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4章 最終章 勇者の剣と世界の秘密

シロちゃん炎上

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オイラはアシヲ(佐藤A)総理大臣。
何故、総理大臣になったかと言うと色々あったのだ。

女神を倒してから、初めての村周辺を統治して【イズモ大国】を作り王様になったオイラだったが、半年で隣国【ヤマト大国】の王である米原涼が崩御してしまい、ヤマト大国のエーコ女王に、「涼様が居なくなって政治が忙しいから、王様辞めて、ウチの総理大臣やって」と、言われ、せっかく作ったイズモ大国をヤマト大国と合併させられて、ヤマト大国の総理大臣にさせられてしまった。 

姉御、これは酷すぎるっす!

怖いエーコ女王には逆らえないオイラだった。

オイラと妻のシロは、ヤマト大国にある総理大臣官邸、通称【白い家】で休日を過ごしていた。

米原涼の崩御で崩壊しかけた国と合併に反対するイズモ大国の国民を何とかまとめあげるために、毎日23時間働いた。

そしてやっと休日が取れたので、ソファーに寝転がりお昼寝をしている。

そんな横でシロがスマートホンを片手に話していて、気になる言葉が耳に入ってきた。

「オレオレ、オレだっピョン!」

妊娠8ヶ月で大きなお腹のシロが男っぽい口調でオレと連呼している……。

まさか!?これはあの有名な詐欺では!?

「そうだピョン!すぐに持って来るピョン!」

あわわわっ、お前、サメとかをよくだましてたけど、犯罪はやっちゃいかんぞ!?

ピンポーン!

しばらくすると家のベルがなった。

「来たピョン!なかなか早いピョン!」

シロが玄関に飛び跳ねて行った。

オイ!妊婦なんだから飛び跳ねるなよ!
と言うか、家に呼んだのか!犯行が大胆すぎだろ!

「…………」

オイラの目の前には、人参ジュースにミルクがたっぷり入った【人参オレ】が紙パックに入って置かれていた。

「シロ様のアドバイス通りに、人参魔人キャロットマンをすり潰した物に、牛魔人モーマンのミルクを入れてみました。人参魔人はジュースにするとエグすぎて飲みにくかったのですが、ミルクを入れた途端に甘く優しい味に変わりました。流石はシロ様人参に造詣ぞうけいが深い!ウサギの中のウサギ!プリンセスオブバニーッバニー!……おっと失礼、つい興奮して語尾にバニーを付けてしまいました」

兎魔人バニーデビルのクロが、ハァハァと息を荒げながら熱く語った。

このクロは、レストラン(うさぎ小屋)の店長で、シロとたまに食べに行っているので面識はある。

机に置かれた紙パックを見ると、超滋養強壮!夜のお供に!と書いてある。

「ふふふっ!クロぴょん、素晴らしいピョン!では飲んでみるピョンね」

シロは紙パックを持ち上げて、蓋をあけストローを刺した。

ジュルルルルルルルルウゥーーッ!!

凄い勢いで飲み干し、紙パックがグシャッと潰れた。

「どっ、どうですか?シロ様……?」

クロは、あまりの飲みっぷりにドン引きして顔を引きつらせながらも感想をたずねた。

「ピョン……」

「え?」

「ピョンピョン……」

シロが、その場にうずくまりプルプル震えながらピョンピョン繰り返しつぶやいている。

「おいシロ!大丈夫か!?」
「シロ様!お気を確かに!」

「ピョッ……ピョピョピョピョン……」
「うわ……!?」

シロから何か、オレンジ色の怪しいオーラが立ち込めはじめた。 

オイラとクロが息を飲んで見ていると、

「うっ……ピョン、うっ、産まれちゃうピョン!!ピョン!ピョン!!」

シロが叫んだ。

「産まれるって赤ちゃんか!?いっ!医者を呼べ!!」
「はい!!」

オイラが叫び、クロが病院へと走った。

「ふふっ!ふふふピョン!この感じっ!人参のエネルギーが身体中にみなぎるこの感覚!これで全身全霊で出産に打ち込めるピョン!!アーッ!ミナギルピョン!ピョンピョンピョン!」

「もうすぐ産婆さんが来るからな」

人参エキスのせいで何かちょっとヤバイ感じのシロに必死に声をかける。

8ヶ月だと早産になるよな?大丈夫か?でも、兎は1ヶ月で子供産むから、兎人バニーマンはどうなんだ?

