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決心する忍~隠されていた真実
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決心したように忍が宣言した。
「ケヴィン殿。私をカナの隣の部屋にしてください。今までのことも話し足りないし、そんな魔物の話やら、今日のカナの周りの男達を見ていたら、魔力のないカナが心配になりました。しかも……いま気がつきましたが……誰かさんの印も受けているようですので……兄としては、まだ全く納得をしておりません」
またドス黒い空気が立ち上り始めた。
その微笑んでいるが、その紫色の目は冷たい。
魔力か何かを感じ取ったフェリスが頬を引き攣らせながら話しだした。
「忍兄さんとやら、落ち着いてくれ。わかっているようだが、その印は俺のだ。それがある意味はあんたにも俺も十分にわかっているはずだ。それがなければ、カナが今まで無償だった保証はなかった……」
フェリスは、忍にカナが舞姫の可能性が高く、身分を隠して今まで留学生として扱うため、手薄になる警備を万が一の事を考えて、印を授けたという話をした。
ほとんどの話に忍は納得して頷いていたが、ひとつだけ、異論をとなえた。
「大体はわかった。でも、一つだけ違う事がある……カナは舞姫ではない。それはありえない」
「「「えええ」」」」(やっぱりと思う私)
三人が驚く。
カナも自分は舞姫ではないと思ったが、これだけ、はっきり断言できる要因がなかった。
「なんで忍はわかるの?」
「カナ、お前には全く魔力がない。その気配も感じられない。そうだろう。フェリス殿下?」
忍はちろっとフェリスを見る。バツが悪そうにフェリスが答える。
「ああ、そうだ。忍殿……。最初は、なにかの変動で魔力が隠されていると思っていた。伝説では舞姫には、隠された力、つまり甚大な魔力があるとされている。それが、だんだん現れるのを俺は待っていたんだ。ふさわしい立場でカナがこの国に受け入られてもらえるよう。そして、その時は、俺の傍に……と願っていた。だが、三年も経ってしまった。すまん。これは俺の誤算だった……」
ケヴィンがそこに、助け舟を出すように声を発する。
「カナ様。忍様。これはフェリス殿下の落ち度ではございません。私もカナ様が魔力を蓄えている資質だと感じて、この世界に馴染んだら、それが現れると思っておりました。もちろん、カナ様はこの国に既に素晴らしい貢献をなされていますし、騎士団の団長ヴァンにしても、カナ様のただならぬ眼力を絶賛しておりますよ……」
(カナはあれはイケメン観察の延長なのになーと心で思う)
「でも、忍はなんで、私が絶対舞姫じゃないとわかるの?」
それは三人が三人とも、不思議だと思う点だった。
忍は、ゆっくりと瞬きをし、みんなを見据えた。
「それは……私が……その舞姫だからだ」
「「「????」」」
「私には甚大な魔力がある。それはフェリス殿下にとっても恐怖とも感じられるはずだ……」
フェリスはドキッとした顔をしたが、そのとき、ケヴィンのほうが驚いた顔した。
「フェリス殿下……それは本当ですか」
「ああ……そうだ。忍には私が生まれて初めて……鳥肌が立つくらいの恐れを感じた」
ふたりの驚愕の表情を横目に見ながら、カナはじっと忍を見て質問する。
忍の紫色の瞳の色が揺れている。
「なんか、納得いかない。忍、私になにか隠しているでしょう?」
腕の中の愛しい人が剥れているのに気がついて、忍の顔が緩む。
「わかったよ。カナ。君はぼくの全てだ。教えるよ」
そう言って、忍はカナの頭を優しく撫でる。
そして、声が男の声になる。
「カナ。舞姫はプログラミング上のバグだ……」
えええ?? どういうこと?
