46 / 63
黙って帰ってきました
しおりを挟む
エントって凄い。
まあ自分があのパンティさんって言っても、全く動じなかった。
「わかりました」だけだもん。
肝っ玉が座っているのか、それとも一般的な感覚が欠如しているのか、よくわからない。
ただ、ずっと置きっ放しにしてあったパンティさんの格好をレオさんのうちでしたら、それを見たエントがジーーっと見ている。
「サキ様……何も感じないんですか?」
「え?」
エントの質問がわからなくて何も答えられない。
「それを着ていても、何も感じないんですか?」
「…え? ちょっと息苦しさとか、動きにくいっていうのはあるよね……」
「そうですか……前にお会いした時に、ふっと思いましたが、貴方は次元が違うくらいにやはり面白い方ですね……」
と言われた。
そんなに着ぐるみが珍しいのだろうか?
「エントも着てみる? これ? 結構重いよ」
エントはブンブンと頭を振りながら、結構ですと言っている。
そして、あの後、厳戒態勢の騎士団の寮に戻ってきた。
パンティさんの格好のまま、それを着こんでの帰還となった。
エントが騎士団の入り口で「ちょっと力を使います」と言ったから、どうなんだ?と思ったけど、エントがポケットから出した何か金色の粉を自分に振りかけた。
すると、なんてことでしょう!
エントの体が透けちゃった!
エント!!!
すでにエントは透けていた。
何度なくそこにいることがわかる。
受付のおばさんが「あれ、パンティさん、外泊じゃなかっけ?」と言っていた。
うん、本当はそういう予定だった。
ジンとのデートとのあと、家族?水入らずで、レオさんのうちに泊まろうと思っていたのだ。
でも、そんなこと、言っていられなくなったのだ。
そして、バタバタと騎士団の寮の部屋に戻ってきた。
まだあのデートの日が終わっていない!!という自体、凄いことなのだが、部屋の鍵を開けドアを閉めると、全て元のままのようでホッとした。
「エント、ありがとう。もう戻ってもいいよ」
すると、エントの声だけが聞こえてくる。
「私はちょっと体力の消耗が激しかったので、このまましばらく休ませてもらいます」とだけ聞こえた。
なるほど、この超人的な技の奥には、かなりの体力というか力が必要だったのかと思う。
とにかく、もう夜なのだが、バタバタと騒がしい。
なぜだろう。
パンティさんの格好がなぜかしっくりとくる。
でも、予想とは反して、誰も夜中には訪れなかった。
特に、先ほど今生の別れをしたちょっと口下手な奴も……全く部屋に帰ってきた様子もなかった。
なんだかちょっと切なくなりがら、パンティさんの格好のまま寝てしまう。
夕食を食べていなかったので、ぐうーーとお腹がなったが、なんだか疲れてそのまま寝てしまった。
明日という日が全くどういう日になるのか想像がつかなかった。
****
朝起きて、パンティさんの頭だけを取り、身支度をする。
ご飯でさえもまだ届けられていない。
お腹がぐうぐうとなっている。
エントは朝からちょっと情報を集めてきますと言って消え去った。
仕方がない。
自分で取りに行こうと思った。
すれ違いにあのザック大尉に会った。
見た目だけは、強くて格好いい勇者みたいな人だ。
「あああ パンティさん!!」
「ど、どうしたの? なんかみんな慌ただしいよね」
自分の顔を見て明らかに驚いている。
知らないんですか?という感じだ。
「いやそれが、大変なんです!」
「な、何が大変なの!?」
「殿下と大将が喧嘩しちゃったみたいで……」
「!?」
「どうやら何か昨日現れた美女が突然消えてしまったことに、殿下が猛烈にキレたんです!」
「!!!それで、何! リュークは捕まっちゃうとか、解雇なの?」
やっぱりリュークが監禁とかされちゃうのだろうかと心配になった。
「そ、それがなんとも変なんですけど、リューク大将は俺は責任を取って大将をやめて、ここを去ってもいい…と言い始めて、今度は反対に殿下がそれは困るって、何か立場が逆転しているというか……」
なるほど……。
こんな事態はありえませんとか言いながら、ザック大将は頭を抱えている。今ジーク副官とシモン神官が二人の中を取り持とうとしているとか、それで下の我々も、もし大将がここを辞めたらどうすんだっと大騒ぎなんですよっと簡単に説明してきた。
え、それってなんかクーデターっていうか、反乱に近いんじゃない? 喧嘩とかのレベルじゃないとか思う。
「でも、殿下って一応、この国の王子だし、リューク大将の上司でしょ? 命令すればいいだけの話じゃないの?」
自分はリュークの味方になりたかったけど、話が見えなくて質問した。
「……まあ形的にはそうなんですけど、リューク大将のカリスマ性に惹かれている団員も多いですし、それに……」
「殿下もなぜかリューク大将には一目置いているというか、あまり殿下からの絶対的な命令ってないんです。基本的に殿下は現場は現場に任せる主義なんで……そのかわり、リューク大将も政には一切今まで口を出さないというか……」
つまり、ここで命令を出しちゃったら、二人の関係、つまり政治と軍事のバランスが崩れてしまうということだろうか?
