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ごちゃ混ぜ作品集
月の影
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「っ、ぁ、ん、ぁっ」
俺の上で腰を振るこいつの腰を掴み下から突き上げればカリカリと腹に爪を立てる。
恋人でもない、セフレでもない、それなのにこの男はふらっと来ては抱かれていく。
何のためにこんなことを繰り返してるのかさえもわからねぇ。
「んっ、ぁ、やぁ、ぁぁ、っ、ぁ」
時折見せる悲しげな瞳は何を意味するのか?
「んっ、ぁ、やぁ、もぉ、ぁぁ」
小さく首を振り訴えてくる。
「イケ、俺もイク」
こいつの腰を掴み、いかせるため、自分がいくために何度か下から突き上げれば
「ぁっ、ぁぁ、やぁ、ぁぁぁ」
何度も首を振り、腹に爪を立てていった。俺もこいつの中に吐き出した。
「…ごめん…」
そんな呟きと共に泡となって消えた。
「はっ?英田!」
あまりにも突然で意味が分からなかったが、英田翠姫の姿は泡となって消えて、どこにもなかった。
勿論、部屋中探したし、英田の部屋にも行ったが姿はなかった。
「なんだよこれ…」
ベッドの下にあるはずの英田の服もなく、本当にどこにもいなくなっていた。
結局その日、英田を見つけることはなかった。
翌朝、学校へ行けばそこに英田の姿があった。
あれは一体何だったのか?
あいつの様子を窺いながら授業を受けていたが、微かな違和感を感じる。何かが違う。
「碧紀、さっきからずっと翠姫を見てるけど何かあったのか?」
英田の幼馴染である駿平が声をかけてきた。
「ん?いや、なんかいつもの英田じゃねぇ気がしてよぉ」
英田を見たまま答えればゆらりと英田が揺らめいた気がした。
「碧紀の思い違いじゃないか?」
駿平は気のせいだと告げてくる。
「そうか?まぁ、いい」
俺は気にしつつも曖昧に答えて会話を終えた。
妙に何かが引っかかる。何と聞かれればそれはわからないが、何かが違う。俺は本能的にそう思っていた。
そんな不思議なというか奇妙な日常を疑問に思いながらも過ごしていた。
ただ、違ったことは英田が俺と接触を一度もしなかったということ。役職もち同士でなにかと顔を合わせる機会は多いはずだが、全然あいつに会うことはなかった。
ふと部屋の窓から外を見れば月が輝いていた。
紅い満月。
妙な胸騒ぎ。今行かなければいけない。そんな衝動にかられ俺は部屋を飛び出していた。
そんな衝動のまま俺が行きついたのは温室。英田がよく利用していた温室。役員じゃないとは入れない場所。
俺は躊躇うことなく鍵を開けて中に入った。
中に入れば花の香りが広がる。
奥へと進むにつれて花の香りが強くなる。
部屋の中央。月の光が照らし出すその場所にいたのは英田だった。ゆらりと揺らめく影。
消える!
咄嗟にそう思った。
俺は急いで英田の腕を掴み抱き締めた。
「消えるな!」
強い力で俺は英田の身体を抱きしめ消えるなと告げる。
「…ありがとう…」
そんな言葉と共に腕の中に抱きしめた存在は泡となって消えた。
「んでだ…なんで消える…」
自分の両手を見ながら呟けば静寂の中、何かに呼ばれた気がした。
呼ばれたその方向へとゆっくりと進んでいけばきらりと月が輝く。
紅い満月の光に照らされて横たわっているのは今、自分の腕の中から消えた英田翠姫だった。
俺は急いで駆け寄りその身体を抱き起せば眠っているだけだった。
「…っ…よかった…」
そんな言葉と共に俺はその身体を抱きしめた。
「…んっ…」
小さな声が聞こえ身体を離し顔を覗き込めば
「…っ…ここは?…」
自分がどこにいるのかわからないのか聞いてきた。
「お前さんがよく利用してる温室だ」
場所を教えれば
「温室…そっか…」
納得して呟く。俺はそんな英田を抱きしめ
「消えるな…俺の前から…いなくなるな」
まるで悲願のように呟いた。
「…ぅん…」
俺の呟きに英田が小さく頷く。
「立てるか?」
英田の身体を離し聞いてみるが
「あー、無理っぽい。足に力が入らねぇ」
苦笑を浮かべる。
「わかった、じゃぁ暴れるなよ」
俺は英田の身体を抱き上げた。そして自分の部屋に連れて帰った。
「理由は聞かねぇの?」
自分の部屋に連れ込んだ後で英田が聞いてくる。俺は少し考え
「聞かねぇ。こうやってお前が戻ってきたならそれでいい」
答えた。
「そっか…」
小さな呟き。
「あの月がお前をくれたからな」
窓の外に見える月を指させば、驚いた顔をしたが少しだけ泣き笑いの顔を見せた。
俺はそんな英田をそっと腕の中に抱きしめた。
ゆらりと月の影が揺れた。
月が見てる中、俺たちはそっとキスを交わした。
Fin
俺の上で腰を振るこいつの腰を掴み下から突き上げればカリカリと腹に爪を立てる。
恋人でもない、セフレでもない、それなのにこの男はふらっと来ては抱かれていく。
何のためにこんなことを繰り返してるのかさえもわからねぇ。
「んっ、ぁ、やぁ、ぁぁ、っ、ぁ」
時折見せる悲しげな瞳は何を意味するのか?
