会長様はいちゃつきたい!

槇瀬光琉

文字の大きさ
上 下
44 / 60

触れて、触れて、奪われたい

しおりを挟む
触れ、触れられて、触れた。


吸い寄せられるように、その唇に己のそれを重ねた。


でも、何の反応も返ってこなくて、泣きそうになった。


どれだけ思っていても、触れても、なんの反応もなくて、悲しくなる。寂しくなる。



「どうしたいんだお前」
何も反応を返さない大我がそう聞いてきた。
「いったら大我は叶えてくれるのか?」
だから反対に聞き返したんだ。

「内容にもよるだろ?」
叶えてくれるわけじゃないんだ。

「キスして欲しい。なぁ、してくれよ」
本当はそれ以上のことだってしたいと思う。発情するときの俺は神尾大我に触れてほしんだ。

「キス以上のことはしないからな」
俺が言いだす前にキスしかダメだという。
「なんでだよ」
俺が望んでるんだから叶えてくれよ。

「ダメだ。キスはしてやるけど、それ以上はダメだ」
やっぱりダメだという。
「なんでだよぉ、いいじゃん」
俺がいいって言ってるんだから叶えて欲しいと思う。

「ダメだ」
でも返ってくる言葉はいつも同じだ。
「大我のけちぃ、俺がいいって言ってんじゃん」
自分でもなんでこんなに、この男にこだわるのかわからない。でも、俺は神尾大我に触れて欲しいんだ。

「ダメなものはダメだ。それぐらっ」
俺はダメだという大我の言葉を聞きたくなくて、唇を塞いだ。


この時点で俺は自棄になってたのかもしれない。


相手にしてもらえない、それが悲しくて、寂しくて、自棄になってたんだと思う。


「ちょっ、ひじっ、んっ、まっ」
だから、大我が待てって言ってるのも聞かずにキスばっかり仕掛けてたんだ。
「ちょっと、待ってって」
でも結局は引き剥がされた。

「…ごめん…もぉ、いい…」
これ以上は自分が惨めになるから大我から離れて布団に潜ろうとしたんだ。


したんだ、本当に…



「ホントに、お前は色々と急なんだよ。(こっちの身にもなってくれ)」
大我に捕まって引き寄せられて俺は大我の腕の中に逆戻りした。
「しょうがないだろ、発情中は急なんだから…」
こればっかりはどうしようもできない。本当に色々と急に変わるんだ俺は…。

「それはわかってる。だから、俺はお前と一線を越える気はない。だから抱かねぇけど、気持ちよくはしてやる」
そう言いながら大我は俺にキスをしてきた。


そこからはもう、驚きの連続だった。


「んっ、ぁ、ちょ、ん、ぁ」
キスだけだと思ってたら少しだけ熱い大我の手が服の中に入って来て俺の身体を撫でていく。それも触れるか触れないかのソフトタッチで。
「んっ、ぁ、ぁ」
首筋にもキスされて噛み付かれた。そこまで強い力じゃないけど、赤くなったかも?ってぐらいには噛み付かれた。

「ん、ぁ、ん、ぁ、ぁ」
気が付いたら上着は脱がされてて、直に素肌に触れられて、肩口にキスを落とされる。それだけでくすぐったいような気持ちいいような感覚になる。


でも、間違いなく俺は大概に触れられて感じてる。だって身体が喜んでるんだ。触れてもらえて。


「ん、ぁ、んっ、ぁぁ、ん」
抱かないっていったくせに、身体中に落とされるキス。


本当に驚きの連続だった。


でも、触れて欲しい


もっと、もっと、


俺は神尾大我に触れ欲しんだ。



でも、結局この後の記憶が俺にはなかった。いつもの如く俺は甘えまくって記憶が飛んだらしい。


だから、大我が俺にしてくれたことを覚えてなかったんだ。


ただ、いつもよりも心が満足してる感じがしたんだ。


朝、何があったのか記憶が無いって大我に言ったら呆れられちゃった。


しかも、それを教えてくれなかった。


ケチだな。


Fin

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

胸キュンシチュの相手はおれじゃないだろ?

一ノ瀬麻紀
BL
今まで好きな人どころか、女の子にも興味をしめさなかった幼馴染の東雲律 (しののめりつ)から、恋愛相談を受けた月島湊 (つきしま みなと)と弟の月島湧 (つきしまゆう) 湊が提案したのは「少女漫画みたいな胸キュンシチュで、あの子のハートをGETしちゃおう作戦!」 なのに、なぜか律は湊の前にばかり現れる。 そして湊のまわりに起こるのは、湊の提案した「胸キュンシチュエーション」 え?ちょっとまって?実践する相手、間違ってないか? 戸惑う湊に打ち明けられた真実とは……。 DKの青春BL✨️ 2万弱の短編です。よろしくお願いします。 ノベマさん、エブリスタさんにも投稿しています。

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

処理中です...