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41話
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「大丈夫だ。俺は絶対に唯斗を置いてったりしないから。それにこんな無茶はもうしないし、する必要もないからな」
大我は小さく笑いながら頭を撫でる。
「どういう意味で?」
無茶する必要がないってどういう意味でだろうか?
「間宮が挨拶しに行っただろ?風紀委員長の椅子は本当にあいつに渡したんだ。だから俺はただの平委員だぞ」
平然と言ってくる言葉に
「あれってマジだったのか!引継ぎしてたのは知ってるけど、本当に満期前に委員長辞める気だったのか!」
俺はマジで驚いた。本気でこの男は満期が来る前に辞める気だったんだと…。
「あぁ、冗談でこんなことはしねぇよ。それに、第2の性のシステムは俺がいなくてもちゃんと機能できるようにしたしな。神谷や三条の協力のおかげで、何の問題もなく後輩たちに任せることができる。って、ことで俺はのんびり隠居生活をするんだ」
大我から隠居生活って言葉が出てきて笑えてしまう。
「それ絶対ムリなやつ。大我が満期前に隠居ってムリだから。風紀のやつらは許すだろうけど、他のヤツらは許さないやつだよそれ」
そう、神尾大我が満期前に退任なんて話が公になったら風紀委員たちは納得できても、他の委員たちは納得しないだろうなって思う。それはもちろん、俺たち生徒会も例外ではない。
「えーっ、俺的には隠居したいんですけど。ダメなのか?」
不満気に言ってくる大我にも笑えてしまう。
「ダーメ。俺も許可しない。表立って動かないにしても委員長は満期までやってもらわないと。それが俺を生徒会長にした大我の責任だろ?」
こんな言い方をするのは卑怯かもしれないけど、神谷が言ったように大我が俺を生徒会長になるように仕向けたのなら、俺が会長の椅子を降りるまで大我が風紀委員長の椅子に座ってるのは義務でもあるし、責任でもあるって思ったんだ。
だから満期までやらないっていうのは俺的には納得がいかないし認めたくない。
「さすがにそれを言われると耳が痛い。まぁ、本当にゆいを生徒会長にするように仕向けたのは俺だしなぁ…じゃぁ、唯斗も満期前に隠居しよう」
なんていつもの大我らしからぬ言葉に驚くけど
「ダメだろ!というか大我、本当はちゃんと退任してないんじゃないのか?」
俺はふと思った。
神谷の件の前に1つ生徒会に相談してきた案件があったのを…。それは卒業式後に行いたいことがあるって言ってたような気がする。
「なんだかなぁ。なんでそういうことはちゃんと覚えてるんだよお前。普段、興味ないことはすぐ忘れてるくせに…」
俺の言葉に大我が文句を言うが
「それはホラ、生徒会の仕事だったからだし、俺個人の事だったら完全に忘れてる」
俺はそう反論した。
会長としての仕事の話だったから覚えてただけで、自分の関係ない事だったら間違いなく俺は忘れていた。
「そういうところはゆいには叶わないなぁ。本気で隠居出来たらしてる。できないからこうやって倒れるまで無茶したんだし…。で?唯斗はどれから聞きたかったんだ?」
大我は溜め息交じりに聞いてくる。
この1ヶ月半の間で俺の知らないことがたくさんあった。勿論、俺自身のことも含めて。大我は落ち着いたら話してくれると約束してくれていた。
今、聞けばそれを教えてくれると言ってくれてるが
「イヤ、本当に色々とありすぎてまとまってません」
本当に色々あったのと大我がぶっ倒れたせいで全部、頭の中からキレイに消し飛んでしまったのだ。折角これは聞こうと決めていたものがあったのに…。
「あー、ごめんな。それ俺のせいだな。俺が倒れたせいで、余計にわかんなくなったんだろ?」
苦笑を浮かべながら言われた言葉に俺は素直に頷いた。
だって本当のことだもん。
「神谷に聞いたあの話で納得できてるなら俺はそれでいいんだ。話を聞いて余計に悩む必要もないしな」
大我は苦笑を浮かべ言ってくる。
「えっと、納得はできてない…けど、どう聞いていいのかがわからない。だから神谷がいってたことを大我自身が教えてくれよ」
俺は少しだけ考えて答えた。
「わかった、じゃぁ、風紀の内部崩壊のことから話すか?」
大我の言葉に小さく頷いた。
俺の知らなかったことを大我自身から聞きたかったんだ。
あの時は本当に俺は自分のことで一杯だったから…
今更って言われるかもしれないけど
それでも知りたかったんだ…。
大我は小さく笑いながら頭を撫でる。
「どういう意味で?」
無茶する必要がないってどういう意味でだろうか?
