49 / 66
49話
しおりを挟む
トクリ、トクリと規則正しい心音を聞きながらふわふわと意識が戻って来て目を開ければ真っ白い世界だった。
ここどこだろう?
なんて真剣に思った。でも、傍にある温もりは俺の大好きな温もりで、大我に抱きしめられてるんだって気が付いた。気が付いて何度か瞬きをして顔をあげれば俺を抱きしめたまま本を読んでいるメガネ姿の大我の顔があった。
「へっ?なんで?」
意味がわからな過ぎて自分でもわからない。だってさっきシャワー浴びて、頭を拭いてもらってたはずで…。なのになぜ俺は今この状態なんだろうか?
「心臓が痛いって騒いでそのまま寝ちゃったんだよ唯斗は」
俺を見ないで言葉だけが飛んでくる。それはさっきの出来事が原因なんだろう。俺が大我に対しての免疫が低下しているのが原因。そんな状態で、メガネ姿の大我を真正面から見ようものなら確実に俺は死ぬ。心臓が飛び出て、破裂して死ぬ。それぐらい、今の俺はカッコいい大我の顔が見れないのだ。見たいのに!発情が落ち着いてる俺には無理なのだ。発情が始まっちゃえば甘えまくって飛んじゃってるから平気なんだ。大我しか欲しないから…。
だけど、そうじゃないときの俺にはムリ。
「大我を休ませたいのに、俺が休んでたら意味ないじゃん」
色々と考えて、ハタと気が付いた。大我を休ませるために一緒にいるのに大我じゃなくて自分が休んでたらダメじゃんか俺!
「こうやって俺も一緒に休んでるから大丈夫だって。唯斗が寝てるから俺も横になって本読んで休んでるんだし、そこまで神経質になる必要はないって」
大我を見上げた俺と俺を見下ろした大我の目がばっちりとあった。その瞬間ダメだった。
「っ、ホントに急だなぁゆいは」
小さくい笑う大我の頬に手をよせ俺は
「んっ、だって、大我、かっこいい、から、はぁ、キス、して」
キスをせがむ。治まっていた発情がメガネ姿の大我によって引き起こされた。
「キスだけ?」
なんて言いながら引き寄せられる身体。
「んん、キス、以外の、ことも、して?」
小さく首を振りキス以上のこともしたいと訴える。
「仰せのままに」
その言葉と共に大我によって唇が塞がれた。…
「…んっ…」
カーテンから差し込む光の眩しさに目が覚めた。
「もう少し寝てていいぞ」
そんな優しい言葉に
「んっ、ありがと」
そう返事をして俺はまた暗闇の中に意識を沈めていった。
「ホント…よく寝てるね、この子」
「どっちがぶっ倒れたかわからないぐらいにな」
「ははは」
そんな会話が聞こえて闇の中に沈んでいた意識がフワフワと浮上してくる。
「でも、大ちゃんが原因だからねぇ」
「確かにな。本人も気が付かないほど睡眠の質が悪かったんだろう」
「多分、こいつは言わないだけでいつもの夢を見てたはずだから寝れてないと思う」
そんな言葉と共に優しく撫でられる頭。そこで完全に目が覚めた。
「なんでぇ?大我じゃなくて、俺が寝てんのぉ?」
起きて早々にこの言葉っていうのもなんだけど、ホントになんでい俺のが寝てんの!
「だって、大ちゃんを休ませるのは当たり前だけどゆいちゃんも休ませるのが目的だったからね」
「大我は休まなきゃダメだったが、ゆいもちゃんと休まないと倒れる寸前だったからな」
「本人が気付いてないだけで、限界来てたからなゆいも」
3人の言葉に意味が分からなくてポカーンってしてたら
「ダメだこれは…本当に気付いてないよこの子」
「ここまで自分に無頓着だったとは…」
「そこが唯斗のいいところでもあるんだけど…少し心配な部分でもある」
3人は呆れ顔をした。
「ゆいちゃん、ゆいちゃんはね、この部屋に来た時ね、ものすごく顔色が悪くなってたんだよ。病人のようにね」
「えっ?嘘」
コウちゃんの言葉に俺はマジで驚いた。
「だから、大我だけじゃなくて、ゆいも休ませる必要があったんだ。まぁ、大我の場合は自業自得だけどな」
ヒロさんの言葉にまたしてもポカーンってしちゃった。
「俺の場合は自業自得だからいんだけど。ゆいには我慢も無理もさせたからなぁホントにごめんな」
大我の手がそっと頭を撫でていく。
「…っ…なんで、なんで俺より俺のことわかってんだよぉ…自分だって、風紀の仕事でクソ忙しかったくせにぃ…」
もうダメだった。大丈夫だって思ってたのに、1ヶ月半まともに傍にいなくて、ずっと悪夢に魘されてて、まともに寝れなくなってた。それを誰にも気づかれないようにしてたのに、なんでこの男はそれをすぐに見破るんだろう。なんで、俺のことをこんなにもわかってるんだろう。寂しい。寂しかった、不安だったし、怖かった、その感情がボロボロとバカみたいに涙を流させる。神谷と永尾ことが自分の身にも起こるんじゃないかって不安だった。もしかしたら大我にとって俺は邪魔な存在じゃないのかって考えたこともあった。だから余計に怖かったし、不安だった。傍にいられない時間が寂しかった。それをうまく自分の中に隠してたつもりだったんだ。
「そりゃお前、俺の嫁はお前しかいないんだから傍にいなくても様子は見てるし、気にしてるに決まってるだろ。俺が無茶したのは全部、唯斗のためなんだから…」
そういいながらそっと抱き締めてくれる温もりはこの1ヶ月半ずっと追い求めていた温もりだった。
俺がずっと傍にいたかった温もり。傍にいてほしかった温もりだった…
ここどこだろう?
