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「動くな!第一皇子ザッハルト様殺害容疑で貴様を逮捕する!」
俺は今、目の前で起きている出来事に困惑していた。
何がどうなって俺はこんな所でこんなことになっているんだろうか?
俺、千笠蓮颯は全寮制の男子学園に通う高校2年生だ。そんな俺だが、なぜか生徒会長に任命されたので、生徒会長なんてものをやっている。生徒会はそれなりに忙しいが、仲間同士は仲が良く何の問題もなくやっていた。ただ一人を除いては…。
そう、たった一人だけどうしても馬が合わず苦手な奴がいた。それは風紀委員長である谷江翔也である。
あいつのあの鋭い目が苦手だった。まるですべてを見透かされるようなそんな感覚に陥る。だから、あの目でじっと見られるのが苦手だった。
苦手だったけど、別に特に変な言い合いをするとか、殴り合いのケンカをするとか、そんなことは一切なく、ただ、苦手な相手というだけで普通に過ごしていた。
そう、それなりに普通に過ごしていたのだ。
数分前までは…。
副会長の相川と話をしながら階段を歩いていたそのとき、俺の肩に何かがぶつかって俺はバランスを崩して下へ落ちた。
薄れていく意識の中で見たのは青くなった顔で心配気に俺を呼ぶ相川と騒ぎを聞き駆けつけてきた谷江の顔だった。
目が覚めたら俺は周りを大勢に囲まれて刀を突きつけられていた。
「えっと…」
意味がわからない。第一皇子って誰だろう?殺害ってなに?って考えるけど、誰も答えてくれそうにはない。
「引っ捕らえろー!」
その一言で俺は引きずられるように捕まり連れていかれる。
「ちょっ…待った…俺は違う…やってない!」
テレビドラマじゃないけど俺は無実だと訴えるけど聞き入れられることもなく、問答無用で牢獄へと入れられた。
本当に何がどうなってこんなことになったのか?
なんて考えてみるけどなんの情報もなく、ただ自分が第一皇子殺害容疑で捕まって下手をしたら処刑されるんだってことしかわからなかった。
そして、牢獄に入れられてから初めて知った俺の名前がハルト・エリエアだということに…。多分、この世界の俺の名前がそれなんだろうと他人事のように思った。
牢獄に入れられて、1日、2日と経つけど誰も俺の所へは来ない。ただ、質素な食事だけは与えられたので飢えることなく過ごすことは出来た。ただ、牢獄の中という場所でだけど…。
そんなある日、いつものように牢獄の中でボーっと過ごしていたら
「おい、皇子殺害の犯人が捕まったぞ」
「本当か?」
「あぁ」
こんな会話が聞こえてきた。
「じゃぁ、あいつは無実だったのか」
「そうみたいだな」
俺のことも話しているようだった。それでも俺が自由になれるわけではなかった。
俺は今、目の前で起きている出来事に困惑していた。
何がどうなって俺はこんな所でこんなことになっているんだろうか?
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そう、たった一人だけどうしても馬が合わず苦手な奴がいた。それは風紀委員長である谷江翔也である。
あいつのあの鋭い目が苦手だった。まるですべてを見透かされるようなそんな感覚に陥る。だから、あの目でじっと見られるのが苦手だった。
苦手だったけど、別に特に変な言い合いをするとか、殴り合いのケンカをするとか、そんなことは一切なく、ただ、苦手な相手というだけで普通に過ごしていた。
そう、それなりに普通に過ごしていたのだ。
数分前までは…。
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目が覚めたら俺は周りを大勢に囲まれて刀を突きつけられていた。
「えっと…」
意味がわからない。第一皇子って誰だろう?殺害ってなに?って考えるけど、誰も答えてくれそうにはない。
「引っ捕らえろー!」
その一言で俺は引きずられるように捕まり連れていかれる。
「ちょっ…待った…俺は違う…やってない!」
テレビドラマじゃないけど俺は無実だと訴えるけど聞き入れられることもなく、問答無用で牢獄へと入れられた。
本当に何がどうなってこんなことになったのか?
なんて考えてみるけどなんの情報もなく、ただ自分が第一皇子殺害容疑で捕まって下手をしたら処刑されるんだってことしかわからなかった。
そして、牢獄に入れられてから初めて知った俺の名前がハルト・エリエアだということに…。多分、この世界の俺の名前がそれなんだろうと他人事のように思った。
牢獄に入れられて、1日、2日と経つけど誰も俺の所へは来ない。ただ、質素な食事だけは与えられたので飢えることなく過ごすことは出来た。ただ、牢獄の中という場所でだけど…。
そんなある日、いつものように牢獄の中でボーっと過ごしていたら
「おい、皇子殺害の犯人が捕まったぞ」
「本当か?」
「あぁ」
こんな会話が聞こえてきた。
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「そうみたいだな」
俺のことも話しているようだった。それでも俺が自由になれるわけではなかった。
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