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2話
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真犯人が捕まったという噂話を聞いてから1週間後ぐらいに俺は牢獄から連れ出されて、城の中の一室へと乱暴に入れられた。
「へぇ、わりと上玉じゃねぇか」
「男なのが惜しいな」
まるで俺を品定めするようにジロジロとイヤらしい笑みを浮かべながら見てくる男たち。その視線はイヤらしく不快にさせるものだった。この手の視線はよく向けられるので嫌でもわかる。俺をどうにかしようと考えてるんだろう。
「やめろお前たち」
その一言で俺をイヤらしく見ていた男たちが引く。そして、やめろと言った男が俺に近づいてきてジロジロと見る。さっきの男たちのようなイヤらしい視線ではないけど、なんだかすべてを暴かれていくような感覚に陥る。
「…あっ…あの…」
俺は意味が分からなさ過ぎてつい声を上げてしまった。
「あぁ、すまない。君の顔をどこかで見たような記憶があってね。だが、君は私のことを知らないだろ?」
男の言葉に頷けば
「他人の空似。人には同じ顔が3人もいるという。多分、私が見たのはそのうちの一人だろう。リューイ・ルカリエルを大至急に呼べ」
少しだけ笑い、そして最初に見た時と同じくらいに険しい顔になり人を呼べと告げた。
本当に意味が分からない…
どれだけ経たのかノックもなしに扉が開き
「急に来いってどういうことだ!」
文句を言いながら入ってきた人物を見て俺は固まった。
だって…谷江翔也そのものだったから…。顔も声も同じ。本人よりも大人びいていて背も高いが、間違いなく谷江だった。
「お前は、ノックぐらいしろ」
呆れながら俺の前に立っていた男が言うが
「あんたが大至急だって俺を呼んだんだろうがジョーンズ総官。俺はここよりも離れた場所にいて馬をかっ飛ばして来たんだぞ」
悪びれるわけでもなく反対に文句を言うこの男は何なんだろうと俺は思ってしまった。
「そりゃお前だからだろうリューイ。他の奴だったら明日にでもする。お前ならこられるとわかっているからな」
相手が相手ならこの人もこの人かって思わず納得してしまった。
「で?俺を大至急、呼び戻した理由は何だよ」
溜め息をつきながら聞く言葉にジョーンズって人は
「あぁ、この男をお前に預けたくてね」
あっさりと言ってのけた。
「はっ?」
「えっ?」
俺とリューイって人の声は見事に重なった。
「リューイお前も知っているだろう?第一皇子殺害の件は」
「あぁ、その男が捕まてから数日後に真犯人が捕まったって話だろ?ろくな調査もせずに結果だけを焦った奴らが、たまたま近くにいたその男を犯人にしたって上官たちが騒いでたなぁ」
ジョーンズさんの言葉にズバズバとものをいうリューイさん。部屋の中の空気が少し冷たくて重いかも…。
「リューイ団長。その上官というのは誰だ?君には上官と呼べる人物はいないはずだが?」
少しだけ厳しい口調のジョーンズさんだけど
「誰って、そんなの決まってるだろ?そこにいる、そいつらの上官様たちだよ。自分たちは何一つ動きやしないのに部下の失敗には文句ばかりいう無能な上官たちだ」
相変わらずそんなことは気にしないのかはっきりと物事を言うリューイさん。
この人、怖いものはないんだろうか?
「へぇ、わりと上玉じゃねぇか」
「男なのが惜しいな」
まるで俺を品定めするようにジロジロとイヤらしい笑みを浮かべながら見てくる男たち。その視線はイヤらしく不快にさせるものだった。この手の視線はよく向けられるので嫌でもわかる。俺をどうにかしようと考えてるんだろう。
「やめろお前たち」
その一言で俺をイヤらしく見ていた男たちが引く。そして、やめろと言った男が俺に近づいてきてジロジロと見る。さっきの男たちのようなイヤらしい視線ではないけど、なんだかすべてを暴かれていくような感覚に陥る。
「…あっ…あの…」
俺は意味が分からなさ過ぎてつい声を上げてしまった。
「あぁ、すまない。君の顔をどこかで見たような記憶があってね。だが、君は私のことを知らないだろ?」
男の言葉に頷けば
「他人の空似。人には同じ顔が3人もいるという。多分、私が見たのはそのうちの一人だろう。リューイ・ルカリエルを大至急に呼べ」
少しだけ笑い、そして最初に見た時と同じくらいに険しい顔になり人を呼べと告げた。
本当に意味が分からない…
どれだけ経たのかノックもなしに扉が開き
「急に来いってどういうことだ!」
文句を言いながら入ってきた人物を見て俺は固まった。
だって…谷江翔也そのものだったから…。顔も声も同じ。本人よりも大人びいていて背も高いが、間違いなく谷江だった。
「お前は、ノックぐらいしろ」
呆れながら俺の前に立っていた男が言うが
「あんたが大至急だって俺を呼んだんだろうがジョーンズ総官。俺はここよりも離れた場所にいて馬をかっ飛ばして来たんだぞ」
悪びれるわけでもなく反対に文句を言うこの男は何なんだろうと俺は思ってしまった。
「そりゃお前だからだろうリューイ。他の奴だったら明日にでもする。お前ならこられるとわかっているからな」
相手が相手ならこの人もこの人かって思わず納得してしまった。
「で?俺を大至急、呼び戻した理由は何だよ」
溜め息をつきながら聞く言葉にジョーンズって人は
「あぁ、この男をお前に預けたくてね」
あっさりと言ってのけた。
「はっ?」
「えっ?」
俺とリューイって人の声は見事に重なった。
「リューイお前も知っているだろう?第一皇子殺害の件は」
「あぁ、その男が捕まてから数日後に真犯人が捕まったって話だろ?ろくな調査もせずに結果だけを焦った奴らが、たまたま近くにいたその男を犯人にしたって上官たちが騒いでたなぁ」
ジョーンズさんの言葉にズバズバとものをいうリューイさん。部屋の中の空気が少し冷たくて重いかも…。
「リューイ団長。その上官というのは誰だ?君には上官と呼べる人物はいないはずだが?」
少しだけ厳しい口調のジョーンズさんだけど
「誰って、そんなの決まってるだろ?そこにいる、そいつらの上官様たちだよ。自分たちは何一つ動きやしないのに部下の失敗には文句ばかりいう無能な上官たちだ」
相変わらずそんなことは気にしないのかはっきりと物事を言うリューイさん。
この人、怖いものはないんだろうか?
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