会長様はいちゃつきたい!

槇瀬光琉

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触れて、触れて、奪われたい

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触れ、触れられて、触れた。


吸い寄せられるように、その唇に己のそれを重ねた。


でも、何の反応も返ってこなくて、泣きそうになった。


どれだけ思っていても、触れても、なんの反応もなくて、悲しくなる。寂しくなる。



「どうしたいんだお前」
何も反応を返さない大我がそう聞いてきた。
「いったら大我は叶えてくれるのか?」
だから反対に聞き返したんだ。

「内容にもよるだろ?」
叶えてくれるわけじゃないんだ。

「キスして欲しい。なぁ、してくれよ」
本当はそれ以上のことだってしたいと思う。発情するときの俺は神尾大我に触れてほしんだ。

「キス以上のことはしないからな」
俺が言いだす前にキスしかダメだという。
「なんでだよ」
俺が望んでるんだから叶えてくれよ。

「ダメだ。キスはしてやるけど、それ以上はダメだ」
やっぱりダメだという。
「なんでだよぉ、いいじゃん」
俺がいいって言ってるんだから叶えて欲しいと思う。

「ダメだ」
でも返ってくる言葉はいつも同じだ。
「大我のけちぃ、俺がいいって言ってんじゃん」
自分でもなんでこんなに、この男にこだわるのかわからない。でも、俺は神尾大我に触れて欲しいんだ。

「ダメなものはダメだ。それぐらっ」
俺はダメだという大我の言葉を聞きたくなくて、唇を塞いだ。


この時点で俺は自棄になってたのかもしれない。


相手にしてもらえない、それが悲しくて、寂しくて、自棄になってたんだと思う。


「ちょっ、ひじっ、んっ、まっ」
だから、大我が待てって言ってるのも聞かずにキスばっかり仕掛けてたんだ。
「ちょっと、待ってって」
でも結局は引き剥がされた。

「…ごめん…もぉ、いい…」
これ以上は自分が惨めになるから大我から離れて布団に潜ろうとしたんだ。


したんだ、本当に…



「ホントに、お前は色々と急なんだよ。(こっちの身にもなってくれ)」
大我に捕まって引き寄せられて俺は大我の腕の中に逆戻りした。
「しょうがないだろ、発情中は急なんだから…」
こればっかりはどうしようもできない。本当に色々と急に変わるんだ俺は…。

「それはわかってる。だから、俺はお前と一線を越える気はない。だから抱かねぇけど、気持ちよくはしてやる」
そう言いながら大我は俺にキスをしてきた。


そこからはもう、驚きの連続だった。


「んっ、ぁ、ちょ、ん、ぁ」
キスだけだと思ってたら少しだけ熱い大我の手が服の中に入って来て俺の身体を撫でていく。それも触れるか触れないかのソフトタッチで。
「んっ、ぁ、ぁ」
首筋にもキスされて噛み付かれた。そこまで強い力じゃないけど、赤くなったかも?ってぐらいには噛み付かれた。

「ん、ぁ、ん、ぁ、ぁ」
気が付いたら上着は脱がされてて、直に素肌に触れられて、肩口にキスを落とされる。それだけでくすぐったいような気持ちいいような感覚になる。


でも、間違いなく俺は大概に触れられて感じてる。だって身体が喜んでるんだ。触れてもらえて。


「ん、ぁ、んっ、ぁぁ、ん」
抱かないっていったくせに、身体中に落とされるキス。


本当に驚きの連続だった。


でも、触れて欲しい


もっと、もっと、


俺は神尾大我に触れ欲しんだ。



でも、結局この後の記憶が俺にはなかった。いつもの如く俺は甘えまくって記憶が飛んだらしい。


だから、大我が俺にしてくれたことを覚えてなかったんだ。


ただ、いつもよりも心が満足してる感じがしたんだ。


朝、何があったのか記憶が無いって大我に言ったら呆れられちゃった。


しかも、それを教えてくれなかった。


ケチだな。


Fin

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