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出張恋愛相談所
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「ごめんねぇ、急に呼び出しちゃってぇ」
相変わらずのんびりと言ってくる。
「あのぉ、俺も一緒でよかったんですか?」
隣で居心地が悪そうに聖が聞いている。
「大丈夫だよぉ。というか、聖くんも知りたいだろうなって思って呼んだんだ」
校医こと神田はあっさりという。
「えっと...どの話?先生の子供の話?」
聖はどの話に関してかを聞いてる。
思い当たる部分が多いんだなこいつ。
「いやん、当たり。さて、大ちゃん...この間の話させてくれる?」
急に真面目に俺に向き合う。
俺は溜め息をつき
「血が繋がってるって言ったのはあくまでも俺の憶測だけど?」
取り敢えずそこは言っておく。
本当にこれは俺の憶測での言葉だ。
「じゃぁ、なんで憶測でそこまで言えるのかな?」
少し考えながら言葉を選びながら聞いてくる。
「あれ?って思い始めたのは去年だよ。劉を見て似てるなって思った。そんとき丁度、俺のガキん時の写真が送られてきて、それを見て確信した」
神田を見ながらはっきりという。嘘はつけないからな。
「えっ、でも血が繋がってるけど、大我の子じゃないなら、劉くんの父親って誰?」
聖がそんなことを聞く。何となく思い当たる節はあるんだろう。
「お前の中じゃ一人しかいないだろ?」
だから確認の意味を込めて聖に聞けばコクりと頷く。
「劉は俺の子じゃない。だって当たり前だ、当時、第2の性にも目覚めてない小学生だったガキが子作りなんて出きるわけがない」
俺がはっきりと言えば
「いつから気づいてた?」
神田が静かに聞いてくる。
「俺がまだあいつに懐いてた頃かな。ガキん時は俺もあいつんところに行ってたし、傍で楽しそうにしてるあんた見て、あぁ、こいつ拓輝兄のこと好きなんだなって思った。あの一件からあいつも変わったし、あんたも変わったからな」
そう、俺がまだ小学生のガキで、拓輝を慕っていた頃、よく拓輝の所に来ていたのがこの男、煌太だった。
二人とも俺にはよくしてくれてた、そんなある日、拓輝の前から煌太が姿を消し、3ヶ月後に現れたときはボロボロの姿で既に妊娠していた。
煌太は頑なに子供を産むと言い張り、拓輝はそんな煌太の傍にいることを選らんだ。
「あの日、あの時に何があったのかは俺もわからないし、あいつから教えてもらったことを元に考えた結果、劉の父親は拓輝なんだろ?しかもあんたが全部計画してたことだ」
俺は自分が考えて導きだした答えを口にする。
「だから大ちゃんは嫌いだよ」
ハァッて大きな溜め息をつき神田がいう。
「えっ?ぇぇ!!」
それを聞き聖は驚いた。
「ホントにさぁ頭がいいのは嫌われるよ。でも、僕はそんな大ちゃんに助けられてきたんだよね」
諦めたようにいう。
「劉は先輩との間に出来た子だよ。大ちゃんのいう通り、僕が計画して作った子。あの時は先輩が好きすぎて、相手してもらえなくて、なら子供だけでもって…自棄になってたんだよね。でも、僕は後悔してないよ。劉は僕の大切な子供だからね」
小さく笑う顔は父として、母としての顔。
「ボロボロで戻ってきた理由を聞いてもいいか?」
そこだけは確認したかった。
「あー、それ聞いちゃう?あれね、実はあの時は意味なくケンカを吹っ掛けられててイライラしながら相手してただけであって、先輩に相手されないからってそこら辺の男に相手してもらってボロボロにされたってわけじゃないんだよ。本当にケンカしてただけで、あの姿のまま先輩の前に行くつもりもなかったんだ」
バツが悪そうな顔で教えてくれる。
