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出張恋愛相談所2
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「あれ?やけに静かだな。二人はどうしたんだ?」
先に来てると思って人物が見当たらずに机に向かって仕事をしてる人物に声をかければ
「そこのベッドを覗いてみろ」
作業をしたままで指を指され、言われたと通りにそっと覗き込めば二人して気持ちよさそうにスヤスヤと寝ていた。
「兄弟みたいだな」
そう呟きながら、机に向かっている人物の背を見る。
「おかげでこっちは仕事が捗った。やっておかなきゃいけない仕事も終わったからな」
作業が終わったのか持っていたペンを置きググっと背伸びをしてこっちを振り返った。
「生徒会の仕事もあるからそんなには時間が取れないかと思ったんだけどよかったよ」
後で永尾たちにお礼言っておこう。
「1時間ぐらい前に来て遊んで気が付いたら二人で寝てた」
小さく息を吐きながら教えてくれた。
「で?今回は何時までなんだ?」
代理でこの場所にいる人物、神尾拓輝に聞いてみた。
「明後日までの予定だったけど、さっき連絡が入って明日までで大丈夫だそうだ」
メールの画面を俺に見せながら溜め息をつく。
「そっか、今回は意外に早かったんだ」
内容を見て言えば
「まぁ、あいつの場合はお前みたいに普通に抑え込める時があるからな。母は強ってやつだ」
携帯を机の上に置きながら言う。
「俺の場合はある程度、管理できてる部分があるからな」
さかりの周期だって定期的に確認とかしてるし、休みを取って調整はしてる。
「なぁ、あいつから劉のことなんか聞いたか?」
急にそんなことを聞かれ
「劉のことって?」
どのことかわからず聞き返した。
「お前も気が付いてるんだろ?劉の父親のこととか…」
行き成り核心を聞かれた。やっぱり気にしてたんだな。
「まぁ、俺の子供ん時にそっくりだからもしかして?って考えてはいるけど」
答えは知ってるけど俺が言うことじゃない。
「煌太から聞いたんじゃないのか?」
そう聞かれて
「何?あんた教えてもらったのか?」
つい聞き返した。
「イヤ、俺は聞いてない。聞いてはいないが、俺の子だって確信はある」
あんまりにもハッキリと言い切ったことに驚いた。
「確信があるって…。DNA検査とかしたのかよ?」
しようと思えばできるはずだ。
「してない。色々と時系列を調べていくうちに、俺との子だって確信した。あいつがいなくなってからの期間とか、色々と調べて、出来たタイミングとかどう考えても俺が父親だってな。それに…お前とそっくりなんて…どう考えても俺だろ?お前あんとき小学生だし…」
苦笑を浮かべながら自分の考えを口にする。
「伊達に…俺の従兄じゃなんだな…」
ポツリと呟けば
「正確に言えば従兄じゃなくて俺はお前の兄貴だ。お前が養子に出ただけで…」
ハッキリと言われた。
そう、実はこの男、神尾拓輝は正真正銘、血の繋がった俺の兄貴だ。俺の母親、つまり育ての親が拓輝の母親の妹で幼い子を事故で亡くし、憔悴しきっていたので、生みの親である拓輝の母が俺を養子として預けたのだ。
だから世間的には従兄として通している。これは聖に言ってないことだ。
「どんだけお前のあの可愛い姿を拝んでたと思う?ずっと一緒にいたんだぞ?劉を見て気が付かないはずがないだろ?」
溜め息交じりにでも力説された。
イヤ、うん。わかってるさ。小さい時は金魚のフンのようにずっと後ろをついて回ってたからな。だから一発でわかるよな。俺と劉がそっくりだって…。
「で?どうするつもりなんだよ」
自分の子だって確信してるならどうするつもりか聞きたかった。
「どうするって、決まってるだろ?ちゃんと煌太と話し合って一緒になるさ。俺は煌太も劉も好きだし、守りたい存在だからな」
愚問だとばかりに言われた。
「じゃぁ、一つ聞くけど、中学んときに聖にきつかった理由は?」
これだけはハッキリと聞きたい。
「あー、あれか…。実は煌太と重なった。お前が知らないだけで煌太も覚醒したときは酷かったんだ。それを思い出して、自分を大事にしない聖が許せなかった。もっと自分を大事にしてほしかったんだ」
苦虫を潰したような顔で言われた。
「あれ?行方不明になってた頃の煌太さんじゃなくて、覚醒当時の煌太さんを聖に重ねてたってことなのか?」
俺は行方不明の時かと思ってたんだけどな。
「あー、イヤ、実は両方だ。ただ、途中でお前が傍にいるようになったから、そこからはお前に任せてたんだけどな…」
苦笑したままで言われ
「結局はあの人が原因かよ」
俺は思いっきり呆れた。
「悪いな。意外に俺の中であいつが中心なんでな」
小さく笑うその顔は子供の頃に見ていた顔だ。煌太さんと楽しそうに過ごしていたあの時の顔。
「吹っ切れたって感じなのか?」
そんな顔をするってことは吹っ切れたというか決心がついたって感じだろうか?