とか考えていたら、ある事に気付いた。

「あれ?そういえば8ヶ月前って女神と戦う準備で忙しくてオイラ家に帰ってなかった様な?」

するとシロはビクンッとなって、こっちを見てきた。

「アアァァアシヲぴょんの子だピョンよ?」

凄く怪しい感じに答えてきた。

「えっ!?まさかオイラの子じゃないの!?」

オイラが問い詰めると、シロは動揺しきった目でプルプルと震えだしたかと思ったら、急に立ち上がった。

「こっ!この子はアシヲぴょんの子だピョンよ!?疑うならこの家に火を付けるピョン!!」

何かヤバイ感じに暴走しはじめた!?

「おい!家を燃やすってどういう事だよ!?」

オイラは、シロに人参パワーでズンズン押されはじめる。

「この子がアシヲぴょんの子なら、貴方の超幸運も受け継がれている!ならば燃え盛る中でも立派に産まれて来るはずです!ピョン!」

「いや!確かに色々あっても他力本願で助かってきたけど、オイラは幸運と言うより悪運だからね!?だからって家を燃やす必要なくない!?この家、国家予算で建てたから放火とかマジでやめて!!」

発狂するシロに、オイラは家の外に追い出され、バタンッと玄関のドアが閉まった。総理大臣用のセキュリティでガッチガチの家だから、内側から閉められたら絶対入れない。

そして家から煙が立ち込めはじめ、炎が上がった。

「あーっ!!白い家が!オイラの白い家が燃えているー!!国民の血税で建てたのに……シロー!!大丈夫かー!?」

バババババッ!

上から音がしたので空を見ると、ヘリコプターが飛んで来て、中から白衣を着た鳥魔人ガチョウマンが飛び降りた。

(外国語)『この天才外科医スクナビコナが来たからには大丈夫だ!この酒を飲めばどんなやまいもイチコロよぉ!……うわっ!アチチチチッ!マジ熱い!救急車を呼んでくれぇ~!!』(外国語)

白衣を着た鳥魔人は、よく分からない外国語を話しながら、酒を飲みながら、翼で滑空して、燃え盛る屋根に落ちていった。何がしたかったのだろうか……。


「アシヲ様!お医者様を呼んで来ました!ドクターヘリですぐ来るそうです!ってお医者様が燃えてる!?わーっ!家事バニー!大変バニー!」

オイラが燃え盛る家と医師を見て呆然としていると、兎魔人のクロが帰って来て飛び跳ね驚いた。

いや、呼んで来て欲しかったのは産婆さんだからね、外科医じゃないよ?まあ、火傷を治療するのに必要そうだけど、お医者さん燃えちゃったしなぁ。

「あっ、そんな事よりシロ!大丈夫か!?」
「お待たせ……何とか産まれたピョン……」

ガチャリと玄関を開けてシロが赤ん坊を4つ抱えてでてきた。

シロがフラッと倒れかけたので、駆け寄って支えた。

「ほら、この子達、アシヲぴょんソックリだピョンよ?」
「あ……あぁ……本当にソックリだな……」

シロの腕に抱えられた4つ子・・・が、とても愛らしく感じて、オイラは涙を流しながら答えた。

その時オイラは感動しすぎて、シロの意味不明な行動の真の目的、4つ子の内1人だけちょっとイケメンでオイラに似ていないと言う事に、気づけなかったのだった。

その後、白い家の焼け跡から、黒焦げで瀕死の天才外科医スクナビコナが見つかったそうだ。

その後、回復したスクナビコナの活躍で、最先端の医療をはじめ、酒造技術や、四天王リーペに頼らなくても電子機器を生産できる科学技術を確立し、国の近代化を一気に進め、オイラは過労で死んだ……。

あれ?オイラ何のために頑張ったんだろう?おかしいなぁ。

オイラは、現実世界に転生後、異世界での経験を生かして、現実世界でも総理大臣となって様々な偉業を達成するのだった。
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