「あんた、それあいつにちゃんと説明してねぇだろ?だからあいつ聖に当たりが強かったんだぞ。あんたが自棄起こして自分の身体を大切にしなかったってあいつ思って、自分がちゃんと向き合わなかったからだって責任感じてたんだ。だから聖が初めて発情してから自棄を起こしてるときに、あんたみたいにさせたくなくて必要以上に聖を怒ってたんだからな。あんたのせいだぞ!」
だからこれだけは言っておく。
「あちゃぁ~。ごめんねぇゆいちゃん。僕のせいだったんだねぇ先輩がゆいちゃんにキツかったの。今度ちゃんと先輩には言っとく」
顔の前で手を合わせて聖に謝る。
「いや、先生の話を聞いたらなんでキツかったのかわかったんで大丈夫ですよ」
聖はヘラって笑う。
「それよりさ煌太さん、いい加減にちゃんと拓輝兄に告白した方がいいと思うけどな。劉がひろくんがパパなら僕もっと嬉しいのにぃっていってたぞ」
本当はもっと違うことも言ってたが、そこは劉本人じゃないから黙っておく。
「えっ、えぇぇぇ!!あの子そんなこと言ってたの?うわぁ、もしかしてバレてる?」
神田が驚きながらも聞いてくるので
「薄々な。あいつも薄々、自分の子じゃないかって思いながら可愛がってるしな」
爆弾だけは落としておこう。
「うわぁぁ、先輩も気付いてるのぉ!あっ、そうか大ちゃんにそっくりだもんね、気付くよね…」
一人で百面相を始める。
「俺はあいつには何も言ってない。あいつが勝手に導いて気が付いてだけだし。後は二人が話し合うことだし」
あいつと話はしたけど、このことに関しては何も言ってない。言ってはないが自分の子じゃないかというのはあいつ自身が気が付いてる。
そう、それほどまでに子供の頃の俺と劉は似てるのだ。色が違うだけで、俺の子だと言っても疑われないぐらいにそっくりなのだ。
「でも…大ちゃんはいいの?」
急にそんなことを聞いてくる。
「なにが?」
何のことを聞いてるのかが知りたくて聞き返した。
「その…僕が先輩に…その…」
言いにくそうに話す。
「俺は構わないけど?従兄が結婚して本当の家族と幸せになるなら嬉しいことだろ?なんだかんだ言ったって俺は拓輝兄も煌太さんも気に入ってんだし、将来的に俺にもゆいという家族が増えるわけだしいいんじゃないのか?なぁ唯斗」
傍で大人しく会話を聞いてる聖に話を振れば
「えっ?あっ、うん。大我がいいなら俺はそれでいいよ。でもなんか変な気分かも…。先生たちが親戚なのって…」
驚いて、でもハッキリという。
「あー、そっかぁ。親戚になるんだねぇ。よろしくねゆいちゃん。大ちゃんがおいたしたらいいに来るんだよ」
「誰がおいたすんだよ。ったくこれだから調子に乗せるとふざけるんだからあんたは」
「先生も大我も楽しそう。なんか羨ましぃ」
俺と神田のやり取りを見て聖が言う。
「だ~い丈夫。今度からゆいちゃんも一緒だからねぇ。僕たちの新しい家族だもんねぇ」
そんな聖を神田が抱きしめる。俺はそんな聖の頭を撫でてやった。
「なんか…恥ずかしいなぁ…」
なんて文句を言うがその顔は嬉しそうだ。
聖は聖の事情があり親の愛情を知らない。だから、他人にはあまり興味を示さない。そんな聖が深く関わりを持ったのが俺と神田とあいつだった。
だから、俺は聖が自棄を起こした時、ずっと傍にいたし、一緒にいて甘やかしてきたんだ。
「二人ともありがとう。ちゃんと話を聞けてスッキリした。大ちゃん、もう少ししたら僕はちゃんと彼に話すよ。だって、やっぱり僕は拓輝さんが好きだから」
神田が少しだけ照れて笑う。
「頑張れよ。まぁあいつに襲われないように気をつけろよ」
ニヤリと笑って答えれば
「バ、バカ」
真っ赤になった。
「じゃぁ、お邪魔しました。聖、行くぞ」
俺は聖を連れて神田の部屋を出た。
聖がそっと俺の制服の裾を掴むから
「手はここ」
そう言って差し出せば少しだけ泣きそうな顔で握り返してきた。
部屋に帰ったら気が済むまで聖を甘やかそう。今の聖は俺の愛に飢えてるからな…。
握りしめる手に少しだけ力を込めて部屋に戻るために歩き出した。