「あぁ、聖と話して、大我と話してようやく煌太とちゃんと向き合う決心が出来た。俺は劉の父親として煌太の隣に立ちたいと思う」
その顔はやっぱり、あの頃の顔をしていた。二人ともお互いに好きだったのを俺は知っている。拓輝兄はそれを表立って見せていなかっただけで、煌太さんのことを気に入ってたし、好きだったのを俺は子供ながらに気が付いていた。
「劉がひろくんがパパならいいのにぃってずっと言ってるから叶えてやんな」
だから俺は小さな爆弾を落としておいた。
「マジか!わかった、大我ありがとうな」
驚きながらも嬉しそうだ。
「まぁ、頑張って口説いて幸せになってくれ」
俺はそう答えながら寝てる二人を起こすためにベッドの方へ行けば寝起きの二人がボーっと座ってた。
「なぁ、シャッターチャンスだけどどうする?」
ベッドの仕切りのカーテンを開けながら声をかければ
「もち撮る!」
いそいそと携帯を構えて写真を撮り始める兄貴の姿を見て小さく笑った。
後で俺もその写真を送ってもらう約束はちゃんとした。
その後、劉と少しだけ遊んで聖を連れて寮に帰った。
遊んで疲れて一緒に寝ちゃったことに恥ずかしがっていたけどお礼を告げれば嬉しそうに笑っていた。
いつか、ちゃんと自分のことをこの男にも話さないといけないなと思いながらも俺はそっと手を握りしめた。
Fin
先に来てると思って人物が見当たらずに机に向かって仕事をしてる人物に声をかければ
「そこのベッドを覗いてみろ」
作業をしたままで指を指され、言われたと通りにそっと覗き込めば二人して気持ちよさそうにスヤスヤと寝ていた。
「兄弟みたいだな」
そう呟きながら、机に向かっている人物の背を見る。
「おかげでこっちは仕事が捗った。やっておかなきゃいけない仕事も終わったからな」
作業が終わったのか持っていたペンを置きググっと背伸びをしてこっちを振り返った。
「生徒会の仕事もあるからそんなには時間が取れないかと思ったんだけどよかったよ」
後で永尾たちにお礼言っておこう。
「1時間ぐらい前に来て遊んで気が付いたら二人で寝てた」
小さく息を吐きながら教えてくれた。
「で?今回は何時までなんだ?」
代理でこの場所にいる人物、神尾拓輝に聞いてみた。
「明後日までの予定だったけど、さっき連絡が入って明日までで大丈夫だそうだ」
メールの画面を俺に見せながら溜め息をつく。
「そっか、今回は意外に早かったんだ」
内容を見て言えば
「まぁ、あいつの場合はお前みたいに普通に抑え込める時があるからな。母は強ってやつだ」
携帯を机の上に置きながら言う。
「俺の場合はある程度、管理できてる部分があるからな」
さかりの周期だって定期的に確認とかしてるし、休みを取って調整はしてる。
「なぁ、あいつから劉のことなんか聞いたか?」
急にそんなことを聞かれ
「劉のことって?」
どのことかわからず聞き返した。
「お前も気が付いてるんだろ?劉の父親のこととか…」
行き成り核心を聞かれた。やっぱり気にしてたんだな。
「まぁ、俺の子供ん時にそっくりだからもしかして?って考えてはいるけど」
答えは知ってるけど俺が言うことじゃない。
「煌太から聞いたんじゃないのか?」
そう聞かれて
「何?あんた教えてもらったのか?」
つい聞き返した。
「イヤ、俺は聞いてない。聞いてはいないが、俺の子だって確信はある」
あんまりにもハッキリと言い切ったことに驚いた。
「確信があるって…。DNA検査とかしたのかよ?」
しようと思えばできるはずだ。
「してない。色々と時系列を調べていくうちに、俺との子だって確信した。あいつがいなくなってからの期間とか、色々と調べて、出来たタイミングとかどう考えても俺が父親だってな。それに…お前とそっくりなんて…どう考えても俺だろ?お前あんとき小学生だし…」
