蒼い華が咲く

槇瀬光琉

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第1章

03

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公園で金狼さんと別れ俺は一人帰路へと着く。


ほんとは気乗りしない道のり。帰ったって誰もいないのだから…。



あぁ、帰りたくない。



家に着けば真っ暗だ。あぁ、今夜もか。

外灯も、門灯もいつの頃から点かなくなったのか…。


今宵もこの家で俺一人。


俺は溜め息をつき門を開け中に入りポケットの中から鍵を取出し玄関の鍵を開け中に入る。


シンといている家の中。真っ暗だ。


ドアを閉め鍵をかけると靴を脱ぎ捨て自分の部屋へと向かおうとして足を止めキッチンへと行き先を変える。
キッチンに入り冷蔵庫の中からビールを二缶取出しその場所で一缶は一気に飲み干す。
空き缶を捨ててビールを持ったままに階に上がり自分の部屋に入る。


ベッドサイドの明かりを点けベッドに腰掛け缶をあけ飲む。
どんな無茶な飲み方をしても酔いはしない。


虚しい。ほんと虚しい。


俺は普通の愛が欲しいよ。


望んだところで手に入らないのはもうわかりきってるけどさ。



机の引き出しの中からタバコを取りだすとそれを吸い始める。
あいつが知ったら怒るんだろうな。
「一本ぐらい大目に見ろよ」
頭に浮かんだ旧友にいって一本だけ吸いビールを飲み干す。


携帯をいつもの場所にセットして布団に潜り込んだ。


小6の頃からまともに食べることも寝ることもできなくなった身体。
仮眠程度に寝れればいい方だ。
それでも横にはなる。少しでも多く寝れればいいなとか思いながら…。


だから今夜もそう思いながら横になるだけはなった。


不意に頭に浮かんだ金色の狼の姿を思い浮かべながら俺は泡沫の眠りについた。


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