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24話
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Side 唯斗
今日は朝から永尾がイライラしてるように思えたんだ。教室にいるときも、他のクラスメイトと話してるときも何故かイライラしてるようなそんな感じがした。
そんな永尾の苛立ちが俺たちに降り注ぐなんて、この時の俺は思ってもみなかったんだ。
俺の身に降り注ぐだなんて思ってもみなかったんだ…。
大我との関係に溝ができるなんて思ってもみなかったんだ…。
イライラしたままの永尾の様子を気にしつつも、俺は普通に授業を受けて、放課後に生徒会室へ向かった。
最初の頃はよかったんだ。まだ、一人でイライラしてるみたいだったけど…。
途中から異変が起きた。
「うるさいですね、雑談してないで仕事したらどうですか」
休憩をはさみながら、小泉と絹笠が相談をしてるのが気に入らなかったのか、突然永尾がキレた。
「何を怒ってるんだ永尾?2人は今後のことで相談してるだけなんだぞ?」
その理由を聞こうとしたら
「うるさいからうるさいと言ったまでです」
俺を睨みながら告げてくる言葉はキツイ。
「何をそんなにイライラしてるんだ永尾」
小泉と絹笠に八つ当たりをしてる気がするんだ。
「あなたに何がわかるんですか」
そこからはもう衝動だった。
ずっと、訳がわからないまま、神谷への接近を禁止されていた永尾がキレたのだ。
机の上のモノを投げ散らかし、俺たちを睨み付ける永尾。
俺はヤバいと思い、大我に、風紀委員長であるあの男に電話をした。たったワンコールだけの電話を…。あの男ならそれだけでわかってくれるはずだろうから...。
「会長、兎に角、逃げて」
「早く!」
小泉と絹笠が俺の前に立ち逃げるように言ってくれる。
「だけど、それじゃぁ…」
俺が逃げたらお前たちが。
「いいから早く!」
「会長の方が大事ですから!」
俺が躊躇えば2人に怒鳴られた。
「っ、悪い」
俺は2人に謝って、その場を離れようとした。けど、キレた永尾の方が動きが早かったんだ。
小泉と絹笠が殴られて、その場に倒れた。俺も逃げようと抵抗したけど捕まって、投げ出された場所に押し倒された。
「っ、離せ永尾」
俺の上に馬乗りになってる永尾を睨みながら言えば
「あの人はこんな場面を見たらなんて思うんでしょうね」
なんてニヤリと笑いながら俺のシャツに手を掛けボタンを引きちぎった。
「ヤメロ!こんなことしてなんになる。神谷を裏切るのか」
俺の言葉に永尾が舌打ちをする。
「あなたはいいですよね。堂々と恋人に会えるんですから」
「俺は、会ってない」
永尾の言葉に反射的に答えた。俺は学校の中でしか大我とは会えてないんだ。本当に…。
「何をしている」
いつになく低い声がして見れば、顔に何の表情も乗っていない大我が立っていた。そんな大我の顔は初めて見た。永尾を睨み付ける瞳は紅く光輝いていた。
ゾクリと背筋が凍った。
怖い。こんな大我は初めてで、怖い。
「そこで、恋人が傷付くのを見ててください」
「っ、大我」
永尾と俺の声が重なる。フラ~っと大我が動くと思ったその瞬間
「テメェ何をしてやがる永尾!」
そんな言葉と一緒に永尾が殴られて吹っ飛んだ。
何が起きたのかよくわからない、どういう状況かよくわかってない状況で話がドンドンと進んでいく。
感情的になってる永尾と怖いくらい冷静な大我。対照的な2人のやり取りを俺はまだ倒れたままで聞いていた。
動けなかったんだ。怖くて…。
「三条、聖会長を校医2人の元に連れてきてくれ」
大我のその言葉に俺は呪縛が解けたように身体から力が抜けた。
「会長、大丈夫か?」
俺に声をかけてから手を出してくれた三条。
「あぁ。すまない、助かる」
一言、謝ってから三条の手を借り俺は立ち上がった。三条に支えられ、こうちゃんとヒロさんの元に連れられていく俺を見ることなく大我は永尾を睨んだままだった。
「たい、が」
大我に触れたくて、声をかけて手を伸ばせば
「俺に触るな!」
低い声のまま言われた。
それは目に見えて誰もがわかる大我からの拒絶だった。
俺は大我に触れようとして伸ばした手を下ろし、ギュッと制服を掴み俯いた。
唇を噛み締めて思う。
あぁ、俺は大我に嫌われたんだ
と…。
「ゆいちゃん行こう。ここにいると風紀の邪魔になるからね」
俯いて動けなくなった俺をこうちゃんが優しく撫でて言ってくる。俺は俯いたまま頷いた。
「行こう」
こうちゃんに促されて歩き出して一瞬だけ大我を見たけど、大我は一度も俺の方を見てくれはしなかった。
あぁ、やっぱり俺は嫌われたんだ…
もう、見てもらえないんだ…
俺は唇を噛み締めたまま、こうちゃんとヒロさんに連れられてその場を後にした。
こんなの辛いな。
今日は朝から永尾がイライラしてるように思えたんだ。教室にいるときも、他のクラスメイトと話してるときも何故かイライラしてるようなそんな感じがした。
そんな永尾の苛立ちが俺たちに降り注ぐなんて、この時の俺は思ってもみなかったんだ。
俺の身に降り注ぐだなんて思ってもみなかったんだ…。
大我との関係に溝ができるなんて思ってもみなかったんだ…。
イライラしたままの永尾の様子を気にしつつも、俺は普通に授業を受けて、放課後に生徒会室へ向かった。
最初の頃はよかったんだ。まだ、一人でイライラしてるみたいだったけど…。
途中から異変が起きた。
「うるさいですね、雑談してないで仕事したらどうですか」
休憩をはさみながら、小泉と絹笠が相談をしてるのが気に入らなかったのか、突然永尾がキレた。
「何を怒ってるんだ永尾?2人は今後のことで相談してるだけなんだぞ?」
その理由を聞こうとしたら
「うるさいからうるさいと言ったまでです」
俺を睨みながら告げてくる言葉はキツイ。
「何をそんなにイライラしてるんだ永尾」
小泉と絹笠に八つ当たりをしてる気がするんだ。
「あなたに何がわかるんですか」
そこからはもう衝動だった。
ずっと、訳がわからないまま、神谷への接近を禁止されていた永尾がキレたのだ。
机の上のモノを投げ散らかし、俺たちを睨み付ける永尾。
俺はヤバいと思い、大我に、風紀委員長であるあの男に電話をした。たったワンコールだけの電話を…。あの男ならそれだけでわかってくれるはずだろうから...。
「会長、兎に角、逃げて」
「早く!」
小泉と絹笠が俺の前に立ち逃げるように言ってくれる。
「だけど、それじゃぁ…」
俺が逃げたらお前たちが。
「いいから早く!」
「会長の方が大事ですから!」
俺が躊躇えば2人に怒鳴られた。
「っ、悪い」
俺は2人に謝って、その場を離れようとした。けど、キレた永尾の方が動きが早かったんだ。
小泉と絹笠が殴られて、その場に倒れた。俺も逃げようと抵抗したけど捕まって、投げ出された場所に押し倒された。
「っ、離せ永尾」
俺の上に馬乗りになってる永尾を睨みながら言えば
「あの人はこんな場面を見たらなんて思うんでしょうね」
なんてニヤリと笑いながら俺のシャツに手を掛けボタンを引きちぎった。
「ヤメロ!こんなことしてなんになる。神谷を裏切るのか」
俺の言葉に永尾が舌打ちをする。
「あなたはいいですよね。堂々と恋人に会えるんですから」
「俺は、会ってない」
永尾の言葉に反射的に答えた。俺は学校の中でしか大我とは会えてないんだ。本当に…。
「何をしている」
いつになく低い声がして見れば、顔に何の表情も乗っていない大我が立っていた。そんな大我の顔は初めて見た。永尾を睨み付ける瞳は紅く光輝いていた。
ゾクリと背筋が凍った。
怖い。こんな大我は初めてで、怖い。
「そこで、恋人が傷付くのを見ててください」
「っ、大我」
永尾と俺の声が重なる。フラ~っと大我が動くと思ったその瞬間
「テメェ何をしてやがる永尾!」
そんな言葉と一緒に永尾が殴られて吹っ飛んだ。
何が起きたのかよくわからない、どういう状況かよくわかってない状況で話がドンドンと進んでいく。
感情的になってる永尾と怖いくらい冷静な大我。対照的な2人のやり取りを俺はまだ倒れたままで聞いていた。
動けなかったんだ。怖くて…。
「三条、聖会長を校医2人の元に連れてきてくれ」
大我のその言葉に俺は呪縛が解けたように身体から力が抜けた。
「会長、大丈夫か?」
俺に声をかけてから手を出してくれた三条。
「あぁ。すまない、助かる」
一言、謝ってから三条の手を借り俺は立ち上がった。三条に支えられ、こうちゃんとヒロさんの元に連れられていく俺を見ることなく大我は永尾を睨んだままだった。
「たい、が」
大我に触れたくて、声をかけて手を伸ばせば
「俺に触るな!」
低い声のまま言われた。
それは目に見えて誰もがわかる大我からの拒絶だった。
俺は大我に触れようとして伸ばした手を下ろし、ギュッと制服を掴み俯いた。
唇を噛み締めて思う。
あぁ、俺は大我に嫌われたんだ
と…。
「ゆいちゃん行こう。ここにいると風紀の邪魔になるからね」
俯いて動けなくなった俺をこうちゃんが優しく撫でて言ってくる。俺は俯いたまま頷いた。
「行こう」
こうちゃんに促されて歩き出して一瞬だけ大我を見たけど、大我は一度も俺の方を見てくれはしなかった。
あぁ、やっぱり俺は嫌われたんだ…
もう、見てもらえないんだ…
俺は唇を噛み締めたまま、こうちゃんとヒロさんに連れられてその場を後にした。
こんなの辛いな。
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