「間宮が挨拶しに行っただろ?風紀委員長の椅子は本当にあいつに渡したんだ。だから俺はただの平委員だぞ」
平然と言ってくる言葉に
「あれってマジだったのか!引継ぎしてたのは知ってるけど、本当に満期前に委員長辞める気だったのか!」
俺はマジで驚いた。本気でこの男は満期が来る前に辞める気だったんだと…。
「あぁ、冗談でこんなことはしねぇよ。それに、第2の性のシステムは俺がいなくてもちゃんと機能できるようにしたしな。神谷や三条の協力のおかげで、何の問題もなく後輩たちに任せることができる。って、ことで俺はのんびり隠居生活をするんだ」
大我から隠居生活って言葉が出てきて笑えてしまう。
「それ絶対ムリなやつ。大我が満期前に隠居ってムリだから。風紀のやつらは許すだろうけど、他のヤツらは許さないやつだよそれ」
そう、神尾大我が満期前に退任なんて話が公になったら風紀委員たちは納得できても、他の委員たちは納得しないだろうなって思う。それはもちろん、俺たち生徒会も例外ではない。
「えーっ、俺的には隠居したいんですけど。ダメなのか?」
不満気に言ってくる大我にも笑えてしまう。
「ダーメ。俺も許可しない。表立って動かないにしても委員長は満期までやってもらわないと。それが俺を生徒会長にした大我の責任だろ?」
こんな言い方をするのは卑怯かもしれないけど、神谷が言ったように大我が俺を生徒会長になるように仕向けたのなら、俺が会長の椅子を降りるまで大我が風紀委員長の椅子に座ってるのは義務でもあるし、責任でもあるって思ったんだ。
だから満期までやらないっていうのは俺的には納得がいかないし認めたくない。
「さすがにそれを言われると耳が痛い。まぁ、本当にゆいを生徒会長にするように仕向けたのは俺だしなぁ…じゃぁ、唯斗も満期前に隠居しよう」
なんていつもの大我らしからぬ言葉に驚くけど
「ダメだろ!というか大我、本当はちゃんと退任してないんじゃないのか?」
俺はふと思った。
神谷の件の前に1つ生徒会に相談してきた案件があったのを…。それは卒業式後に行いたいことがあるって言ってたような気がする。
「なんだかなぁ。なんでそういうことはちゃんと覚えてるんだよお前。普段、興味ないことはすぐ忘れてるくせに…」
俺の言葉に大我が文句を言うが
「それはホラ、生徒会の仕事だったからだし、俺個人の事だったら完全に忘れてる」
俺はそう反論した。
会長としての仕事の話だったから覚えてただけで、自分の関係ない事だったら間違いなく俺は忘れていた。
「そういうところはゆいには叶わないなぁ。本気で隠居出来たらしてる。できないからこうやって倒れるまで無茶したんだし…。で?唯斗はどれから聞きたかったんだ?」
大我は溜め息交じりに聞いてくる。
この1ヶ月半の間で俺の知らないことがたくさんあった。勿論、俺自身のことも含めて。大我は落ち着いたら話してくれると約束してくれていた。
今、聞けばそれを教えてくれると言ってくれてるが
「イヤ、本当に色々とありすぎてまとまってません」
本当に色々あったのと大我がぶっ倒れたせいで全部、頭の中からキレイに消し飛んでしまったのだ。折角これは聞こうと決めていたものがあったのに…。
「あー、ごめんな。それ俺のせいだな。俺が倒れたせいで、余計にわかんなくなったんだろ?」
苦笑を浮かべながら言われた言葉に俺は素直に頷いた。
だって本当のことだもん。
「神谷に聞いたあの話で納得できてるなら俺はそれでいいんだ。話を聞いて余計に悩む必要もないしな」
大我は苦笑を浮かべ言ってくる。
「えっと、納得はできてない…けど、どう聞いていいのかがわからない。だから神谷がいってたことを大我自身が教えてくれよ」
俺は少しだけ考えて答えた。
「わかった、じゃぁ、風紀の内部崩壊のことから話すか?」
大我の言葉に小さく頷いた。
俺の知らなかったことを大我自身から聞きたかったんだ。
あの時は本当に俺は自分のことで一杯だったから…
今更って言われるかもしれないけど
それでも知りたかったんだ…。
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