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触れたくて…
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クラスメイトと会話をしてる聖を見て思うことがある。
あいつ…ムリしてんじゃねぇのかなって。
元々あいつは自分の感情を表立って出す方じゃない。クラスメイトと話をしていても当たり障りのないように受け答えをしている。
その原因は幼少期の出来事が原因だって俺はわかってるからいいのだが…。
「委員長、会長を見て何かあるんですか?難しい顔になってますよ」
急に隣から声をかけられて相手を見れば神谷だった。
「イヤ、ちょっと考え事をしてただけだ。顔に出てたのか」
顔に出るほど考え込んでたようだ。
「でも、少し顔色が悪いですね会長」
同じように聖を見て呟く。
「多分、無理はしてるだろうな」
その呟きに答えるように言えば
「大丈夫なんですか?」
深くは聞いてこないが、大丈夫かと聞いてくるところは流石だと思う。
「まぁ、反動は出るだろうな。帰ったら話を聞くから大丈夫だ」
問題ないと答えれば永尾が会話に乱入して聖を連れて行った。
「あのバカ。また会長をさらってった」
神谷がぼそりと呟く。その声には怒気が含まれていたが、俺は気付かないフリをしておいた。この二人に係わると後々面倒だからな。
「永尾が連れてったから聖的には助かってるから大丈夫だろ」
俺は隣にいる神谷に告げて立ち上がる。
「委員長はあのバカに甘くないですか?」
少し不満気に神谷が言ってくるが
「そうでもねぇよ。神谷が知らねぇだけで案外ぞんざいな扱いしてる」
普段の扱いを思い浮かべて言えば
「あっ、あれ本当だったんだ」
永尾から何か聞いてたんだろうな、神谷が驚いてた。
「風紀委員室の壁を壊さん勢いで毎回来る相手に優しくはしねぇぞ」
お前にも原因があるんだぞという意味を込めていいぇば
「あー、すみません。バカに今度しっかり言い聞かせます」
理由がわかった分だけ素直に謝る。
「まぁ、あいつのあの行動も恒例だからな。諦めてる。今日は早帰りだからさっさと仕事済ませるか」
神谷の肩を叩き風紀委員室に向かうために歩き出した。今日は学校から早く帰るようにと連絡が来ていたのだ。だから永尾が聖を連れて行ったのはそれが原因だ。
「帰ったらあのバカに説教しよう」
なんて神谷が言っていたが少し嬉しそうだった。まぁ、なんだかんだ言っても神谷は永尾のことが好きだからな。
委員会を終わらせて自室へ帰ってくれば扉の前で膝を抱えて座ってる聖がいた。
「おい、こら、何のために合鍵を渡してあるんだ?」
声をかけてから頭を撫でれば何か言いたげで俺を見て俯いた。
「そこどいてくれないと中に入れないぞ」
何かあってここに来てるのはわかってるから部屋の中に入るためにそこを退いてくれと言えば慌てて立ち上がった。
鍵を開けて。聖の腕を掴んで部屋の中に連れ込んだ。
「先に着替えていいか?」
寝室のベッドの上に座らせてから聞けば小さく頷いた。それを見てから俺は制服から普段着に着替えて、隣に腰かけた。
「で?今度はなにがあったんだ?」
こいつの話を聞くためにここに連れ込んだんだ。
「えっと…これと言って…特に何かってわけじゃないんだ…その…」
凄く言いにくそうな感じで話す聖。クラスメイトとの会話で何かあったのかと思ったんだがそうではないらしい。
「じゃぁどうした?」
他に何がったんだろうか?と考えていれば
「えっと…」
そう言いながらおずおずと手を伸ばし俺の頭に触れた。
「ん?」
意味が分からなくて聖を見ればなんだかすごく嬉しそうだ。
「ぁ…やっぱり…」
なんて呟いてる。
「あのー、唯斗さん?何がしたいんだ?」
何がしたいのか気になって聞いてみれば
「大我の髪の毛サラサラで気持ちいなぁって…」
なんてニコニコな笑顔で言われた。
「もしかして、みんなで話してるときその会話してたのか?」
もしかしてと聞けば
「うん。みんながさ最近、髪がはねるとか寝癖がなおらんとかそんな話してて、そう言えば大我の髪の毛ってサラサラだった気がってして。そう考えてたら触りたいなって…」
俺の髪を弄りながら説明してくれた。
「そっか。それならいい」
無理してたわけじゃないならいいかと自分で納得して聖の身体を抱きしめてそのまま横になった。
「ちょ、大我さん?」
俺の行き成りの行動にビックリして声を上げる。
「髪触りたいんだろ?俺は唯斗が抱きしめたいからこうしてる」
だから気にせずに自分のしたいことをしてろと告げれば
「このまま寝ちゃいそうだよな」
クスクス笑いながら俺の頭を抱き寄せ額にキスをする。
「そん時はそん時だな」
そう答えながら俺は聖のしたいようにさせていた。
聖が俺の髪を触りながら寝落ちしたのは案外早かった。
