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月光に煌めく金のたてがみ-10年目の再会と約束-

act 3

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ミズキの口元には小さな笑みが浮かびその場に膝をつき彼らが来るのを待つ。


銀糸の狼がソワソワしながら金糸の王に何かを確認している。王はそんな銀糸の狼の身体を押すように鼻先で何度かつつく。
それを合図にして銀糸の狼は嬉しそうに駆け出しミズキに飛び付いた。


ミズキはそれを受け止め
「元気だったか?少し大きくなったな」
銀糸の狼を撫でる。そんな二人に金糸の王がゆっくりと近づいてくる。彼が傍に来るとミズキは一度、銀糸の狼を下におろし金糸の王の首に抱き着いた。
「また逢えて嬉しいよ、王よ」
そんなミズキの言葉に答えるように
「グルル」
と小さく鳴く。
「そうだ、王よ。少しだけその気を押さえられないだろうか?王の強い気で小鳥たちが怯えてしまってるんだ。彼らはここに住む俺の友たちなんだ…」
ミズキは金糸の王から離れジッと顔を見ながらお願いをする。
「グルゥ」
金糸の王は返事をするように鳴き目を伏せる。そしてミズキの頼み通り自分の周りの気を押さえる。

ここに来るまでの間にイラつき感情が抑えられずにいた。その分だけ殺気が強くなり、銀糸の狼だけじゃなく、関係のない小動物たちまでも怖がらせてしまったのだ。金糸の王自身それはわかっていたし、自覚していた。
金糸の王から殺気というモノが消えた瞬間に小鳥や小動物たちがミズキたちの周りに集まってくる。
それはまるで、ミズキの友である金糸の王と銀糸の狼を歓迎しているようだった。



その日、ミズキは日が暮れるまで中庭で金糸の王と銀糸の狼を交えて小動物たちと戯れていた。



夕刻を随分と過ぎたころ、遊び疲れたのか、はしゃぎ過ぎたのか、銀糸の狼はミズキの足を枕にして眠ってしまった。
その様子を見ていた金糸の王は急にミズキの寝台の方へと行き、シーツを器用に咥えて持ってくると銀糸の狼とミズキにかけてミズキの隣に横たわる。
それはまるでミズキに凭れても大丈夫だと言わんばかりに…。

ミズキは金糸の王の意図を読み解き
「ありがとう」
金糸の王に凭れ銀糸の狼を腕の中に抱き寄せてシーツをかける。勿論、金糸の王にもかかるように…。

金糸の王と銀糸の狼の関係はよくわからないが、金糸の王は銀糸の狼をわが子のように愛しみ大切にしているのはわかった。
この場所に一緒に連れてくるぐらいに大切にしているのは…。

「王のたてがみはふわふわで温かいな。この子もふわふわだ」
ミズキは頬に当たるたてがみがふわふわで温かくて安心できた。

「んっ、くすぐったいって」
ペロリと金糸の王がミズキの頬を舐める。

くすぐったくてミズキは逃げるようにたてがみに顔を埋めた。

トクトクと聞こえる金糸の王の心音が心地よくて、ミズキは銀糸の狼を抱きしめたまま、金糸の王を枕にして眠ってしまったのだった。


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