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31話
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Side 大我
神谷への接近禁止令が明日に解除され、それと同時に永尾自身の謹慎も明日にとけるという時になって意外な人物から連絡がきた。
そう、それは永尾自身からの連絡だった。
「悪いな、遅くなって」
永尾がいる謹慎部屋へ顔を出せば
「いいえ、大丈夫です。無理を言ったのは僕ですから」
いつもの顔をした永尾が出迎えてくれた。
「で、話というのは何だ?」
部屋の中に入って永尾と向き合えば
「神尾委員長、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げられた。
「いきなりどうした」
そう、あまりにも行き成りすぎて俺もわかってなかった。
「いえ、この場所に閉じ込められて、一人で考えて思ったんです。僕は委員長や会長の言葉、顧問たちの言葉に耳を傾けてなかったんだって。神谷くんが何を伝えたかったのかって…」
静かに話し出す永尾はいつもの永尾だ。バカじゃない方の永尾な。冷静なときはちゃんと考えることができる男だ。
「それで、わざわざ俺を呼び出してどうした?」
こいつのことだからきっと何か言いたいことがあるんだろう。
「はい、委員長は神谷くんのことを僕には絶対に言わないとわかってます。ですが、聞いてほしんです。彼が拒んだと言いましたよね?」
その言葉に小さく頷けば
「僕の愚かな行動、それは僕がたった一度だけ神谷くんに行った愚かな行動。彼は…僕の子を身ごもってるんでしょう?それを言いたくても言えないかった。それは僕に理由があるから…。それをあなたはずっと僕に伝えたかったんですよね?だからずっと頭を冷やして考えろと言ってたんでしょう?」
少しだけ苦しげな顔をして告げてくる言葉。冷静になればこんなにも頭が働くのだ、この男は。
「それに気が付いてお前はどうするんだ?」
そう、そこまで考えてどうするつもりなんだと聞けば
「決まってるじゃないですか!僕は神谷くんと一緒にお腹の子を育てます。だって僕の子ですよ?」
永尾はハッキリという。
「なら、実家はどうするつもりだ?」
その問題はどうするんだと聞けば
「そんなの決まってます。たとえ破門になろうとも僕は神谷くんをとります」
それはすべて覚悟を決めた男の顔だった。
「なら、お前にこれをやるよ」
俺は永尾の母親から預かってきた手紙を永尾に渡した。
「これは?」
不思議そうな顔でそれを受け取り聞いてくる。
「お前の母親から預かってきた手紙だ」
俺の言葉に驚いて、その手紙を読み始めた。そして
「あなたって人は…どこまで…あぁ、もう!!!」
頭をガリガリと掻く。
「お前の母親からの伝言があるんだが聞くか?」
もう一つ爆弾があると言えば
「なんですか?」
俺をじとーっと睨みながら聞いてくる。
「早く嫁の顔を見せにこい。だとよ」
そんな永尾に言ってやれば
「あー!!もう!!!やられた!!あのクソばばぁ!!!」
珍しくそう叫んだ。
「まぁ、お前がちゃんと確認しなかったのが悪いんだろうな」
永尾が何に対して怒ってるのかがわかってるので、そう言ってやる。
「もう、本当に!!これ、神谷くんは知ってるんですか?」
溜め息交じりに聞いてくるので
「イヤ、言ってない。それに関しては永尾自身が言うべきことだろうが。じゃないといつまで経っても神谷が永尾には会いたくないっていうかもな」
俺はちょっと意地悪く言ってやる。
「クソ!性格わるぅ。もう一つ、聞いてもいいですか?」
バリバリと頭を掻きながら聞いてくるので
「何をだ?」
何が聞きたいのかを促せば
「僕に神谷くんの接近禁止令を出してる間もしかして本当に会長とは会ってなかったんですか?」
そう聞いてくる。