「んっ、ぁ、やぁ、もぉ、ぁぁ」
小さく首を振り訴えてくる。
「イケ、俺もイク」
こいつの腰を掴み、いかせるため、自分がいくために何度か下から突き上げれば
「ぁっ、ぁぁ、やぁ、ぁぁぁ」
何度も首を振り、腹に爪を立てていった。俺もこいつの中に吐き出した。
「…ごめん…」
そんな呟きと共に泡となって消えた。
「はっ?英田!」
あまりにも突然で意味が分からなかったが、英田翠姫の姿は泡となって消えて、どこにもなかった。
勿論、部屋中探したし、英田の部屋にも行ったが姿はなかった。
「なんだよこれ…」
ベッドの下にあるはずの英田の服もなく、本当にどこにもいなくなっていた。
結局その日、英田を見つけることはなかった。
翌朝、学校へ行けばそこに英田の姿があった。
あれは一体何だったのか?
あいつの様子を窺いながら授業を受けていたが、微かな違和感を感じる。何かが違う。
「碧紀、さっきからずっと翠姫を見てるけど何かあったのか?」
英田の幼馴染である駿平が声をかけてきた。
「ん?いや、なんかいつもの英田じゃねぇ気がしてよぉ」
英田を見たまま答えればゆらりと英田が揺らめいた気がした。
「碧紀の思い違いじゃないか?」
駿平は気のせいだと告げてくる。
「そうか?まぁ、いい」
俺は気にしつつも曖昧に答えて会話を終えた。
妙に何かが引っかかる。何と聞かれればそれはわからないが、何かが違う。俺は本能的にそう思っていた。
そんな不思議なというか奇妙な日常を疑問に思いながらも過ごしていた。
ただ、違ったことは英田が俺と接触を一度もしなかったということ。役職もち同士でなにかと顔を合わせる機会は多いはずだが、全然あいつに会うことはなかった。
ふと部屋の窓から外を見れば月が輝いていた。
紅い満月。
妙な胸騒ぎ。今行かなければいけない。そんな衝動にかられ俺は部屋を飛び出していた。
そんな衝動のまま俺が行きついたのは温室。英田がよく利用していた温室。役員じゃないとは入れない場所。
俺は躊躇うことなく鍵を開けて中に入った。
中に入れば花の香りが広がる。
奥へと進むにつれて花の香りが強くなる。
部屋の中央。月の光が照らし出すその場所にいたのは英田だった。ゆらりと揺らめく影。
消える!
咄嗟にそう思った。
俺は急いで英田の腕を掴み抱き締めた。
「消えるな!」
強い力で俺は英田の身体を抱きしめ消えるなと告げる。
「…ありがとう…」
そんな言葉と共に腕の中に抱きしめた存在は泡となって消えた。
「んでだ…なんで消える…」
自分の両手を見ながら呟けば静寂の中、何かに呼ばれた気がした。
呼ばれたその方向へとゆっくりと進んでいけばきらりと月が輝く。
紅い満月の光に照らされて横たわっているのは今、自分の腕の中から消えた英田翠姫だった。
俺は急いで駆け寄りその身体を抱き起せば眠っているだけだった。
「…っ…よかった…」
そんな言葉と共に俺はその身体を抱きしめた。
「…んっ…」
小さな声が聞こえ身体を離し顔を覗き込めば
「…っ…ここは?…」
自分がどこにいるのかわからないのか聞いてきた。
「お前さんがよく利用してる温室だ」
場所を教えれば
「温室…そっか…」
納得して呟く。俺はそんな英田を抱きしめ
「消えるな…俺の前から…いなくなるな」
まるで悲願のように呟いた。
「…ぅん…」
俺の呟きに英田が小さく頷く。
「立てるか?」
英田の身体を離し聞いてみるが
「あー、無理っぽい。足に力が入らねぇ」
苦笑を浮かべる。
「わかった、じゃぁ暴れるなよ」
俺は英田の身体を抱き上げた。そして自分の部屋に連れて帰った。
「理由は聞かねぇの?」
自分の部屋に連れ込んだ後で英田が聞いてくる。俺は少し考え
「聞かねぇ。こうやってお前が戻ってきたならそれでいい」
答えた。
「そっか…」
小さな呟き。
「あの月がお前をくれたからな」
窓の外に見える月を指させば、驚いた顔をしたが少しだけ泣き笑いの顔を見せた。
俺はそんな英田をそっと腕の中に抱きしめた。
ゆらりと月の影が揺れた。
月が見てる中、俺たちはそっとキスを交わした。
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