忍はびっくりする私を少し困ったような笑みを浮かべて見つめ、どんどん説明していく。
「でも、このバクは特殊な状態でしかありえないし、二つ起こり得ないように、システム上、上手く組んであるはずだった。二つのバクが出てきたら、ゲームが自動的に再起動になるんだ」
頭を掻きながら、更に忍は続ける。
「コード上、そういうシステムにしてある。オンラインゲームの時に、ハッカーに荒らされたら嫌だしね。カナ。今はっきり言うよ。僕はこのゲームの開発者だ。だから、この世界については誰よりも知っている。管理者、つまり私が、舞姫という外部からに侵入を許すコードを使って、このゲームをときどき監視したり、調整するんだ。でも二人目の舞姫は新たなるバグか、またはハッキングと識別され、除外、又はゲームが再起動になるんだ」
驚く私……。
確かにあのBLゲーム、エロだけではなくて、珍しくオンラインでイチャイチャ以外の冒険もできると、二度美味しいゲームになっていた。カップルを成立させた後に、自分が組み合わせたカップルで愛の冒険ができるものになっていた。
まあ特典ゲームだ。
「カナならわかるだろう? その意味が……それもセーブなしの再起動だよ」
まったく意味がわからないと唖然としているフェリスとケヴィン。
でも、わたしには意味がわかる。
セーブなしの再起動。
すべての世界の終わりだ。
「ケヴィン殿。私をカナの隣の部屋にしてください。今までのことも話し足りないし、そんな魔物の話やら、今日のカナの周りの男達を見ていたら、魔力のないカナが心配になりました。しかも……いま気がつきましたが……誰かさんの印も受けているようですので……兄としては、まだ全く納得をしておりません」
またドス黒い空気が立ち上り始めた。
その微笑んでいるが、その紫色の目は冷たい。
魔力か何かを感じ取ったフェリスが頬を引き攣らせながら話しだした。
「忍兄さんとやら、落ち着いてくれ。わかっているようだが、その印は俺のだ。それがある意味はあんたにも俺も十分にわかっているはずだ。それがなければ、カナが今まで無償だった保証はなかった……」
フェリスは、忍にカナが舞姫の可能性が高く、身分を隠して今まで留学生として扱うため、手薄になる警備を万が一の事を考えて、印を授けたという話をした。
ほとんどの話に忍は納得して頷いていたが、ひとつだけ、異論をとなえた。
「大体はわかった。でも、一つだけ違う事がある……カナは舞姫ではない。それはありえない」
「「「えええ」」」」(やっぱりと思う私)
三人が驚く。
カナも自分は舞姫ではないと思ったが、これだけ、はっきり断言できる要因がなかった。
「なんで忍はわかるの?」
「カナ、お前には全く魔力がない。その気配も感じられない。そうだろう。フェリス殿下?」
忍はちろっとフェリスを見る。バツが悪そうにフェリスが答える。
「ああ、そうだ。忍殿……。最初は、なにかの変動で魔力が隠されていると思っていた。伝説では舞姫には、隠された力、つまり甚大な魔力があるとされている。それが、だんだん現れるのを俺は待っていたんだ。ふさわしい立場でカナがこの国に受け入られてもらえるよう。そして、その時は、俺の傍に……と願っていた。だが、三年も経ってしまった。すまん。これは俺の誤算だった……」
ケヴィンがそこに、助け舟を出すように声を発する。
「カナ様。忍様。これはフェリス殿下の落ち度ではございません。私もカナ様が魔力を蓄えている資質だと感じて、この世界に馴染んだら、それが現れると思っておりました。もちろん、カナ様はこの国に既に素晴らしい貢献をなされていますし、騎士団の団長ヴァンにしても、カナ様のただならぬ眼力を絶賛しておりますよ……」
(カナはあれはイケメン観察の延長なのになーと心で思う)
「でも、忍はなんで、私が絶対舞姫じゃないとわかるの?」
それは三人が三人とも、不思議だと思う点だった。
忍は、ゆっくりと瞬きをし、みんなを見据えた。
「それは……私が……その舞姫だからだ」
「「「????」」」
「私には甚大な魔力がある。それはフェリス殿下にとっても恐怖とも感じられるはずだ……」
フェリスはドキッとした顔をしたが、そのとき、ケヴィンのほうが驚いた顔した。
「フェリス殿下……それは本当ですか」
「ああ……そうだ。忍には私が生まれて初めて……鳥肌が立つくらいの恐れを感じた」
ふたりの驚愕の表情を横目に見ながら、カナはじっと忍を見て質問する。
忍の紫色の瞳の色が揺れている。
「なんか、納得いかない。忍、私になにか隠しているでしょう?」
腕の中の愛しい人が剥れているのに気がついて、忍の顔が緩む。
「わかったよ。カナ。君はぼくの全てだ。教えるよ」
そう言って、忍はカナの頭を優しく撫でる。
そして、声が男の声になる。
「カナ。舞姫はプログラミング上のバグだ……」
えええ?? どういうこと?
忍はびっくりする私を少し困ったような笑みを浮かべて見つめ、どんどん説明していく。
「でも、このバクは特殊な状態でしかありえないし、二つ起こり得ないように、システム上、上手く組んであるはずだった。二つのバクが出てきたら、ゲームが自動的に再起動になるんだ」
頭を掻きながら、更に忍は続ける。
「コード上、そういうシステムにしてある。オンラインゲームの時に、ハッカーに荒らされたら嫌だしね。カナ。今はっきり言うよ。僕はこのゲームの開発者だ。だから、この世界については誰よりも知っている。管理者、つまり私が、舞姫という外部からに侵入を許すコードを使って、このゲームをときどき監視したり、調整するんだ。でも二人目の舞姫は新たなるバグか、またはハッキングと識別され、除外、又はゲームが再起動になるんだ」
驚く私……。
確かにあのBLゲーム、エロだけではなくて、珍しくオンラインでイチャイチャ以外の冒険もできると、二度美味しいゲームになっていた。カップルを成立させた後に、自分が組み合わせたカップルで愛の冒険ができるものになっていた。
まあ特典ゲームだ。
「カナならわかるだろう? その意味が……それもセーブなしの再起動だよ」
まったく意味がわからないと唖然としているフェリスとケヴィン。
でも、わたしには意味がわかる。
セーブなしの再起動。
すべての世界の終わりだ。
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