「それを聞いてどうするんだ?」
今更それを聞いてどうするのか気になった。
「いいから教えてください」
永尾にしては珍しくおしてくるなぁ。
「会ってない。聖も言ってただろう?お前に神谷と会うなって言ってるのに俺がのうのうと会ってたら、お前が何をやらかすかわからねぇからな。学校で、会長と風紀委員長としてでしか会ってない」
だから本当のことを教えてやる。
「すみませんでした!!!」
俺の言葉を聞き永尾が土下座してきた。おいおい。
「本当にお前は極端だな。バカなときはバカだし、冷静なときはスッゴイ冷静だし」
そんな永尾に呆れるしかなかった。
「いえ、だって、あの時の会長のお顔が本当に苦し気だったんで、僕はなんてことをしたんだって思って…。会長にもちゃんと謝りたいです。いえ、小泉くんや絹笠くんにもです」
苦笑を浮かべながら告げてくる。
「そうだな、あいつらにちゃんと謝ってやってくれ。それと、永尾も知る権利があるから言うが、神谷は任期が満了する前に副委員長の椅子から降りることになる。本人の意向もあるし、神谷の体調を考慮しての決定だ。だが、風紀委員としての椅子はまだ残ってるからそこは心配するな」
俺は風紀委員長として、伝えた。
「わかりました。ありがとうございます。委員長の気持ちに感謝します。僕を見捨てずにいてくれたことに感謝しかないです」
永尾が深々と頭を下げる。
「まぁ、風紀委員長としての職務もするが、友人としての心配もするからな俺は」
溜め息交じりに告げれば
「がみおぐ~ん!!」
鼻水垂らしながら抱き着いてきたのにはドン引きした。
「後は、神谷とちゃんと話て、今後どうしていくのかはゆっくり決めていってくれ。まぁ、色々と問題はあるだろうけどな」
抱き着いてる永尾を引き剥がしながら、頭に浮かんだ暴君の顔に苦笑を浮かべた。
もう、永尾は大丈夫だ。
後は2人がゆっくり話し合って決めていけばいいことだから…。
これが全て終わればやっと聖とも向き合えるんだ。
もう少し、もう少しだけ唯斗には我慢してもらう。
神谷への接近禁止令が明日に解除され、それと同時に永尾自身の謹慎も明日にとけるという時になって意外な人物から連絡がきた。
そう、それは永尾自身からの連絡だった。
「悪いな、遅くなって」
永尾がいる謹慎部屋へ顔を出せば
「いいえ、大丈夫です。無理を言ったのは僕ですから」
いつもの顔をした永尾が出迎えてくれた。
「で、話というのは何だ?」
部屋の中に入って永尾と向き合えば
「神尾委員長、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げられた。
「いきなりどうした」
そう、あまりにも行き成りすぎて俺もわかってなかった。
「いえ、この場所に閉じ込められて、一人で考えて思ったんです。僕は委員長や会長の言葉、顧問たちの言葉に耳を傾けてなかったんだって。神谷くんが何を伝えたかったのかって…」
静かに話し出す永尾はいつもの永尾だ。バカじゃない方の永尾な。冷静なときはちゃんと考えることができる男だ。
「それで、わざわざ俺を呼び出してどうした?」
こいつのことだからきっと何か言いたいことがあるんだろう。
「はい、委員長は神谷くんのことを僕には絶対に言わないとわかってます。ですが、聞いてほしんです。彼が拒んだと言いましたよね?」
その言葉に小さく頷けば
「僕の愚かな行動、それは僕がたった一度だけ神谷くんに行った愚かな行動。彼は…僕の子を身ごもってるんでしょう?それを言いたくても言えないかった。それは僕に理由があるから…。それをあなたはずっと僕に伝えたかったんですよね?だからずっと頭を冷やして考えろと言ってたんでしょう?」
少しだけ苦しげな顔をして告げてくる言葉。冷静になればこんなにも頭が働くのだ、この男は。
「それに気が付いてお前はどうするんだ?」
そう、そこまで考えてどうするつもりなんだと聞けば
