ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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 なぜ令嬢の釣書と姿絵がオクトール様の部屋にあるのか。
 なんてことはない、オクトール様の他の妃候補に、多くの家から申し込みがあるからだ。

 オクトール様はわたしだけを妃にしてくれると言っているし、わたし自身、他の令嬢を妃になんかさせないで蹴落としてやると彼に明言している。
 でも、それはわたしたちの間だけで完結している話だ。周りがオクトール様を狙うのなんて、分かり切っていること。

 今まではまともに婚約者を作らない上に人付き合いもせず、部屋にこもって魔法道具の開発しかしない第八王子、という認識だったけれど、その評価はわたしたちの婚約発表パーティーでひっくり返った。
 一番王位に近い男に婚約者が一人しかいないのであれば、この一夫多妻社会に生きる貴族たちが、こぞって「自分の娘を是非、第二、第三夫人に」と言ってこないわけがないのである。

 王になるために、一夫多妻になる必要はない。
 そりゃあ跡継ぎ問題で、夫人が多いことは安心材料にもなるだろう。どう頑張ったってわたし一人で今代の王子、王女と同じ数――つまりは十五人も産めるわけがない。
 それに、この国では妻を娶る数が多い方が甲斐性があって金と権力がある男だとされているのも分かる。

 でも、それはそれ、これはこれ。

 嫌なものは嫌なのだ!
 アインアルド王子に仕返しをしたのはいいけれど、この問題はまだ残ったままだったのである。

「僕はベルメ以外の妃はいらないし、万一娶ったところで閨に通うつもりもないから金の無駄だと言っているんだけど……」

 正真正銘のお飾りになる、と言っても、本気に捕らえてもらえないらしい。……確かに、オクトール様を励ますため、両親が王族貴族ではないにも関わらず王になることができた国王のことを言いはしたけれど、王妃がただ一人、という国王は今のところ存在しない。
 規則上問題なくても、前例がないだけでこうも本気になってもらえないなんて。

「父上には話を通してあるから、勝手に婚約させられる、なんてことはないけれど、釣書と姿絵だけはいくら断っても僕のところに来るんだ」

 はあ、と溜息を吐きながら、オクトール様は眼鏡のブリッジを押し上げようとして――眼鏡をかけていないことに気が付いて、手を顔から離した。

「何か手を打ちたいところだけど、今のところ策がなくて……こうして釣書と姿絵を捨てることくらいしかできない」

 呆れたように言うオクトール様は、先ほど「こっちに捨てて」と言いながら姿絵を捨てた箱を指さした。中身を覗いて見ると、結構な数の釣書と姿絵が入っている。
 ……これは、早急に手を打たねば!
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