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わたしは、オクトール様に選ばれた。
オクトール様は、わたしに選ばれた。
そして、オクトール様が主体となって造り、わたしが協力をした魔法道具は――国王に選ばれた。
どこからどう見ても、わたしたちが『選ばれなかった』と言われる筋合いは、もうない。
そのことにアインアルド王子も気が付いたのだろう。ただ見下し、馬鹿にしていた二人が、もはや自分よりも優位な立場にいることに。
『選ばれなかった者』という過去の発言を撤回すれば、その、アインアルド王子よりも王位継承権の争奪戦で優位な立場にオクトール様がいることを、アインアルド王子自ら認めたことの証明になってしまう。
アインアルド王子のプライドを取るか。
プルプムの命を取るか。
全ては、今、アインアルド王子の発言にかかっている。
そして――。
「――……っ、撤回……する。オクトールも、ベルメも、……え、選ばれなかった者では……っ、……なかった!」
――彼は、プルプムを取った。
明らかに、無理やり言った、納得仕切っていない、認められないという表情ではあったものの、確かに彼は言った。
わたしたちは、選ばれなかった者ではなかった、と。
絶対に、アインアルド王子が言いたくなかったであろう言葉。認めたくなかった状況。
悔しさを微塵も隠そうとせず、こちらを睨みながら、それでもなお、わたしたちが選ばれた者だと認める発言。
すっっっきりした!
ざまーみろ! オクトール様は凄いんだから!
ここぞとばかりに勝ち誇った顔をしていると、それに気が付いたのかアインアルド王子にめちゃくちゃ睨まれた。でも全然怖くない。
好きなだけ睨んでいればいい、と思っていると、オクトール様が「それともう一つ」と発言した。
「ま、まだあるのか!?」
アインアルド王子が驚いたような声を上げる。これにはわたしもびっくりして、思わずオクトール様の方を見てしまった。
でも、彼は冗談を言っているような様子は見られない。真剣そのものである。
「ベルメに、謝罪を」
そう言って、オクトール様はわたしの肩を抱き、引き寄せた。
「……彼女は、『おさがり』なんかじゃない。魅力的な女性です。彼女を侮辱し、辱めたこと、全てに謝罪を、今、ここでしてください」
驚きに、目を見開いてしまった。そんなこと、言ってくれるなんて、思っていなかったのだ。
こればかりは納得いかないのか、「オクトール!」とアインアルド王子が声を荒げる。それでも、オクトール様が低い声で「兄上」と言うと、彼は黙ってしまった。
「……すまなかったな、ベルメ!」
ほとんどやけくそな謝罪だった。
でも、絶対に、オクトール様が条件に出さなければ、アインアルド王子は一生謝ることはなかっただろう。
例え言わされただけの言葉であっても、十二分に価値がある。……いや、むしろ、下手に改心されて素直に謝る方が、こちらも許さないといけないような雰囲気になってしまうため、悔しそうな表情で言われた方のが、純粋に溜飲が下がるというものだ。
わたしへの謝罪を聞いたオクトール様が、「それでは、量産体制が整い次第、兄上に話を持っていきます」と言うと、アインアルド王子はあからさまにホッとしたような表情を見せた。
彼に、わたしたちが選ばれなかった者という認識を撤回させ、なおかつ、王位継承権争いでかなり優位に立ったのだ。
――わたしたちの、完全勝利!
オクトール様は、わたしに選ばれた。
そして、オクトール様が主体となって造り、わたしが協力をした魔法道具は――国王に選ばれた。
どこからどう見ても、わたしたちが『選ばれなかった』と言われる筋合いは、もうない。
そのことにアインアルド王子も気が付いたのだろう。ただ見下し、馬鹿にしていた二人が、もはや自分よりも優位な立場にいることに。
『選ばれなかった者』という過去の発言を撤回すれば、その、アインアルド王子よりも王位継承権の争奪戦で優位な立場にオクトール様がいることを、アインアルド王子自ら認めたことの証明になってしまう。
アインアルド王子のプライドを取るか。
プルプムの命を取るか。
全ては、今、アインアルド王子の発言にかかっている。
そして――。
「――……っ、撤回……する。オクトールも、ベルメも、……え、選ばれなかった者では……っ、……なかった!」
――彼は、プルプムを取った。
明らかに、無理やり言った、納得仕切っていない、認められないという表情ではあったものの、確かに彼は言った。
わたしたちは、選ばれなかった者ではなかった、と。
絶対に、アインアルド王子が言いたくなかったであろう言葉。認めたくなかった状況。
悔しさを微塵も隠そうとせず、こちらを睨みながら、それでもなお、わたしたちが選ばれた者だと認める発言。
すっっっきりした!
ざまーみろ! オクトール様は凄いんだから!
ここぞとばかりに勝ち誇った顔をしていると、それに気が付いたのかアインアルド王子にめちゃくちゃ睨まれた。でも全然怖くない。
好きなだけ睨んでいればいい、と思っていると、オクトール様が「それともう一つ」と発言した。
「ま、まだあるのか!?」
アインアルド王子が驚いたような声を上げる。これにはわたしもびっくりして、思わずオクトール様の方を見てしまった。
でも、彼は冗談を言っているような様子は見られない。真剣そのものである。
「ベルメに、謝罪を」
そう言って、オクトール様はわたしの肩を抱き、引き寄せた。
「……彼女は、『おさがり』なんかじゃない。魅力的な女性です。彼女を侮辱し、辱めたこと、全てに謝罪を、今、ここでしてください」
驚きに、目を見開いてしまった。そんなこと、言ってくれるなんて、思っていなかったのだ。
こればかりは納得いかないのか、「オクトール!」とアインアルド王子が声を荒げる。それでも、オクトール様が低い声で「兄上」と言うと、彼は黙ってしまった。
「……すまなかったな、ベルメ!」
ほとんどやけくそな謝罪だった。
でも、絶対に、オクトール様が条件に出さなければ、アインアルド王子は一生謝ることはなかっただろう。
例え言わされただけの言葉であっても、十二分に価値がある。……いや、むしろ、下手に改心されて素直に謝る方が、こちらも許さないといけないような雰囲気になってしまうため、悔しそうな表情で言われた方のが、純粋に溜飲が下がるというものだ。
わたしへの謝罪を聞いたオクトール様が、「それでは、量産体制が整い次第、兄上に話を持っていきます」と言うと、アインアルド王子はあからさまにホッとしたような表情を見せた。
彼に、わたしたちが選ばれなかった者という認識を撤回させ、なおかつ、王位継承権争いでかなり優位に立ったのだ。
――わたしたちの、完全勝利!
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