あの2人はきっとうまくいくから心配はしない。
だって両想いなんだからな。
Fin
相変わらずのんびりと言ってくる。
「あのぉ、俺も一緒でよかったんですか?」
隣で居心地が悪そうに聖が聞いている。
「大丈夫だよぉ。というか、聖くんも知りたいだろうなって思って呼んだんだ」
校医こと神田はあっさりという。
「えっと...どの話?先生の子供の話?」
聖はどの話に関してかを聞いてる。
思い当たる部分が多いんだなこいつ。
「いやん、当たり。さて、大ちゃん...この間の話させてくれる?」
急に真面目に俺に向き合う。
俺は溜め息をつき
「血が繋がってるって言ったのはあくまでも俺の憶測だけど?」
取り敢えずそこは言っておく。
本当にこれは俺の憶測での言葉だ。
「じゃぁ、なんで憶測でそこまで言えるのかな?」
少し考えながら言葉を選びながら聞いてくる。
「あれ?って思い始めたのは去年だよ。劉を見て似てるなって思った。そんとき丁度、俺のガキん時の写真が送られてきて、それを見て確信した」
神田を見ながらはっきりという。嘘はつけないからな。
「えっ、でも血が繋がってるけど、大我の子じゃないなら、劉くんの父親って誰?」
聖がそんなことを聞く。何となく思い当たる節はあるんだろう。
「お前の中じゃ一人しかいないだろ?」
だから確認の意味を込めて聖に聞けばコクりと頷く。
「劉は俺の子じゃない。だって当たり前だ、当時、第2の性にも目覚めてない小学生だったガキが子作りなんて出きるわけがない」
俺がはっきりと言えば
「いつから気づいてた?」
神田が静かに聞いてくる。
「俺がまだあいつに懐いてた頃かな。ガキん時は俺もあいつんところに行ってたし、傍で楽しそうにしてるあんた見て、あぁ、こいつ拓輝兄のこと好きなんだなって思った。あの一件からあいつも変わったし、あんたも変わったからな」
そう、俺がまだ小学生のガキで、拓輝を慕っていた頃、よく拓輝の所に来ていたのがこの男、煌太だった。
二人とも俺にはよくしてくれてた、そんなある日、拓輝の前から煌太が姿を消し、3ヶ月後に現れたときはボロボロの姿で既に妊娠していた。
煌太は頑なに子供を産むと言い張り、拓輝はそんな煌太の傍にいることを選らんだ。
「あの日、あの時に何があったのかは俺もわからないし、あいつから教えてもらったことを元に考えた結果、劉の父親は拓輝なんだろ?しかもあんたが全部計画してたことだ」
俺は自分が考えて導きだした答えを口にする。
「だから大ちゃんは嫌いだよ」
ハァッて大きな溜め息をつき神田がいう。
「えっ?ぇぇ!!」
それを聞き聖は驚いた。
「ホントにさぁ頭がいいのは嫌われるよ。でも、僕はそんな大ちゃんに助けられてきたんだよね」
諦めたようにいう。
「劉は先輩との間に出来た子だよ。大ちゃんのいう通り、僕が計画して作った子。あの時は先輩が好きすぎて、相手してもらえなくて、なら子供だけでもって…自棄になってたんだよね。でも、僕は後悔してないよ。劉は僕の大切な子供だからね」
小さく笑う顔は父として、母としての顔。
「ボロボロで戻ってきた理由を聞いてもいいか?」
そこだけは確認したかった。
「あー、それ聞いちゃう?あれね、実はあの時は意味なくケンカを吹っ掛けられててイライラしながら相手してただけであって、先輩に相手されないからってそこら辺の男に相手してもらってボロボロにされたってわけじゃないんだよ。本当にケンカしてただけで、あの姿のまま先輩の前に行くつもりもなかったんだ」
バツが悪そうな顔で教えてくれる。
「あんた、それあいつにちゃんと説明してねぇだろ?だからあいつ聖に当たりが強かったんだぞ。あんたが自棄起こして自分の身体を大切にしなかったってあいつ思って、自分がちゃんと向き合わなかったからだって責任感じてたんだ。だから聖が初めて発情してから自棄を起こしてるときに、あんたみたいにさせたくなくて必要以上に聖を怒ってたんだからな。あんたのせいだぞ!」