「あ! そういえばパンティさん、見ましたか? 昨日の謎の美少女!! 俺ちょっと浮気しそうなくらいに、あっちにガタと気が向きそうでした」
なんだ。それ。
一気に話がずれたぞ。
「俺、一応パンティさん命っと思っているんで、あの、実はタツゥーも挿れようかと思ってんですけど、どう思います? パンティ命とかいいかなと……」
「!!挿れないで! 絶対ダメ!! お願いします!!!」
残念そうな顔をザック大尉がしている。
貴方、見た目、結構野郎系の生かしたイケメンって感じだけど、やっぱり思考が残念だよ。
「団員達も昨日の夜会の参加したやつは大騒ぎでしたよ……」
ザック大尉の話を会話摘むと、あ、もちろん、美少女うんたらという部分は吹っ飛ばし、内容をまとめてみた。
昨日、エントらしきクセ者がサキ様と呼ばれる海外からのお客様、美少女を誘拐。でも、襲われた騎士団の話から、どうもその従者の戦法や、装いが、あのエントにそっくりだったと……いうことになった。
ということは、あのエントが主人を誘拐はありえないから、ただあの少女はここに見切りをつけて帰ったのだという話に落ちたらしい。
それに納得できない殿下が激オコし、意見の対立で、リュークと大喧嘩らしい。
サキ様を騎士団で探し出せと懇願する殿下に対して「いたしません……」とリュークが一点張りで断っているらしい。
そのうちに殿下が「だったら、僕がサキ様を探す旅に出る……」とか言い出す始末。それを止めにシモンが入ったり、状況を確認するためにジーク副官も右往左往しているらしい。
ご愁傷さまです。
帰ってきてます、そのお探しのひと。
ちょっとため息をつきながら、ザック大尉と別れを告げ、今度はみんなのゴタゴタを横目で見ながら、食堂に食事をもらいにきた。
もうほとんどの人が食事を終えたようで、閑散としていた。
まだ食事の途中か、終わったばかりの何名かの騎士団が自分を見て寄ってきた。
「え、食事係が行っていないんですか?」
「俺達手伝いますよ……」
と五、六人の騎士に囲まれて、もうそれは沢山のご馳走を抱えて部屋に戻ってきた。
え、みんな早く部屋から出て欲しいと思うが、なぜかみんなニマニマ顔で部屋から出ない。
「どうぞ、パンティさん、食べていいですよ」
とニンマリ顔で言っている騎士の顔が怖い。
食べれん!ってこんな状況……。
椅子に無理矢理座らされて、「さあ、あ~んして、口開けないと、パンティ、汚れちゃうよ……」とか一人の騎士に囁かれた。
ば、馬鹿者!
なぜ、こういう時だけ、敬称つけないだ!
ふえーーん。
エントもいなし、お腹だけがぐうぐうなって、使えないイケメン達に囲まれて、どうしようかと思った。
何気にこいつらパンダの着ぐるみを撫で撫でしたり、隣にいるやつなんか、頭スリスリしてくる!!
キモい!
「ああ、ちょっと震えてる? 可愛いよね……パンティさん」
クッソーー!
