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己の身を滅ぼす毒
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最近、ふわり、ふわりとやけに気になる香りがしていた。
なにが?
と聞かれれば説明はしづらいが、多分これはフェロモンの香り。
誰のもので、なんで気になるのか?
なんてわからない。
誰のものかわからない香りが気になり始めて2日、3日と過ぎて、そのフェロモンの香りが誰のもなのかがわかった。
それは、
聖唯斗
聖の傍に立った時にハッキリとわかった。聖が覚醒始めてる最中なんだと…
「聖、ちょっと付き合え」
俺は聖の手を掴むと、有無を言わさぬ勢いで校医の場所へと連れて行った。
「どうした?」
俺が聖を連れて校医のいる部屋に入れば少し驚いた顔で俺を見たが、なんでこの場所に来たのかわかったのか
「座れ」
聖に椅子に座るように告げれば
「なんだよ一体」
不満を露わにしながら聖が言う。
「お前、発情が始まってる。第2の性に覚醒する」
「はぁ!冗談じゃない!嘘だ!」
校医の言葉に感情を剥き出しに反発する。珍しいもんだ。
「嘘じゃない、お前は覚醒が始まってる。しかも属性はオメガだ」
校医がハッキリと言い切れば
「冗談じゃない!!」
そう叫び部屋を飛び出していった。
「あっ、おい、聖!」
俺は反射的に聖を追いかけた。どこへ行くかわからないヤツを追いかけるのなんて無理だってわかってたけど、俺はあいつを追いかけたんだ。
追いかけて、あいつを見つけて、後悔した。
逃げ出してる間にあいつは発情し、完全に覚醒したのだ。
「クソッ」
あいつの傍に立ったわけじゃないのに、咽かえるようなフェロモンの香り。
全身の血が沸騰し、ぶわって毛穴が開いた。
それと同時にヤバいと思った。
俺は自然と自分の目を押さえていた。目の奥がジリジリと焼ける感覚。それは自分がこの男のフェロモンに反応してさかりが始まった証拠。
この匂いは俺にとって毒となる。
ジリジリと焼ける目の痛み。普通のさかりとは意味が違う。
それは俺の中に流れる特殊な血の影響だからこそわかるもの。この男が自分にとっての番だと目の痛みが訴える。
「っ、さすがにキツイな」
自分自身の薬がない分だけ、今この状態はキツイ。が、自分の事よりも、今目の前にいる男をどうにかしないとダメだ。
「聖、戻るぞ」
聖の腕を掴んで、声をかければ
「うるさい!ほっとけ!」
俺の腕を振り解き走っていく。
「あのバカ」
俺はあいつを捕まえるために追いかけた。
結局、俺は聖と30分ぐらい追いかけっこをする羽目となった。
聖を捕まえて、校医の元に連れていき話をして、どれだけ自分が危険かを告げるが、聞く耳を持たない。
聖が逃げるから俺が追いかける。結局、聖が覚醒してから発情が終わるまでの間ずっと俺は聖を追いかけまわすこととなった。
それからずっと、聖は発情するたびにフラフラと出歩くので、俺が捕まえては専用の部屋へ連れ込み、話し相手になったりしていた。
あいつが無意識に甘えるから俺はそんなあいつを甘えさせてたんだ。
まさかそれが発情したあいつの日課になるなんて思いもよらなかったけどな。
俺にとって聖の発情は己の身を滅ぼす毒となる。
それでも傍から離れないのは俺が聖唯斗に惚れているから…。
その事実をあいつは知らない。今はまだ教えるつもりもない。
いずれは手に入れてやる。
聖唯斗
を…
Fin
なにが?
と聞かれれば説明はしづらいが、多分これはフェロモンの香り。
誰のもので、なんで気になるのか?
なんてわからない。
誰のものかわからない香りが気になり始めて2日、3日と過ぎて、そのフェロモンの香りが誰のもなのかがわかった。
それは、
聖唯斗
聖の傍に立った時にハッキリとわかった。聖が覚醒始めてる最中なんだと…
「聖、ちょっと付き合え」
俺は聖の手を掴むと、有無を言わさぬ勢いで校医の場所へと連れて行った。
「どうした?」
俺が聖を連れて校医のいる部屋に入れば少し驚いた顔で俺を見たが、なんでこの場所に来たのかわかったのか
「座れ」
聖に椅子に座るように告げれば
「なんだよ一体」
不満を露わにしながら聖が言う。
「お前、発情が始まってる。第2の性に覚醒する」
「はぁ!冗談じゃない!嘘だ!」
校医の言葉に感情を剥き出しに反発する。珍しいもんだ。
「嘘じゃない、お前は覚醒が始まってる。しかも属性はオメガだ」
校医がハッキリと言い切れば
「冗談じゃない!!」
そう叫び部屋を飛び出していった。
「あっ、おい、聖!」
俺は反射的に聖を追いかけた。どこへ行くかわからないヤツを追いかけるのなんて無理だってわかってたけど、俺はあいつを追いかけたんだ。
追いかけて、あいつを見つけて、後悔した。
逃げ出してる間にあいつは発情し、完全に覚醒したのだ。
「クソッ」
あいつの傍に立ったわけじゃないのに、咽かえるようなフェロモンの香り。
全身の血が沸騰し、ぶわって毛穴が開いた。
それと同時にヤバいと思った。
俺は自然と自分の目を押さえていた。目の奥がジリジリと焼ける感覚。それは自分がこの男のフェロモンに反応してさかりが始まった証拠。
この匂いは俺にとって毒となる。
ジリジリと焼ける目の痛み。普通のさかりとは意味が違う。
それは俺の中に流れる特殊な血の影響だからこそわかるもの。この男が自分にとっての番だと目の痛みが訴える。
「っ、さすがにキツイな」
自分自身の薬がない分だけ、今この状態はキツイ。が、自分の事よりも、今目の前にいる男をどうにかしないとダメだ。
「聖、戻るぞ」
聖の腕を掴んで、声をかければ
「うるさい!ほっとけ!」
俺の腕を振り解き走っていく。
「あのバカ」
俺はあいつを捕まえるために追いかけた。
結局、俺は聖と30分ぐらい追いかけっこをする羽目となった。
聖を捕まえて、校医の元に連れていき話をして、どれだけ自分が危険かを告げるが、聞く耳を持たない。
聖が逃げるから俺が追いかける。結局、聖が覚醒してから発情が終わるまでの間ずっと俺は聖を追いかけまわすこととなった。
それからずっと、聖は発情するたびにフラフラと出歩くので、俺が捕まえては専用の部屋へ連れ込み、話し相手になったりしていた。
あいつが無意識に甘えるから俺はそんなあいつを甘えさせてたんだ。
まさかそれが発情したあいつの日課になるなんて思いもよらなかったけどな。
俺にとって聖の発情は己の身を滅ぼす毒となる。
それでも傍から離れないのは俺が聖唯斗に惚れているから…。
その事実をあいつは知らない。今はまだ教えるつもりもない。
いずれは手に入れてやる。
聖唯斗
を…
Fin
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