上 下
35 / 49

神尾大我という男

しおりを挟む
う~ん、う~んと一人で悩みながら唸っていたら

「何を唸ってるんだ会長は?」
なんて声をかけられて驚いて顔を上げて振り返れば、少し苦笑をしてる三条がいた。
「あっ三条。風紀の仕事か?」
その腕には救護班の腕章が付けられている。三条がこの腕章をつけているときは救護班の総統括として動いてる時だと聞いたことがある。

三条は風紀委員で、ベータである救護班をまとめている人物だ。普段は風紀委員長である大我や副委員長である神谷と連携して他の救護班を指揮してると教えてもらったことがある。
その男が腕章をつけて自ら動いてるときは風紀委員長直々の仕事を任されていると永尾に聞いたことがある。


「あぁ、委員長直々の仕事でな」
俺の言葉に素直に返事をしてくれた。
「そうなのか?なら悪いな俺のせいで引き留めたようで」
俺が引き留めたら仕事に支障が出ると思って謝ればクスリと笑われた。


なんでだ?


「俺が委員長直々に仕事を任されるのは基本的に会長あんただ」
なんて三条から出てきた言葉に驚いた。
「えっ?えぇぇ!!!どういうことぉ~??」
そんなの初めて聞いた。

「なんだ、気付いてなかったのか?委員長が来れないときは大概俺が来てると思うんだが?」
驚いた顔で言われてう~んと考えてポンと手を叩けば
「思い出したか?」
って聞かれて

「そういえばそうだ。気が付いたら三条が俺の保護に来てくれてるのを思い出した。あれ?ってことは??」
もしかしてと確認を込めて聞けば
「そういうことだ。委員長直々の命でな。本日、只今より生徒会長聖唯斗を風紀委員長の命令により校医の元へ保護する」
などと、相変わらずの言葉が出てきて俺はガックリと肩を落とす。

「またかよ…」
自分でも気が付いていない発情の兆し。それをたった数分前に会っただけの、あの瞬間であの男は感じ取りこうして三条を俺の元へと寄こしたというわけだ。
「まぁ、それだけあんたは委員長に愛されてるってことだろ?」
俺の手にいつものように薬の瓶を置きながら言われる言葉。

「でもなんで俺に三条を寄こすんだ?」
それも気になってるから聞けば
「俺が総括だからだろ?」
なんて曖昧な返事をされた。なんだかうまくはぐらかされたような気もするがもらった薬を飲むことにした。

「神尾大我にしかわからない理由があるから俺を会長のもとに送ってるってことだ。ほら、校医の所へ行こう」
俺が薬を飲んだのを見届けてから校医の所へ行こうといってくれる。
「三条にとって大我ってどんな奴なんだ?」
ふと気になったから聞いてみた。

「俺にとってか…。ライバルで、絶対に越えられない壁かな」
意外な返事が返ってきて驚いた。
「ライバルなんだ…」
俺が呟いたら

「そう、実は俺と神尾は勉強面でも運動面でも競い合ってる仲だ。俺のが負けっぱなしだけどな。だから越えられない壁なんだ。知らなかっただろ?」
真面目な言葉に驚きながら聞いてたら最後に言われた言葉に自分でも笑ってしまう。
「知らなかった。二人がそんな仲なんて」
本当に知らなかったんだ。

「実は俺にはもう一つ越えられない壁があるんだ」
なんて言われて
「そうなのか?」
って聞いたら

「あぁ、委員長と会長の仲は俺には越えられない壁だ。二人の仲は誰にも邪魔できない大きな壁だと思う」
その言葉に
「えっ?えぇぇ!どういうことぉ?」
意味が分からなくて叫んだら

「神尾大我の愛情は聖唯斗ただ一人に注がれてるだろ?そして、聖唯斗も神尾大我しか見てない。二人は相思相愛で大きな絆で結ばれてるってことだ。誰にも越えられないだろ?それが俺は羨ましいと思う」
なんて言われて恥ずかしくなった。他の奴らにはそんな風に見られてたのかと思ったら恥ずかしかったんだ。
「校医の所へ行けば委員長が迎えに来るからちゃんと待ってるんだぞ」
なんて言われて
「三条は俺の保護者か?」
ってつい聞いてしまった。

「そうだな、神尾大我の代わりの保護者だ。それだけ俺はあの男に信頼されて会長を任されてる」
ニヤッて笑いながら言われて、クソッとか思う。俺はやっぱり自分の知らないところであの神尾大我という男に守られているのだ。
「全く…これ以上俺を惚れさせてどうするんだあの男は…」
文句を口にすれば

「案外それが目的かもな。ほら、着いた。後は中で大人しく待ってれば迎えに来るからな」
三条は俺を校医の所へ送り届けると戻っていった。


俺が校医の所へ送り届けられてから大我が迎えに来るまで10分も経っておらず、本当に狙ったかのように現れて、俺の発情が始まったのは言うまでもない。


俺は大我に連れられていつも部屋にいき、いつもの如く甘えまくって記憶をぶっ飛ばしたものいつものことだよな…。


神尾大我、俺より俺のことを知ってる男。


そして、誰よりも謎が多い男。


俺はそんな男にベタ惚れ中。



Fin


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

私の彼氏は義兄に犯され、奪われました。

天災
BL
 私の彼氏は、義兄に奪われました。いや、犯されもしました。

兄弟愛

まい
BL
4人兄弟の末っ子 冬馬が3人の兄に溺愛されています。※BL、無理矢理、監禁、近親相姦あります。 苦手な方はお気をつけください。

咳が苦しくておしっこが言えなかった同居人

こじらせた処女
BL
 過労が祟った菖(あやめ)は、風邪をひいてしまった。症状の中で咳が最もひどく、夜も寝苦しくて起きてしまうほど。 それなのに、元々がリモートワークだったこともあってか、休むことはせず、ベッドの上でパソコンを叩いていた。それに怒った同居人の楓(かえで)はその日一日有給を取り、菖を監視する。咳が止まらない菖にホットレモンを作ったり、背中をさすったりと献身的な世話のお陰で一度長い眠りにつくことができた。 しかし、1時間ほどで目を覚ましてしまう。それは水分をたくさんとったことによる尿意なのだが、咳のせいでなかなか言うことが出来ず、限界に近づいていき…?

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

短編エロ

黒弧 追兎
BL
ハードでもうらめぇ、ってなってる受けが大好きです。基本愛ゆえの鬼畜です。痛いのはしません。 前立腺責め、乳首責め、玩具責め、放置、耐久、触手、スライム、研究 治験、溺愛、機械姦、などなど気分に合わせて色々書いてます。リバは無いです。 挿入ありは.が付きます よろしければどうぞ。 リクエスト募集中!

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

処理中です...