まぁ、疲れていたのは知ってるので、風邪をひかないように布団の中に連れ込んで朝まで抱きしめて寝た。
朝起きたら状況がわかってなくてちょっとパニクってたけどな。
Fin
あいつ…ムリしてんじゃねぇのかなって。
元々あいつは自分の感情を表立って出す方じゃない。クラスメイトと話をしていても当たり障りのないように受け答えをしている。
その原因は幼少期の出来事が原因だって俺はわかってるからいいのだが…。
「委員長、会長を見て何かあるんですか?難しい顔になってますよ」
急に隣から声をかけられて相手を見れば神谷だった。
「イヤ、ちょっと考え事をしてただけだ。顔に出てたのか」
顔に出るほど考え込んでたようだ。
「でも、少し顔色が悪いですね会長」
同じように聖を見て呟く。
「多分、無理はしてるだろうな」
その呟きに答えるように言えば
「大丈夫なんですか?」
深くは聞いてこないが、大丈夫かと聞いてくるところは流石だと思う。
「まぁ、反動は出るだろうな。帰ったら話を聞くから大丈夫だ」
問題ないと答えれば永尾が会話に乱入して聖を連れて行った。
「あのバカ。また会長をさらってった」
神谷がぼそりと呟く。その声には怒気が含まれていたが、俺は気付かないフリをしておいた。この二人に係わると後々面倒だからな。
「永尾が連れてったから聖的には助かってるから大丈夫だろ」
俺は隣にいる神谷に告げて立ち上がる。
「委員長はあのバカに甘くないですか?」
少し不満気に神谷が言ってくるが
「そうでもねぇよ。神谷が知らねぇだけで案外ぞんざいな扱いしてる」
普段の扱いを思い浮かべて言えば
「あっ、あれ本当だったんだ」
永尾から何か聞いてたんだろうな、神谷が驚いてた。
「風紀委員室の壁を壊さん勢いで毎回来る相手に優しくはしねぇぞ」
お前にも原因があるんだぞという意味を込めていいぇば
「あー、すみません。バカに今度しっかり言い聞かせます」
理由がわかった分だけ素直に謝る。
「まぁ、あいつのあの行動も恒例だからな。諦めてる。今日は早帰りだからさっさと仕事済ませるか」
神谷の肩を叩き風紀委員室に向かうために歩き出した。今日は学校から早く帰るようにと連絡が来ていたのだ。だから永尾が聖を連れて行ったのはそれが原因だ。
「帰ったらあのバカに説教しよう」
なんて神谷が言っていたが少し嬉しそうだった。まぁ、なんだかんだ言っても神谷は永尾のことが好きだからな。
委員会を終わらせて自室へ帰ってくれば扉の前で膝を抱えて座ってる聖がいた。
「おい、こら、何のために合鍵を渡してあるんだ?」
声をかけてから頭を撫でれば何か言いたげで俺を見て俯いた。
「そこどいてくれないと中に入れないぞ」
何かあってここに来てるのはわかってるから部屋の中に入るためにそこを退いてくれと言えば慌てて立ち上がった。
鍵を開けて。聖の腕を掴んで部屋の中に連れ込んだ。
「先に着替えていいか?」
寝室のベッドの上に座らせてから聞けば小さく頷いた。それを見てから俺は制服から普段着に着替えて、隣に腰かけた。
「で?今度はなにがあったんだ?」
こいつの話を聞くためにここに連れ込んだんだ。
「えっと…これと言って…特に何かってわけじゃないんだ…その…」
凄く言いにくそうな感じで話す聖。クラスメイトとの会話で何かあったのかと思ったんだがそうではないらしい。
「じゃぁどうした?」
他に何がったんだろうか?と考えていれば
「えっと…」
そう言いながらおずおずと手を伸ばし俺の頭に触れた。
「ん?」
意味が分からなくて聖を見ればなんだかすごく嬉しそうだ。
「ぁ…やっぱり…」
なんて呟いてる。
「あのー、唯斗さん?何がしたいんだ?」
何がしたいのか気になって聞いてみれば
「大我の髪の毛サラサラで気持ちいなぁって…」
なんてニコニコな笑顔で言われた。
「もしかして、みんなで話してるときその会話してたのか?」
もしかしてと聞けば
「うん。みんながさ最近、髪がはねるとか寝癖がなおらんとかそんな話してて、そう言えば大我の髪の毛ってサラサラだった気がってして。そう考えてたら触りたいなって…」
俺の髪を弄りながら説明してくれた。
「そっか。それならいい」
無理してたわけじゃないならいいかと自分で納得して聖の身体を抱きしめてそのまま横になった。
「ちょ、大我さん?」
俺の行き成りの行動にビックリして声を上げる。
「髪触りたいんだろ?俺は唯斗が抱きしめたいからこうしてる」
だから気にせずに自分のしたいことをしてろと告げれば
「このまま寝ちゃいそうだよな」
クスクス笑いながら俺の頭を抱き寄せ額にキスをする。
「そん時はそん時だな」
そう答えながら俺は聖のしたいようにさせていた。
聖が俺の髪を触りながら寝落ちしたのは案外早かった。
まぁ、疲れていたのは知ってるので、風邪をひかないように布団の中に連れ込んで朝まで抱きしめて寝た。
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