エントが帰ってきたら、けちょんけちょんしてやると思った瞬間、その目の前男が飛んだ。
え?っと思っている瞬間次々に、横にいたはずの男達の気配がなくなる。
え、また男が飛んだような気がした。
ゔゔっと唸る声に重なり、あの男の声が聞こえた。
「お前達……何をやっているんだ?」
「た、大将!」
「あれ、宮殿で殿下と話し合い」
リュークの底冷えするような冷たく恐ろしい低い声が室内に響いた。
「パンティさんに……勝手に触るなと言っただろう?」
まあ自分があのパンティさんって言っても、全く動じなかった。
「わかりました」だけだもん。
肝っ玉が座っているのか、それとも一般的な感覚が欠如しているのか、よくわからない。
ただ、ずっと置きっ放しにしてあったパンティさんの格好をレオさんのうちでしたら、それを見たエントがジーーっと見ている。
「サキ様……何も感じないんですか?」
「え?」
エントの質問がわからなくて何も答えられない。
「それを着ていても、何も感じないんですか?」
「…え? ちょっと息苦しさとか、動きにくいっていうのはあるよね……」
「そうですか……前にお会いした時に、ふっと思いましたが、貴方は次元が違うくらいにやはり面白い方ですね……」
と言われた。
そんなに着ぐるみが珍しいのだろうか?
「エントも着てみる? これ? 結構重いよ」
エントはブンブンと頭を振りながら、結構ですと言っている。
そして、あの後、厳戒態勢の騎士団の寮に戻ってきた。
パンティさんの格好のまま、それを着こんでの帰還となった。
エントが騎士団の入り口で「ちょっと力を使います」と言ったから、どうなんだ?と思ったけど、エントがポケットから出した何か金色の粉を自分に振りかけた。
すると、なんてことでしょう!
エントの体が透けちゃった!
エント!!!
すでにエントは透けていた。
何度なくそこにいることがわかる。
受付のおばさんが「あれ、パンティさん、外泊じゃなかっけ?」と言っていた。
うん、本当はそういう予定だった。
ジンとのデートとのあと、家族?水入らずで、レオさんのうちに泊まろうと思っていたのだ。
でも、そんなこと、言っていられなくなったのだ。
そして、バタバタと騎士団の寮の部屋に戻ってきた。
まだあのデートの日が終わっていない!!という自体、凄いことなのだが、部屋の鍵を開けドアを閉めると、全て元のままのようでホッとした。
「エント、ありがとう。もう戻ってもいいよ」
すると、エントの声だけが聞こえてくる。
「私はちょっと体力の消耗が激しかったので、このまましばらく休ませてもらいます」とだけ聞こえた。
なるほど、この超人的な技の奥には、かなりの体力というか力が必要だったのかと思う。
とにかく、もう夜なのだが、バタバタと騒がしい。
なぜだろう。
パンティさんの格好がなぜかしっくりとくる。
でも、予想とは反して、誰も夜中には訪れなかった。
特に、先ほど今生の別れをしたちょっと口下手な奴も……全く部屋に帰ってきた様子もなかった。
なんだかちょっと切なくなりがら、パンティさんの格好のまま寝てしまう。
夕食を食べていなかったので、ぐうーーとお腹がなったが、なんだか疲れてそのまま寝てしまった。
明日という日が全くどういう日になるのか想像がつかなかった。
****
朝起きて、パンティさんの頭だけを取り、身支度をする。
ご飯でさえもまだ届けられていない。
お腹がぐうぐうとなっている。
エントは朝からちょっと情報を集めてきますと言って消え去った。
仕方がない。
自分で取りに行こうと思った。
すれ違いにあのザック大尉に会った。
見た目だけは、強くて格好いい勇者みたいな人だ。
「あああ パンティさん!!」
「ど、どうしたの? なんかみんな慌ただしいよね」
自分の顔を見て明らかに驚いている。
知らないんですか?という感じだ。
「いやそれが、大変なんです!」
「な、何が大変なの!?」
「殿下と大将が喧嘩しちゃったみたいで……」
「!?」
「どうやら何か昨日現れた美女が突然消えてしまったことに、殿下が猛烈にキレたんです!」
「!!!それで、何! リュークは捕まっちゃうとか、解雇なの?」
やっぱりリュークが監禁とかされちゃうのだろうかと心配になった。
「そ、それがなんとも変なんですけど、リューク大将は俺は責任を取って大将をやめて、ここを去ってもいい…と言い始めて、今度は反対に殿下がそれは困るって、何か立場が逆転しているというか……」
なるほど……。
こんな事態はありえませんとか言いながら、ザック大将は頭を抱えている。今ジーク副官とシモン神官が二人の中を取り持とうとしているとか、それで下の我々も、もし大将がここを辞めたらどうすんだっと大騒ぎなんですよっと簡単に説明してきた。
え、それってなんかクーデターっていうか、反乱に近いんじゃない? 喧嘩とかのレベルじゃないとか思う。
「でも、殿下って一応、この国の王子だし、リューク大将の上司でしょ? 命令すればいいだけの話じゃないの?」
自分はリュークの味方になりたかったけど、話が見えなくて質問した。
「……まあ形的にはそうなんですけど、リューク大将のカリスマ性に惹かれている団員も多いですし、それに……」
「殿下もなぜかリューク大将には一目置いているというか、あまり殿下からの絶対的な命令ってないんです。基本的に殿下は現場は現場に任せる主義なんで……そのかわり、リューク大将も政には一切今まで口を出さないというか……」
つまり、ここで命令を出しちゃったら、二人の関係、つまり政治と軍事のバランスが崩れてしまうということだろうか?
