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触れた指先の温もり

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「んっ」
ふわふわと暗闇の中を彷徨っていた意識が戻ってきて、ごろんっと寝返りをうって


ここは何処だ?


って思った。

昨夜の記憶が全くない。大我と一緒にいたのは覚えてるんだけど、そこから後の記憶が全くない。


何したんだっけ?


って考えれば考えるほど記憶は遠退いていく。まだ、ボーッとする頭のまま回りを見渡して隣に大我が寝てるのに気が付いた。


やっぱりカッコいいなぁ…


なんて、思いながらそろっと手を伸ばし大我の頬に触れてみる。


あっ、ぬくぬくだ…


寝てるからなのか普段の大我よりも少し体温が高かった。そろぉっと頬から頭に移動して髪に触れればさらりと髪の毛が逃げていく。


やっぱりサラサラで手触りがいいんだよなぁ


なんて思いながら大我の頭を撫でていたら急にぐいって抱き寄せられた。

「ふえぇ」
ビックリして変な声だしちゃったよ。
「驚きすぎだし。退屈だったのか?」
寝起きの少し掠れた声で笑いながらいわれた。

「んー、そうじゃない。目が覚めたら何処かわからなくて、隣を見たら大我が寝てたから触れてみたくなって触れてただけ」
退屈してたわけじゃなくて、ただ、触りたかっただけだと告げれば
「そうか。退屈してたわけじゃないならいい」
あっさりと納得してくれた。

「まだ眠そうだな大我。寝ててもいいよ?俺は大我の傍にいられればそれで満足だし」
うん、これは嘘じゃない。大我の傍にいられれば俺はそれで満足できるんだ。
「んー、じゃぁ、ゆいは抱き枕決定だな」
なんていいながら額に小さなキスをして本当に俺は大我の抱き枕になった。

俺を抱き枕にしてすぐに大我から寝息が聞こえてきて本当に疲れてたんだなって思った。


ここ数日、風紀の方で忙しくしていたのは知っているし、生徒会に提出される書類の量がハンパないのも知ってる。日頃、風紀委員たちが頑張ってくれているから、第2の性に関することや、学校内でのトラブルなどが少ないのは本当に助かってる。


「お疲れさま、大我。いつもありがとな」
俺は小さく呟いて大我の胸に頭を寄せた。


抱き枕になって俺も一緒に寝ちゃおうって思ったんだ。だって、大我の温もりが俺を睡眠へと誘っていくんだもん。

だから俺は本当に抱き枕になったままで寝ちゃったのだった。


触れた指先はとても暖かくて、もっとその温もりに触れたいと思った。

大我の温もりに包まれたいと…



Fin

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