ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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 最終的に出来上がった、わたしの下手くそな図解を見て、オクトール様は興奮気味にわたしを見た。

「確かに、これならいけるかもしれない! ジョウロの形状にこだわらず、最初に設置してしまう形にすれば魔力効率を上げる素材を重量気にせず使えるし」

 そんなに深く考えず、なんとなくで言ってみただけだったのだが、彼にとってはいいアイディアとなったようだ。
 わたしも協力できて良かった、と安堵していると、パッとオクトール様がわたしの手を取って握り、上下に振る。

「ありがとう、ベルメ!」

 興奮のあまり、らしくない行動をしていることに気が付いていないのか。というか、名前、名前!
 滅多に呼んでくれない名前を、笑顔で言われると恥ずかしくてオクトール様を直視することができない。

 最初は、ちょっと隣に座るだけで顔を真っ赤にしていたくせに。今では、わたしの方が顔を赤くさせられている。
 でも、照れくさいのに、わたしは手を離して、なんて言えなかった。
 大きな手は男の人の手そのもので、魔法道具を作る手だからか、皮は固く少しかさついていた。

 わたしが緊張して黙っていたからか、ようやくオクトール様も自分の行動に気が付いたようで、パッと手を放した。

「ご、ごめ……すまない」

 眼鏡のブリッジを押し上げるような仕草を見せるが、今は眼鏡をかけていないので、その手は空振る。オクトール様はきまりが悪いように目線をわたしから逸らした。

「そ、その……気にしないで大丈夫ですわ」

 隣同士で座ったときや、ダンスをしたときの方が物理的に近かったのに、それでも、今の方がずっと近いような気がした。オクトール様の眼鏡がないからだろうか。

 互いに黙りこくってしまい、妙な沈黙ができる。
 どうしよう。何か言った方がいいのかな。

 ちらっとオクトール様の方を見れば、タイミングがいいのか悪いのか、彼もこっちを見たようで、ばちっと目が合ってしまった。余計に気まずい。
 でも、この沈黙、耐えられない……っ。

 わたしは分かりやすい咳ばらいをして、「ここ、教えてくださる」と適当にテキストを指さした。

「ああ、うん、分かっ……」

 途中までオクトール様がわたしの話題転換にのってくれたのに、急に黙ってしまう。なんだろう、とテキストを見ればそこは既に回答済のところだった。しかも、結構あっている自信があるところ。オクトール様の反応からして正解なんだろう。

「ま、間違えましたわ! こっちですわよこっち!」

 わたしは適当に、空欄になっている場所を再度指さす。
 今度こそ、なんとか話題転換ができたようだ。

 ――……まあ、オクトール様のことを意識してしまって、最後まで、本当は勉強どころではなかったのだが。
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