「あ! そういえばパンティさん、見ましたか? 昨日の謎の美少女!! 俺ちょっと浮気しそうなくらいに、あっちにガタと気が向きそうでした」
なんだ。それ。
一気に話がずれたぞ。
「俺、一応パンティさん命っと思っているんで、あの、実はタツゥーも挿れようかと思ってんですけど、どう思います? パンティ命とかいいかなと……」
「!!挿れないで! 絶対ダメ!! お願いします!!!」
残念そうな顔をザック大尉がしている。
貴方、見た目、結構野郎系の生かしたイケメンって感じだけど、やっぱり思考が残念だよ。
「団員達も昨日の夜会の参加したやつは大騒ぎでしたよ……」
ザック大尉の話を会話摘むと、あ、もちろん、美少女うんたらという部分は吹っ飛ばし、内容をまとめてみた。
昨日、エントらしきクセ者がサキ様と呼ばれる海外からのお客様、美少女を誘拐。でも、襲われた騎士団の話から、どうもその従者の戦法や、装いが、あのエントにそっくりだったと……いうことになった。
ということは、あのエントが主人を誘拐はありえないから、ただあの少女はここに見切りをつけて帰ったのだという話に落ちたらしい。
それに納得できない殿下が激オコし、意見の対立で、リュークと大喧嘩らしい。
サキ様を騎士団で探し出せと懇願する殿下に対して「いたしません……」とリュークが一点張りで断っているらしい。
そのうちに殿下が「だったら、僕がサキ様を探す旅に出る……」とか言い出す始末。それを止めにシモンが入ったり、状況を確認するためにジーク副官も右往左往しているらしい。
ご愁傷さまです。
帰ってきてます、そのお探しのひと。
ちょっとため息をつきながら、ザック大尉と別れを告げ、今度はみんなのゴタゴタを横目で見ながら、食堂に食事をもらいにきた。
もうほとんどの人が食事を終えたようで、閑散としていた。
まだ食事の途中か、終わったばかりの何名かの騎士団が自分を見て寄ってきた。
「え、食事係が行っていないんですか?」
「俺達手伝いますよ……」
と五、六人の騎士に囲まれて、もうそれは沢山のご馳走を抱えて部屋に戻ってきた。
え、みんな早く部屋から出て欲しいと思うが、なぜかみんなニマニマ顔で部屋から出ない。
「どうぞ、パンティさん、食べていいですよ」
とニンマリ顔で言っている騎士の顔が怖い。
食べれん!ってこんな状況……。
椅子に無理矢理座らされて、「さあ、あ~んして、口開けないと、パンティ、汚れちゃうよ……」とか一人の騎士に囁かれた。
ば、馬鹿者!
なぜ、こういう時だけ、敬称つけないだ!
ふえーーん。
エントもいなし、お腹だけがぐうぐうなって、使えないイケメン達に囲まれて、どうしようかと思った。
何気にこいつらパンダの着ぐるみを撫で撫でしたり、隣にいるやつなんか、頭スリスリしてくる!!
キモい!
「ああ、ちょっと震えてる? 可愛いよね……パンティさん」
クッソーー!
エントが帰ってきたら、けちょんけちょんしてやると思った瞬間、その目の前男が飛んだ。
え?っと思っている瞬間次々に、横にいたはずの男達の気配がなくなる。
え、また男が飛んだような気がした。
ゔゔっと唸る声に重なり、あの男の声が聞こえた。
「お前達……何をやっているんだ?」
「た、大将!」
「あれ、宮殿で殿下と話し合い」
リュークの底冷えするような冷たく恐ろしい低い声が室内に響いた。
「パンティさんに……勝手に触るなと言っただろう?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,870
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる