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step1 手を繋ごう
5話
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「悠久ってマジであのお坊ちゃまに付き合うのか?」
急に大樹が部屋に来たなと思ったらこれだ。
「ステップアップには付き合うが恋愛で付き合うわけじゃないぞ?」
今はまだ壬生のしたいことに付き合うだけだ。
「えぇ~!!だって噂になってるぜ。お坊ちゃま会長と不良委員長が付き合い始めたって」
大樹の言葉にクラリと眩暈がする。
「なんでそんな噂が出回るんだよ。早すぎるだろ!!!」
「えぇ~知らな~い。手ぇ繋いで帰ればそう思うんじゃな~い」
俺の言葉に大樹は暢気に言ってくるが、
「全部お前が嗾けた話だろうが」
こいつが言い出した話だ。それを俺が実行しただけだ。
「ええ~だってぇ~悠久がマジで実行するとは思わないじゃん」
大樹はそんなことを言ってくる。こいつマジで俺が実行したことが信じられないらしい。
「お前なぁ」
呆れて言葉が続かなかった。
「で?悠久はこれからどうするんだ?」
急に真面目モードになる大樹。責任は感じてるわけだな。
「どうするって?」
どういう意味で聞いてるのか知りたくて質問を質問で返した。
「だから、壬生とどうするつもりなんだってこと」
少しばつが悪そうな顔をする。
「どうするかはわからねぇだろ。今は壬生がしたいと思うことを俺が付き合ってるだけだし。あいつに本当に好きなヤツが出来れば俺の役目は終わりだしな」
今の俺は本当に壬生に付き合ってるだけだ。それ以上でも以下でもない。
恋愛感情なんて全くないのだから…。
「そうだけどさ、もし仮に壬生が本気で悠久を好きになった場合どうするんだよ」
大樹の言わんとすることもわからなくもない。そうなることもありうるのだから…。
「その時はその時だろ?俺が壬生に惚れるかもしれないんだし、それはどうなるかわからないな」
「まぁ、頭でっかちのおぼっちゃまだもんねぇ。どうなるかわからないよねぇ」
俺の言葉に大樹が楽しそうに言う。
この先のことなど誰にもわからないのだ。
「どうする?壬生が大樹お前に惚れたら?」
だからちょっと聞いてみた。
「うぇ?マジで?それはちょっと…俺…ちゃんと好きな奴いるもん。ちゃんと付き合ってるもん」
本当に困ったなという顔をする。
「あー、椥か。なんだ、まだ付き合ってたのか」
意外だったな。
「ひでっ!これでも俺本気!ちゃんと付き合ってるんの!」
大樹が心外だと言わんばかりに怒る。
「悪い、悪い。イヤ、椥がこの間、怒ってたからケンカして別れたと思ったんだ。結構物騒なこと言ってたからな」
普段怒らないあいつが相当キレてたんだ。
「あー、あれね。ははは」
大樹が力なく笑う。これは相当あいつに怒られたか、大ゲンカして宥めるのに苦労したんだろうな。
「まぁ、仲がいいならいいことだ。俺が止めに入らなきゃいけなくなるようなことはしてくれるなよ」
これだけは忠告しておこう。
「わかってる!そんなへましねぇよ!」
ぎーって大樹が怒って部屋を出ていった。
何がしたかったんだあいつは…。
椥から定期的に俺にメールが来てるって知ったらあいつはキレるだろうな。全部あいつ絡みの内容だけど…。
大樹がいなくなってシンとなった部屋にコンコンと小さなノックの音が響いた。
俺は不思議に思いながらも部屋の扉を開ければそこには壬生が立っていた。
「壬生、どうしたこんな時間に?」
驚いて聞けば壬生は何か言いたげな顔で俺を見るが黙って俯いてしまう。
何かしたくてここに来たんだろうか?
そんな考えが浮かんだ俺は
「何かしたいことがあったのか?」
その答えを聞き出すことにした。
「えっと…夜の散歩がしてみたくて…」
俺の言葉に応えるように顔を上げてやりたいことを告げてくる。
「今からか?」
俺の問いにコクリと頷く壬生。時刻は7時を回ってる。寮の門限は8時だ。
「30分ぐらいしか出れないがいいか?」
色々と頭の中で考えながら聞けば
「うん」
嬉しそうに返事をした。
「わかった。ちょっと待っててくれ、部屋の鍵を取ってくる」
俺は壬生をその場に残して、携帯と部屋のカギを取りに戻った。
「じゃぁ、行くか」
俺は外に出て部屋に鍵をかけて壬生に向き合い、自然に手を差し伸べる。
「うん」
壬生は本当に嬉しそうに返事をして差し出した俺の手を握り返した。
これでまた付き合ってるって噂されるがまぁいいか。
どうせ俺には本気で付き合ってる相手も好きな相手もいない。完全にフリーだからな。
急に大樹が部屋に来たなと思ったらこれだ。
「ステップアップには付き合うが恋愛で付き合うわけじゃないぞ?」
今はまだ壬生のしたいことに付き合うだけだ。
「えぇ~!!だって噂になってるぜ。お坊ちゃま会長と不良委員長が付き合い始めたって」
大樹の言葉にクラリと眩暈がする。
「なんでそんな噂が出回るんだよ。早すぎるだろ!!!」
「えぇ~知らな~い。手ぇ繋いで帰ればそう思うんじゃな~い」
俺の言葉に大樹は暢気に言ってくるが、
「全部お前が嗾けた話だろうが」
こいつが言い出した話だ。それを俺が実行しただけだ。
「ええ~だってぇ~悠久がマジで実行するとは思わないじゃん」
大樹はそんなことを言ってくる。こいつマジで俺が実行したことが信じられないらしい。
「お前なぁ」
呆れて言葉が続かなかった。
「で?悠久はこれからどうするんだ?」
急に真面目モードになる大樹。責任は感じてるわけだな。
「どうするって?」
どういう意味で聞いてるのか知りたくて質問を質問で返した。
「だから、壬生とどうするつもりなんだってこと」
少しばつが悪そうな顔をする。
「どうするかはわからねぇだろ。今は壬生がしたいと思うことを俺が付き合ってるだけだし。あいつに本当に好きなヤツが出来れば俺の役目は終わりだしな」
今の俺は本当に壬生に付き合ってるだけだ。それ以上でも以下でもない。
恋愛感情なんて全くないのだから…。
「そうだけどさ、もし仮に壬生が本気で悠久を好きになった場合どうするんだよ」
大樹の言わんとすることもわからなくもない。そうなることもありうるのだから…。
「その時はその時だろ?俺が壬生に惚れるかもしれないんだし、それはどうなるかわからないな」
「まぁ、頭でっかちのおぼっちゃまだもんねぇ。どうなるかわからないよねぇ」
俺の言葉に大樹が楽しそうに言う。
この先のことなど誰にもわからないのだ。
「どうする?壬生が大樹お前に惚れたら?」
だからちょっと聞いてみた。
「うぇ?マジで?それはちょっと…俺…ちゃんと好きな奴いるもん。ちゃんと付き合ってるもん」
本当に困ったなという顔をする。
「あー、椥か。なんだ、まだ付き合ってたのか」
意外だったな。
「ひでっ!これでも俺本気!ちゃんと付き合ってるんの!」
大樹が心外だと言わんばかりに怒る。
「悪い、悪い。イヤ、椥がこの間、怒ってたからケンカして別れたと思ったんだ。結構物騒なこと言ってたからな」
普段怒らないあいつが相当キレてたんだ。
「あー、あれね。ははは」
大樹が力なく笑う。これは相当あいつに怒られたか、大ゲンカして宥めるのに苦労したんだろうな。
「まぁ、仲がいいならいいことだ。俺が止めに入らなきゃいけなくなるようなことはしてくれるなよ」
これだけは忠告しておこう。
「わかってる!そんなへましねぇよ!」
ぎーって大樹が怒って部屋を出ていった。
何がしたかったんだあいつは…。
椥から定期的に俺にメールが来てるって知ったらあいつはキレるだろうな。全部あいつ絡みの内容だけど…。
大樹がいなくなってシンとなった部屋にコンコンと小さなノックの音が響いた。
俺は不思議に思いながらも部屋の扉を開ければそこには壬生が立っていた。
「壬生、どうしたこんな時間に?」
驚いて聞けば壬生は何か言いたげな顔で俺を見るが黙って俯いてしまう。
何かしたくてここに来たんだろうか?
そんな考えが浮かんだ俺は
「何かしたいことがあったのか?」
その答えを聞き出すことにした。
「えっと…夜の散歩がしてみたくて…」
俺の言葉に応えるように顔を上げてやりたいことを告げてくる。
「今からか?」
俺の問いにコクリと頷く壬生。時刻は7時を回ってる。寮の門限は8時だ。
「30分ぐらいしか出れないがいいか?」
色々と頭の中で考えながら聞けば
「うん」
嬉しそうに返事をした。
「わかった。ちょっと待っててくれ、部屋の鍵を取ってくる」
俺は壬生をその場に残して、携帯と部屋のカギを取りに戻った。
「じゃぁ、行くか」
俺は外に出て部屋に鍵をかけて壬生に向き合い、自然に手を差し伸べる。
「うん」
壬生は本当に嬉しそうに返事をして差し出した俺の手を握り返した。
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