「決まってるじゃないですか!僕は神谷くんと一緒にお腹の子を育てます。だって僕の子ですよ?」
永尾はハッキリという。
「なら、実家はどうするつもりだ?」
その問題はどうするんだと聞けば
「そんなの決まってます。たとえ破門になろうとも僕は神谷くんをとります」
それはすべて覚悟を決めた男の顔だった。
「なら、お前にこれをやるよ」
俺は永尾の母親から預かってきた手紙を永尾に渡した。
「これは?」
不思議そうな顔でそれを受け取り聞いてくる。
「お前の母親から預かってきた手紙だ」
俺の言葉に驚いて、その手紙を読み始めた。そして
「あなたって人は…どこまで…あぁ、もう!!!」
頭をガリガリと掻く。
「お前の母親からの伝言があるんだが聞くか?」
もう一つ爆弾があると言えば
「なんですか?」
俺をじとーっと睨みながら聞いてくる。
「早く嫁の顔を見せにこい。だとよ」
そんな永尾に言ってやれば
「あー!!もう!!!やられた!!あのクソばばぁ!!!」
珍しくそう叫んだ。
「まぁ、お前がちゃんと確認しなかったのが悪いんだろうな」
永尾が何に対して怒ってるのかがわかってるので、そう言ってやる。
「もう、本当に!!これ、神谷くんは知ってるんですか?」
溜め息交じりに聞いてくるので
「イヤ、言ってない。それに関しては永尾自身が言うべきことだろうが。じゃないといつまで経っても神谷が永尾には会いたくないっていうかもな」
俺はちょっと意地悪く言ってやる。
「クソ!性格わるぅ。もう一つ、聞いてもいいですか?」
バリバリと頭を掻きながら聞いてくるので
「何をだ?」
何が聞きたいのかを促せば
「僕に神谷くんの接近禁止令を出してる間もしかして本当に会長とは会ってなかったんですか?」
そう聞いてくる。
「それを聞いてどうするんだ?」
今更それを聞いてどうするのか気になった。
「いいから教えてください」
永尾にしては珍しくおしてくるなぁ。
「会ってない。聖も言ってただろう?お前に神谷と会うなって言ってるのに俺がのうのうと会ってたら、お前が何をやらかすかわからねぇからな。学校で、会長と風紀委員長としてでしか会ってない」
だから本当のことを教えてやる。
「すみませんでした!!!」
俺の言葉を聞き永尾が土下座してきた。おいおい。
「本当にお前は極端だな。バカなときはバカだし、冷静なときはスッゴイ冷静だし」
そんな永尾に呆れるしかなかった。
「いえ、だって、あの時の会長のお顔が本当に苦し気だったんで、僕はなんてことをしたんだって思って…。会長にもちゃんと謝りたいです。いえ、小泉くんや絹笠くんにもです」
苦笑を浮かべながら告げてくる。
「そうだな、あいつらにちゃんと謝ってやってくれ。それと、永尾も知る権利があるから言うが、神谷は任期が満了する前に副委員長の椅子から降りることになる。本人の意向もあるし、神谷の体調を考慮しての決定だ。だが、風紀委員としての椅子はまだ残ってるからそこは心配するな」
俺は風紀委員長として、伝えた。
「わかりました。ありがとうございます。委員長の気持ちに感謝します。僕を見捨てずにいてくれたことに感謝しかないです」
永尾が深々と頭を下げる。
「まぁ、風紀委員長としての職務もするが、友人としての心配もするからな俺は」
溜め息交じりに告げれば
「がみおぐ~ん!!」
鼻水垂らしながら抱き着いてきたのにはドン引きした。
「後は、神谷とちゃんと話て、今後どうしていくのかはゆっくり決めていってくれ。まぁ、色々と問題はあるだろうけどな」
抱き着いてる永尾を引き剥がしながら、頭に浮かんだ暴君の顔に苦笑を浮かべた。
もう、永尾は大丈夫だ。
後は2人がゆっくり話し合って決めていけばいいことだから…。
これが全て終わればやっと聖とも向き合えるんだ。
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