早く着いたらしい。
しんとする家の中。相変わらず誰もいねぇ。
俺は靴を脱ぎ捨てて2階へと上がり自分の部屋に入る。クローゼットを開けて制服から普段着に着替えた。そしてまた、1階へと行きリビングに入る。
リビングの時計を見れば13時45分。
「相変わらずだな。いつもの時間とか言いつつ遅いし」
いつもの時間と言いつつ来るのはいつも遅い。
俺はソファに横になり雑誌を取り読み始めた。もう読み終わった雑誌だからつまらないけど…。
半分ぐらい読み終えた頃
ガチャン
玄関が開いた音がする。帰ってきたのか。俺はどうこうするわけでもなく、そのままの体勢で雑誌を読んでいた。
「あら…いたの…」
俺の存在がリビングにあるのに気が付いて驚く。
「ん」
俺は短く返事をした。
わかってる、俺を見てるわけじゃない。ただ存在を確認しただけ。そこにいると…。
足音が離れていく。
「お金いつものように振り込んでおいたから」
声だけが飛んでくる。いつもそうだ。
「ん、ありがとう。そうだ、ビールがなくなりそうなんだけどさ」
俺も声だけで返事をする。母親の存在を確認するつもりはない。相手だってそれを望んでるわけじゃないから。
「いつもの場所に置いてあるわ。安かったから多めに買ってあるし、他のお酒も安売りしてたから買っておいたわ。後、タバコもいつもの場所よ」
あぁ、やっぱり言葉だけが飛んでくる。俺自身を一度も見ようとはしない。
俺は立ち上がり確認しに行く。テレビの横にある棚の引き出しにタバコが3カートン。キッチンの棚の中にビールが3ケース。ウイスキーとかワインとか入ってる。
ホント、普通じゃねぇよこんなの。未成年にこんなの買って与える親ってどうなんだ。ホント普通じゃねぇ。
まぁ、当たり前か今の状況が普通じゃねぇんだから…。
俺の家庭はとうに崩壊してるんだから…。壊したのは両親。
「他に何かいるものあった?」
ほんと言葉だけが飛んでくる。
「今はいい」
だから俺も言葉だけで返事をする。
俺の存在って何?
俺ってあんたたちの何?
俺ってあんたたちの子供じゃないの?
あんたたちの中に俺の存在ってあるの?
「じゃぁ、もう行くわ」
結局、俺の方を一度も見ることもなく荷物だけを持って去っていく。
「気を付けて」
それだけしか言葉に出来ない。歪んだものは歪んだまま。
ガチャンと扉の閉まる音がヤケに大きく響いた。
「冗談じゃねぇっつの」
俺は溜め息をつき缶ビールの箱を開けて12本だけ冷蔵庫の中にしまった。残りはこのままでいい。ついでに冷蔵庫の中身を確認して扉を閉めた。
「さてと、買い出しに行くかな。じゃなきゃ餓死する」
なんて、思っても見ないことを口にしてみる。でも、本当に買い出しに行かないと食うもんがない。
俺は自分の部屋に戻り、携帯と財布をポケットの中にしまい鍵を持って降りてくる。
靴を履き溜め息をつく
「いってきます」
そして、誰もいない部屋へと呟き家を出た。
俺が俺でいるための行為。こうれをしなくなったら俺はもっと壊れていくだろう。
だから俺を保つために必要な行為なんだ。例え誰もいない家だとしても…。
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