だからこれだけは言っておく。
「あちゃぁ~。ごめんねぇゆいちゃん。僕のせいだったんだねぇ先輩がゆいちゃんにキツかったの。今度ちゃんと先輩には言っとく」
顔の前で手を合わせて聖に謝る。
「いや、先生の話を聞いたらなんでキツかったのかわかったんで大丈夫ですよ」
聖はヘラって笑う。
「それよりさ煌太さん、いい加減にちゃんと拓輝兄に告白した方がいいと思うけどな。劉がひろくんがパパなら僕もっと嬉しいのにぃっていってたぞ」
本当はもっと違うことも言ってたが、そこは劉本人じゃないから黙っておく。
「えっ、えぇぇぇ!!あの子そんなこと言ってたの?うわぁ、もしかしてバレてる?」
神田が驚きながらも聞いてくるので
「薄々な。あいつも薄々、自分の子じゃないかって思いながら可愛がってるしな」
爆弾だけは落としておこう。
「うわぁぁ、先輩も気付いてるのぉ!あっ、そうか大ちゃんにそっくりだもんね、気付くよね…」
一人で百面相を始める。
「俺はあいつには何も言ってない。あいつが勝手に導いて気が付いてだけだし。後は二人が話し合うことだし」
あいつと話はしたけど、このことに関しては何も言ってない。言ってはないが自分の子じゃないかというのはあいつ自身が気が付いてる。
そう、それほどまでに子供の頃の俺と劉は似てるのだ。色が違うだけで、俺の子だと言っても疑われないぐらいにそっくりなのだ。
「でも…大ちゃんはいいの?」
急にそんなことを聞いてくる。
「なにが?」
何のことを聞いてるのかが知りたくて聞き返した。
「その…僕が先輩に…その…」
言いにくそうに話す。
「俺は構わないけど?従兄が結婚して本当の家族と幸せになるなら嬉しいことだろ?なんだかんだ言ったって俺は拓輝兄も煌太さんも気に入ってんだし、将来的に俺にもゆいという家族が増えるわけだしいいんじゃないのか?なぁ唯斗」
傍で大人しく会話を聞いてる聖に話を振れば
「えっ?あっ、うん。大我がいいなら俺はそれでいいよ。でもなんか変な気分かも…。先生たちが親戚なのって…」
驚いて、でもハッキリという。
「あー、そっかぁ。親戚になるんだねぇ。よろしくねゆいちゃん。大ちゃんがおいたしたらいいに来るんだよ」
「誰がおいたすんだよ。ったくこれだから調子に乗せるとふざけるんだからあんたは」
「先生も大我も楽しそう。なんか羨ましぃ」
俺と神田のやり取りを見て聖が言う。
「だ~い丈夫。今度からゆいちゃんも一緒だからねぇ。僕たちの新しい家族だもんねぇ」
そんな聖を神田が抱きしめる。俺はそんな聖の頭を撫でてやった。
「なんか…恥ずかしいなぁ…」
なんて文句を言うがその顔は嬉しそうだ。
聖は聖の事情があり親の愛情を知らない。だから、他人にはあまり興味を示さない。そんな聖が深く関わりを持ったのが俺と神田とあいつだった。
だから、俺は聖が自棄を起こした時、ずっと傍にいたし、一緒にいて甘やかしてきたんだ。
「二人ともありがとう。ちゃんと話を聞けてスッキリした。大ちゃん、もう少ししたら僕はちゃんと彼に話すよ。だって、やっぱり僕は拓輝さんが好きだから」
神田が少しだけ照れて笑う。
「頑張れよ。まぁあいつに襲われないように気をつけろよ」
ニヤリと笑って答えれば
「バ、バカ」
真っ赤になった。
「じゃぁ、お邪魔しました。聖、行くぞ」
俺は聖を連れて神田の部屋を出た。
聖がそっと俺の制服の裾を掴むから
「手はここ」
そう言って差し出せば少しだけ泣きそうな顔で握り返してきた。
部屋に帰ったら気が済むまで聖を甘やかそう。今の聖は俺の愛に飢えてるからな…。
握りしめる手に少しだけ力を込めて部屋に戻るために歩き出した。
あの2人はきっとうまくいくから心配はしない。
だって両想いなんだからな。
Fin
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