腐女子 異界で悶絶する【改訂版】

食べ物編

　照り焼きサーモンを作りたかった。
　醤油と生姜、みりんを発見できたので、かなり嬉しかった。
　最近、遠方の国で開発されたものらしい。
　もしかしたら、あっちの国にも転移者がいるんじゃないかなっと思った。

　まあ、それは別としてとして、下味を付ける。
　お弁当にぴったりだ。日本人なら魚をもっと食べたい。
　魚はあるだが、やはり鮮度を保つのが大変と聞いたので、干物の作り方を伝授した。

　まずは丸いフレームを作り、それを底にして網をはり、周りから何も侵入しないようにまた網を包むようにかぶせてある。これはカナの釣り好きの父が趣味で干物作りにはまったことを覚えていて、その網を覚えていたからだ。

　塩水をパーセントで合わせて作る。開いた魚に塩水をつけ、その網で干す。最初はちょっと失敗して、とんでもないことになったが、こちらの魚のアジの干物もどきが最初に出来た時は感動して、七輪もどき（これもフェリスに作ってもらった。）あぶって食べた。

　お醤油と大根おろし（意外と似たような物があるね）あう！
　また、そのついでに薫製機も作成した。これも、海外生活が長い趣味人間の父直伝のやつだ。

　ダンボールでも作れるが、そんなものはこの世界にはない。煉瓦があるので、薫製専用の釜を作ってみた。　　　
　１mぐらいの高さになり、上から、下味を付けた肉や魚をメタルの棒に引っ掛けてつり、下の炭火からのスモークによって、調理するやり方だ。

　ただ、調理時間がすごっい長いことを思い出した。これは調理した肉の中を図る温度計が必要だなと思い、その適当な案を図に書いて、ケヴィンに説明する。

　ここの国には温度計というものが存在というものがなかった。だから、まあ摂氏のほうだか、またまた基本的はコンセプトを教える。

　中学生の知識であるから、まあこんな感じだ。

　水が凍るのが　０度
　水が沸騰するのが１００度

という基本的な概念を伝える。
　そして、お肉などは鶏、豚、牛などによって加熱の温度が違い、それを間違えると病気の原因になると説明した。

　みんなが正しく料理できるように肉の中に刺して温度が図れる温度計を作るようにケヴィンに相談した。

　これは熱にも強いマテリアルを作ることと温度を適度に図れる液体の開発が関わってくる。まあそもそもこの国には温度計や体温計などがない。本当はこの国の温度は地球と違うのではないかとふと疑問にも思ってしまったが、科学者でもないカナにはよくわからない。でも、水の性質がおなじなら同じ方法が温度を測るのに有効ではないかと考えた。

　これについては、温度計専門開発部がフェリス殿下の指揮のもと形成された。
　メンバーは、本当ならば軍事器具に強い王室お抱えの魔法師ダニエルと物質の変換に強い魔力を持つ第二王子フィリップ・マグノリア・グレンヴィルがつくことになった。

　お。やっとフィリップ王子に会えたわ。フィリップ殿下は、くせ毛がある可愛い感じの王子だ。

　かなりブラコンで、お兄ちゃんのいうことなら、火の中でも飛べこめそうなくらいの愛犬タイプの弟だった。
　BLゲームの世界では恋人のケヴィンにかなり嫉妬をし、ふたりが対決することになっている。今のところ、そのような気配は全くない。

　物質の変換は、超上級のレア魔法である。魔術によって、水を大量に気化させたり、形を変えることは可能であるが、物質そのものを変える方法はかなり難しく、たとえ使えても相当の魔力を必要とするためむやみに使えなかった。
　それでも、この温度計という概念を聞いた王子たちはこれによって、大きな恩恵を王国に与えられると気がついた。

　そして、１年の研究の末、

・室内室外を測る温度計

・体温計

・肉などの調理用の温度計

を完成させる。

　これにより、人々の生活が著しく変わった。外気温に対しては、みんなが市場や集まる場所に置かれ、一般の人々は

　「今日は二十五度以上になりそうで、暑いねー」とか
　「北のほうではまだ十七度ぐらいで涼しいらしよ」
などちょっと気取りながら温度を話すようになった。

　体温計はまだ各家庭には出回っていなかったが、医療を専門とする場所に、まずは最初におかれることになった。
　熱を正確に測れることによって病人の健康管理に役にたった。

　また、調理の温度計は手慣れた料理人には必要なかったが、加熱することによって病原菌を殺すという考えかたが広まり、食中毒などが原因による被害が大幅に減ることになった。

　カナの気がつかないうちに、カナの功績は国中に広まっていった。
　ただ王宮に物凄い優秀な留学生がいることだけが噂になっていた。

━━どうやら王宮には外国からの賢者様がいるらしい。
━━留学生の賢者様は大変麗しい少女らしい。

　　カナ自身は王宮のなかで、読み書きの勉強（まだまだ続いておりますが、ほどんどの会話、難しくない本なら自分で読めるようになっていた）新しい食べ物の開発（かなり力を入れている）そして、最近終えたばかりの温度計の調整などにかかりっきりで、あまり自分のことが噂になっているとはまったく気がついていなかった。

━━でも、賢者様はいつかこの国を去ってしまうのではないか？
━━いつまでもこの国にいてはくれないのか。

　人々はこの未知な留学生について話すようになっていた。

━━我が国の王子たちはこの賢者の少女を引き止められないのか？