ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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 たかが一点、されど一点。

 その一点分、周囲の人間からしたら、クレメリアの方がオクトール様にふさわしいのだ。
 散々アインアルド王子に『おさがり』させられたわたしだ。オクトール様以外で、わたしを再び『おさがり』にすることへの抵抗がある人はいない。むしろ、一夫一妻という前例のないことより、『わたしを第二夫人に下げて、クレメリアを第一夫人にすればいいのに』と思うことだろう。
 つまり、わたしは今回、完膚なきまでに満点を出さなきゃいけなかったのだ。

「――……オクトール様。新しい条件を」

 わたしは背筋を伸ばす。
 もうテストは取り返しがつかない。終わったものは終わったのだ。
 たとえ再試があったとしても、たった一点の差だったら、ある意味誤差のようなもので、次はわたしが勝つかもしれないし、逆にもっと点差をつけられるかもしれない。もっと言えば、別の令嬢が合格点に入ってきてしまうかもしれない。

 なら、もう、魔法道具のテストでやり直したって意味がない。それに、わたしが一位じゃなかったからやり直す、なんて、ノーディーニさんに問題を作ってもらった意味がない。公平さに欠けるからノーディーニさんに問題作成を頼んだのだ。
 なら、新たに条件を追加してもらうしかない。

 ――でも、これも、一回しか使えない手。
 一度くらいなら、「他にも条件があったんだった」と追加しても、そこまで不自然ではないかもしれないが、二回、三回、と追加していけば、明らかにわたし贔屓がバレる。

 もとより、王族の妻が二人という時点でもう夫人の数が少ないのだ。
 一夫一妻、という価値観を変えるには、わたし一代では、ほぼ無理だろう。一夫多妻の方が歴史が長すぎる。それに、わたしたちの婚約を決めるのは親や兄、姉といった、自分より年上の人間が基本の貴族社会。兄や姉、という、比較的年齢が近い人間ならまだしも、両親を説得するのは不可能。そして兄や姉より、両親の方が決定力が強いという悲しい現実。

 ならば、次の一回で決めるしかない。

 わたしのほうが圧倒的にクレメリアよりオクトール様にふさわしく、同時に、オクトール様の隣にいられるのはわたしだけだと周知させるのだ。

 ――考えようによっては、確かにクレメリアが残って良かったのかもしれない。
 『あの才女ですら、オクトール殿下の試験をクリアできなかった』。
 それがあれば、より、わたしが試験をクリアできたときの『わたしだけ』という印象を後押ししてくれることだろうから。
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