苦笑を浮かべながら自分の考えを口にする。
「伊達に…俺の従兄じゃなんだな…」
ポツリと呟けば
「正確に言えば従兄じゃなくて俺はお前の兄貴だ。お前が養子に出ただけで…」
ハッキリと言われた。
そう、実はこの男、神尾拓輝は正真正銘、血の繋がった俺の兄貴だ。俺の母親、つまり育ての親が拓輝の母親の妹で幼い子を事故で亡くし、憔悴しきっていたので、生みの親である拓輝の母が俺を養子として預けたのだ。
だから世間的には従兄として通している。これは聖に言ってないことだ。
「どんだけお前のあの可愛い姿を拝んでたと思う?ずっと一緒にいたんだぞ?劉を見て気が付かないはずがないだろ?」
溜め息交じりにでも力説された。
イヤ、うん。わかってるさ。小さい時は金魚のフンのようにずっと後ろをついて回ってたからな。だから一発でわかるよな。俺と劉がそっくりだって…。
「で?どうするつもりなんだよ」
自分の子だって確信してるならどうするつもりか聞きたかった。
「どうするって、決まってるだろ?ちゃんと煌太と話し合って一緒になるさ。俺は煌太も劉も好きだし、守りたい存在だからな」
愚問だとばかりに言われた。
「じゃぁ、一つ聞くけど、中学んときに聖にきつかった理由は?」
これだけはハッキリと聞きたい。
「あー、あれか…。実は煌太と重なった。お前が知らないだけで煌太も覚醒したときは酷かったんだ。それを思い出して、自分を大事にしない聖が許せなかった。もっと自分を大事にしてほしかったんだ」
苦虫を潰したような顔で言われた。
「あれ?行方不明になってた頃の煌太さんじゃなくて、覚醒当時の煌太さんを聖に重ねてたってことなのか?」
俺は行方不明の時かと思ってたんだけどな。
「あー、イヤ、実は両方だ。ただ、途中でお前が傍にいるようになったから、そこからはお前に任せてたんだけどな…」
苦笑したままで言われ
「結局はあの人が原因かよ」
俺は思いっきり呆れた。
「悪いな。意外に俺の中であいつが中心なんでな」
小さく笑うその顔は子供の頃に見ていた顔だ。煌太さんと楽しそうに過ごしていたあの時の顔。
「吹っ切れたって感じなのか?」
そんな顔をするってことは吹っ切れたというか決心がついたって感じだろうか?
「あぁ、聖と話して、大我と話してようやく煌太とちゃんと向き合う決心が出来た。俺は劉の父親として煌太の隣に立ちたいと思う」
その顔はやっぱり、あの頃の顔をしていた。二人ともお互いに好きだったのを俺は知っている。拓輝兄はそれを表立って見せていなかっただけで、煌太さんのことを気に入ってたし、好きだったのを俺は子供ながらに気が付いていた。
「劉がひろくんがパパならいいのにぃってずっと言ってるから叶えてやんな」
だから俺は小さな爆弾を落としておいた。
「マジか!わかった、大我ありがとうな」
驚きながらも嬉しそうだ。
「まぁ、頑張って口説いて幸せになってくれ」
俺はそう答えながら寝てる二人を起こすためにベッドの方へ行けば寝起きの二人がボーっと座ってた。
「なぁ、シャッターチャンスだけどどうする?」
ベッドの仕切りのカーテンを開けながら声をかければ
「もち撮る!」
いそいそと携帯を構えて写真を撮り始める兄貴の姿を見て小さく笑った。
後で俺もその写真を送ってもらう約束はちゃんとした。
その後、劉と少しだけ遊んで聖を連れて寮に帰った。
遊んで疲れて一緒に寝ちゃったことに恥ずかしがっていたけどお礼を告げれば嬉しそうに笑っていた。
いつか、ちゃんと自分のことをこの男にも話さないといけないなと思いながらも俺はそっと手を握りしめた。
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