なんて真剣に思った。でも、傍にある温もりは俺の大好きな温もりで、大我に抱きしめられてるんだって気が付いた。気が付いて何度か瞬きをして顔をあげれば俺を抱きしめたまま本を読んでいるメガネ姿の大我の顔があった。
「へっ?なんで?」
意味がわからな過ぎて自分でもわからない。だってさっきシャワー浴びて、頭を拭いてもらってたはずで…。なのになぜ俺は今この状態なんだろうか?
「心臓が痛いって騒いでそのまま寝ちゃったんだよ唯斗は」
俺を見ないで言葉だけが飛んでくる。それはさっきの出来事が原因なんだろう。俺が大我に対しての免疫が低下しているのが原因。そんな状態で、メガネ姿の大我を真正面から見ようものなら確実に俺は死ぬ。心臓が飛び出て、破裂して死ぬ。それぐらい、今の俺はカッコいい大我の顔が見れないのだ。見たいのに!発情が落ち着いてる俺には無理なのだ。発情が始まっちゃえば甘えまくって飛んじゃってるから平気なんだ。大我しか欲しないから…。
だけど、そうじゃないときの俺にはムリ。
「大我を休ませたいのに、俺が休んでたら意味ないじゃん」
色々と考えて、ハタと気が付いた。大我を休ませるために一緒にいるのに大我じゃなくて自分が休んでたらダメじゃんか俺!
「こうやって俺も一緒に休んでるから大丈夫だって。唯斗が寝てるから俺も横になって本読んで休んでるんだし、そこまで神経質になる必要はないって」
大我を見上げた俺と俺を見下ろした大我の目がばっちりとあった。その瞬間ダメだった。
「っ、ホントに急だなぁゆいは」
小さくい笑う大我の頬に手をよせ俺は
「んっ、だって、大我、かっこいい、から、はぁ、キス、して」
キスをせがむ。治まっていた発情がメガネ姿の大我によって引き起こされた。
「キスだけ?」
なんて言いながら引き寄せられる身体。
「んん、キス、以外の、ことも、して?」
小さく首を振りキス以上のこともしたいと訴える。
「仰せのままに」
その言葉と共に大我によって唇が塞がれた。…
「…んっ…」
カーテンから差し込む光の眩しさに目が覚めた。
「もう少し寝てていいぞ」
そんな優しい言葉に
「んっ、ありがと」
そう返事をして俺はまた暗闇の中に意識を沈めていった。
「ホント…よく寝てるね、この子」
「どっちがぶっ倒れたかわからないぐらいにな」
「ははは」
そんな会話が聞こえて闇の中に沈んでいた意識がフワフワと浮上してくる。
「でも、大ちゃんが原因だからねぇ」
「確かにな。本人も気が付かないほど睡眠の質が悪かったんだろう」
「多分、こいつは言わないだけでいつもの夢を見てたはずだから寝れてないと思う」
そんな言葉と共に優しく撫でられる頭。そこで完全に目が覚めた。
「なんでぇ?大我じゃなくて、俺が寝てんのぉ?」
起きて早々にこの言葉っていうのもなんだけど、ホントになんでい俺のが寝てんの!
「だって、大ちゃんを休ませるのは当たり前だけどゆいちゃんも休ませるのが目的だったからね」
「大我は休まなきゃダメだったが、ゆいもちゃんと休まないと倒れる寸前だったからな」
「本人が気付いてないだけで、限界来てたからなゆいも」
3人の言葉に意味が分からなくてポカーンってしてたら
「ダメだこれは…本当に気付いてないよこの子」
「ここまで自分に無頓着だったとは…」
「そこが唯斗のいいところでもあるんだけど…少し心配な部分でもある」
3人は呆れ顔をした。
「ゆいちゃん、ゆいちゃんはね、この部屋に来た時ね、ものすごく顔色が悪くなってたんだよ。病人のようにね」
「えっ?嘘」
コウちゃんの言葉に俺はマジで驚いた。
「だから、大我だけじゃなくて、ゆいも休ませる必要があったんだ。まぁ、大我の場合は自業自得だけどな」
ヒロさんの言葉にまたしてもポカーンってしちゃった。
「俺の場合は自業自得だからいんだけど。ゆいには我慢も無理もさせたからなぁホントにごめんな」
大我の手がそっと頭を撫でていく。
「…っ…なんで、なんで俺より俺のことわかってんだよぉ…自分だって、風紀の仕事でクソ忙しかったくせにぃ…」
もうダメだった。大丈夫だって思ってたのに、1ヶ月半まともに傍にいなくて、ずっと悪夢に魘されてて、まともに寝れなくなってた。それを誰にも気づかれないようにしてたのに、なんでこの男はそれをすぐに見破るんだろう。なんで、俺のことをこんなにもわかってるんだろう。寂しい。寂しかった、不安だったし、怖かった、その感情がボロボロとバカみたいに涙を流させる。神谷と永尾ことが自分の身にも起こるんじゃないかって不安だった。もしかしたら大我にとって俺は邪魔な存在じゃないのかって考えたこともあった。だから余計に怖かったし、不安だった。傍にいられない時間が寂しかった。それをうまく自分の中に隠してたつもりだったんだ。
「そりゃお前、俺の嫁はお前しかいないんだから傍にいなくても様子は見てるし、気にしてるに決まってるだろ。俺が無茶したのは全部、唯斗のためなんだから…」
そういいながらそっと抱き締めてくれる温もりはこの1ヶ月半ずっと追い求めていた温もりだった。
俺がずっと傍にいたかった温もり。傍にいてほしかった温もりだった…
20
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる