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4話
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「で?他に用がないねぇなら帰るけどいいか?」
俺が大人しくしてるのを確認して外した手錠をジョーンズさんに返して聞いている。
「あぁ、急に呼び戻してすまなかった。久々の休暇の予定だったのにな」
受け取った手錠を机の上に置きジョーンズさんが苦笑する。本当に休暇の予定だったんだこの人。
「呼んだのがあんただったから戻ってきたんだ。だから気にするな。ほいじゃ、こいつ連れて俺は休暇のために帰るぜ」
リューイさんはそれだけ言い残し俺の腕を掴んで部屋を出た。
そのままの状態で何も言わずに歩いていく。でもその背が今は何も話すなと言ってる気がしたから俺はなにも言わず腕をひかれるままについていった。
リューイさんが立ち止まったのは城外にある馬小屋の所に来てからだった。
「急に呼び戻されたからこいつしかない。俺と一緒に乗ることになるが大丈夫か?」
黒いキレイな馬の前で言われ
「あっ…俺…馬に乗ったことないんだけど…」
素直に馬に乗ったことがないと告げた。
「大丈夫だ。お前はただ馬に乗ればいいだけだからな」
なんてあっさりと言われた。
「あっ、そうですか」
なんかそれがムッときてつい、そんな返事になってしまった。
「お前自分が捕らわれの身だって自覚があるか?」
その言葉にサーっと血の気が引いた。この人に預けられたといっても、俺がこの人の怒りを買ったら間違いなく俺は殺されるか身売りされて終わりだ。
「自覚がないなら言っておいてやる。俺はただお前を預かっているだけだ。俺の気分次第でお前は死ぬことになるから気をつけろよ」
そこには悪魔と呼ぶにふさわしい顔をした男がいた。
俺が一度だけ見たことがある谷江が本気で怒ったときの顔だった。
「…ぁっ…ごめんなさい」
だから俺は素直に謝った。本気で怒ったときのあいつは本当に怖かったのだ。
「わかりゃぁいいんだよ。乗れ」
謝った俺に馬に乗れという。
「えっ?」
小さく声を上げれば
「大丈夫だ。こいつは大人しいし頭がいい。お前が乗るのを待っててくれる。鞍と手綱を持って勢いよく飛び乗れ」
なんてアドバイスをくれるけど、初心者にそれはムリとか思ったけど、昔アニメとかドラマで見た馬に乗るシーンがあったのを思い出し、あの時って?って思い出しながら俺は言われたとおりに鞍と手綱を持って馬に飛び乗った。
「やりゃぁ出来んじゃねぇか」
なんて小さく笑いながらリューイさんは軽々と俺の後ろに飛び乗り手綱を掴み
「手綱をしっかりつかり掴んでろ。飛ばすからな」
その言葉に頷き俺が手綱をしっかりと掴めば
「さぁ、相棒。久々の休暇を取りに帰るぞ」
馬にそう告げて走り出した。
はっ…早い…息が…苦しぃ…
馬がこんなにも速く走るなんて思ってなかったから息もできなくて苦しいかも…。
なんて思い始めたころ馬のスピードが少しゆっくりに変わった。
もしかして俺のため?
なんて思うけど違うよな。でもさっきより苦しくない。
馬に乗ってどれだけ走ったんだろう?
城から随分と離れた気がする。
何も話さないままずっと馬に揺られてどれだけ走ったのか?
街から少し離れた場所へとついた。
馬がゆっくりと森の中を歩いていく。森を抜けた先には大きな屋敷があった。屋敷の門をくぐりドンドンと屋敷の前へと進んでいく。
この人、本当にすごい人ってこと?
「おかえりなさいませリューイ様」
リューイさんが馬を止めたのを待ってから、リューイさんとあまり年齢の変わらない男の人が声をかけてきた。
「イアン、湯あみの用意をさせろ。こいつを入れて着替えさせて飯を食わせろ」
リューイさんは男の人に指示をして簡単に馬から飛び降りた。
「降りろ。ってムリか」
俺に向かって言うけど俺は動けなかったんだ。
「暴れるなよ」
リューイさんは軽々と俺を抱き上げ馬から降ろした。
イヤ、俺そんなに軽くないはずなんだけど…。
「イアン、こいつは任した。俺は相棒を置いてくる」
「かしこまりました」
リューイさんはその返事を聞き馬を連れてさっさと行ってしまった。
「さぁ、あなた様はこちらへどうぞ。そんな泥まみれのままでは困りますからね」
イアンさんは言うだけ言ってさっさと屋敷の中へ行ってしまうので、俺は慌ててイアンさんの後を追った。
理由も聞く間もなくこんな薄汚れた男を連れて帰ってきたんだ、不信がったり、嫌な顔して当たり前だよな…。
なんて、思いながら俺はイアンさんの後を追った。その先に地獄が待っているとはつゆ知らずに…
俺が大人しくしてるのを確認して外した手錠をジョーンズさんに返して聞いている。
「あぁ、急に呼び戻してすまなかった。久々の休暇の予定だったのにな」
受け取った手錠を机の上に置きジョーンズさんが苦笑する。本当に休暇の予定だったんだこの人。
「呼んだのがあんただったから戻ってきたんだ。だから気にするな。ほいじゃ、こいつ連れて俺は休暇のために帰るぜ」
リューイさんはそれだけ言い残し俺の腕を掴んで部屋を出た。
そのままの状態で何も言わずに歩いていく。でもその背が今は何も話すなと言ってる気がしたから俺はなにも言わず腕をひかれるままについていった。
リューイさんが立ち止まったのは城外にある馬小屋の所に来てからだった。
「急に呼び戻されたからこいつしかない。俺と一緒に乗ることになるが大丈夫か?」
黒いキレイな馬の前で言われ
「あっ…俺…馬に乗ったことないんだけど…」
素直に馬に乗ったことがないと告げた。
「大丈夫だ。お前はただ馬に乗ればいいだけだからな」
なんてあっさりと言われた。
「あっ、そうですか」
なんかそれがムッときてつい、そんな返事になってしまった。
「お前自分が捕らわれの身だって自覚があるか?」
その言葉にサーっと血の気が引いた。この人に預けられたといっても、俺がこの人の怒りを買ったら間違いなく俺は殺されるか身売りされて終わりだ。
「自覚がないなら言っておいてやる。俺はただお前を預かっているだけだ。俺の気分次第でお前は死ぬことになるから気をつけろよ」
そこには悪魔と呼ぶにふさわしい顔をした男がいた。
俺が一度だけ見たことがある谷江が本気で怒ったときの顔だった。
「…ぁっ…ごめんなさい」
だから俺は素直に謝った。本気で怒ったときのあいつは本当に怖かったのだ。
「わかりゃぁいいんだよ。乗れ」
謝った俺に馬に乗れという。
「えっ?」
小さく声を上げれば
「大丈夫だ。こいつは大人しいし頭がいい。お前が乗るのを待っててくれる。鞍と手綱を持って勢いよく飛び乗れ」
なんてアドバイスをくれるけど、初心者にそれはムリとか思ったけど、昔アニメとかドラマで見た馬に乗るシーンがあったのを思い出し、あの時って?って思い出しながら俺は言われたとおりに鞍と手綱を持って馬に飛び乗った。
「やりゃぁ出来んじゃねぇか」
なんて小さく笑いながらリューイさんは軽々と俺の後ろに飛び乗り手綱を掴み
「手綱をしっかりつかり掴んでろ。飛ばすからな」
その言葉に頷き俺が手綱をしっかりと掴めば
「さぁ、相棒。久々の休暇を取りに帰るぞ」
馬にそう告げて走り出した。
はっ…早い…息が…苦しぃ…
馬がこんなにも速く走るなんて思ってなかったから息もできなくて苦しいかも…。
なんて思い始めたころ馬のスピードが少しゆっくりに変わった。
もしかして俺のため?
なんて思うけど違うよな。でもさっきより苦しくない。
馬に乗ってどれだけ走ったんだろう?
城から随分と離れた気がする。
何も話さないままずっと馬に揺られてどれだけ走ったのか?
街から少し離れた場所へとついた。
馬がゆっくりと森の中を歩いていく。森を抜けた先には大きな屋敷があった。屋敷の門をくぐりドンドンと屋敷の前へと進んでいく。
この人、本当にすごい人ってこと?
「おかえりなさいませリューイ様」
リューイさんが馬を止めたのを待ってから、リューイさんとあまり年齢の変わらない男の人が声をかけてきた。
「イアン、湯あみの用意をさせろ。こいつを入れて着替えさせて飯を食わせろ」
リューイさんは男の人に指示をして簡単に馬から飛び降りた。
「降りろ。ってムリか」
俺に向かって言うけど俺は動けなかったんだ。
「暴れるなよ」
リューイさんは軽々と俺を抱き上げ馬から降ろした。
イヤ、俺そんなに軽くないはずなんだけど…。
「イアン、こいつは任した。俺は相棒を置いてくる」
「かしこまりました」
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イアンさんは言うだけ言ってさっさと屋敷の中へ行ってしまうので、俺は慌ててイアンさんの後を追った。
理由も聞く間もなくこんな薄汚れた男を連れて帰ってきたんだ、不信がったり、嫌な顔して当たり前だよな…。
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